ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー闘技号:医療フロアー

豪華客船である闘技号の船内にはカジノフロアを始め色々なアミューズメント施設が多い。しかし同時に船という密室の空間で体調を崩す人間も出てくる。そのため、医療関係の施設もしっかりと整っている。

そのフロアの薄暗い廊下を懐中電灯片手に歩いている女性が居た。頭には赤い十字が印刷されたナースキャップ、姫カットの金髪にクリッと大きな目をしており白衣ではあるのだが谷間が見えミニスカートからのぞく足は網タイツ……と一見コスプレにも見えるがれっきとしたナースである。

ナース「あら?先生?こんなところで何をなさっているんです?」

待合用に設置されたソファーで薄明りの中で何かをしている白衣の男。

白衣の男「やあ…吉沢君…なんだか眠れなくてね…アルバムを眺めていたんだよ…。」

アルバムの中では沢山の子供の写真が笑顔で写っている。

吉沢「わあ!可愛いですねー♪先生のお子さんですか?」

白衣の男「いや、私に血縁者は一人もいないよ……。」

吉沢「え……?じゃあこの写真は?」

白衣の男「ああ、これはね……私が治療に携わって死なせてしまった患者たちだよ。」

吉沢「!?」

白衣の男「ハハハ…今ではコレクションがこんなに……このアルバムに載っているのは全て死人なんだ……世界中どこに行っても彼らに決して会えない…想像してごらん?それはとてつもない悲劇じゃないか…この悲劇はね…癖になるんだよ……どんな薬よりも深い絶望を与えてくれるんだ……。」

積まれた分厚いファイルの表紙を撫でながら白髪で病的に白い肌と目に深いクマをした美男子がたんぱくにそういった。

企業序列第18位:帝都大学【解剖魔】英(はなぶさ)はじめ

吉沢「(こ…この人…壊れてるッッ!!!)」


高級な作りの一室、そこに集まった男たちその顔触れは他の闘技者たちを襲って勝ちとった刺客たちだ。

一人はぴっちりとした男性用の黒い袖なしアオザイとカンフーパンツで髪の半分を後ろに流し半分は前にたらしている中性的な顔立ちの男。

企業序列第3位:白夜新聞
中国武術の達人【番人】二階堂蓮(にかいどうれん)

一人はボロボロの黒い道着に腹部を縄で縛りあげ、瞳孔の開いた眼を見開き大きく開いた口からは長く伸びた舌とヨダレが垂れている男。

企業序列第24位:海一証券
快楽殺人主義者【泣き男】目黒正樹(めぐろまさき)

刺客たちの前で、それらを操っている男が叫んだ。

「いよいよだ!ついに私は闘技会の王となる!!最後だ!片原滅堂!このトーナメントが貴様の死に場所よ。」

ウィスキーの入ったグラスを掲げているこの男、歳は70も過ぎているぐらいだろうか白髪と白い口髭を蓄えた左の眼光が鋭い男性だが……目立つのは顔の右半分……焼けただれている。ちゃんと治療したような跡もなく右目とまぶたが一体化してしまっている。

東洋電力会長:速水勝正(はやみかつまさ)

そして二階堂と目黒の間に立つスキンヘッドで巨体に搭載された異様を通り越して異常な筋肉の東洋電力代表闘技者。

企業序列第2位:東洋電力
人類史上最強の筋力【モンスター】ユリウス・ラインホルト
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