ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー闘技号:一等級客室ー

闘技号船内で与えられている客室は基本的には全てがスィート級である、それでも企業序列が上位であるほどグレードが上がっていく。

広い客室で男1人と女性2人がテーブルを挟んで会話をしていた。

兜馬「なるほど……やはり既に動きがあったか」

小鳥遊コンツェル社長の兜馬は秘書の報告を聞いて難しい顔をした。

ミッシェル「はい、海一証券の代表闘技者だった乾という男が消息を絶っています。」

小鳥遊グループ秘書【衝撃(インパクト)】のミッシェルがテーブルに写真付きの書類を置いて説明した。

梔「柏ちゃんからは……金剛ちゃんと摩耶ちゃんが襲われたっていうてはりましたえ。どっちも無事やそうどすが。気になりますんは武神とよばれとる武本さんが白夜新聞の代表闘技者から外れた……いう話どすなぁ。」

小鳥遊製薬秘書代理【武士道(ラスト・オブ・サムライ)】小鳥遊梔

兜馬「ふむ……どうもありがとう、梔君」

梔「いいえぇ、柏ちゃんは柏ちゃんで忙しいやろしこのぐらいはお手伝いしますへ。」

ミッシェル「……あれ、そういえばあの馬鹿……初見は?」

兜馬「ああ、彼ならシャワーを浴びているよ。まだ出てこないとは思うが……君たちは自室に戻ってくれていいよ。絡まれると面倒だろう。」

バスルームでは熱いシャワーを浴びながら初見は考えていた。

初見「(やれやれ…こっからが大変だぜ…。努力なんてガラじゃねえんだけどなぁ…)」

企業序列第6位小鳥遊グループ【浮雲】初見泉


別の客室からは小さな笑い声が響いている。

部屋の壁には隠し撮りされた小鳥遊悠の写真がいくつも貼りつけられ、小鳥遊悠っぽく作られた大きなぬいぐるみを抱きしめながらバラの花が散りばめられたベッドでゴロゴロと転がっている男。

刹那「ふふ……うふふ……。ようやく君と…仲良しになれるんだね…悠クン……誰にも邪魔はさせないよ。小鳥遊悠!」

企業序列第16位:皇桜学園【美獣】桐生刹那


部屋のランクは企業序列によって上下する部分が多少はあるが、それを抜きにして会長である片原滅堂の部屋と同じぐらいのグレードの部屋を与えられている一族がいる。

魏の一族の長である絵利央が四人の男を前にひとつの決を伝える。

絵利央「それでは、皆の衆。議論は無いな?予定通り一族の代表闘技者は雷庵に決定じゃ。お前たちは雷庵の補佐及び護衛を任せる。このトーナメントは一筋縄ではいかぬ、ぬかるなよ。」

堀雄、ホリス、怜一の三人のひとつ前で胡坐をかいている反りこみの入った逆立つ金髪の男が大きく笑う。

雷庵「へへ……任せときなジイさん。皆殺しだ!!どいつもこいつもぶっ殺してやるよ!」

企業序列第28位:アンダーマウント社【禁忌の末裔】魏雷庵。

ちなみに魏迦楼羅は大きなベッドで一人寝息を立てていた。


広い船内を走り回って息切れ気味の少女が居た。

城「ゆ……悠さ~ん…?どこいっちゃったんですかぁもお~……探し回ったのに見つからない……。」

適当に探して見つからなければ放っておけばいいと言われていたが真面目な城は逃げた悠をずーーっと探していたのだ。

最後に辿り着いたのが甲板出口、ここでいなかったらどこかで入れ違いになったのだろうとドアを開けた。眩しい光が飛び込んでくる夜が明けて日が出てきたところだったようだ。

悠「あーあ、夜が明けちまったよ。ん?おー、城、なにしてんだ?」

企業序列ランク外:松永&小鳥遊(略)商事
弥一の孫にして十神将が育てし者【阿修羅】小鳥遊悠

朝日が昇りだした同時刻、会長室前の廊下を進んでは戻り進んでは戻りとしている黒服の男が居た。

そのときちょうど部屋から出てきた赤毛に左前髪が長く一部を編み込んでいて顔が見えている右側には縦に何か文字のような刺青を入れている護衛者が話しかけた。

「調子は万全みてえだな。いや、アンタなら調子なんざ関係ねえか。出番だぜ。格の違いを教えてやりな。滅堂の牙、加納アギト。」

アギト「……」

企業序列第1位:大日本銀行
闘技仕合の帝王【滅堂の牙】加納アギト
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