ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

新「いらっしゃいませ。ほうじ茶になります」

美剣士「ふむ…」

悠「……」

剣士は茶を受け取りながら新をじっと観察していた。

美剣士「器量はまあまあだが、バカは好かん」

新「ば、ば、ば、バカ！？」

美剣士「…………」

地団駄を踏む新を尻目に、剣士はゆっくりと茶を飲み干すと縁台にお代を置いて席をたった。

悠「いかがでした？」

美剣士「ふむ、確かに茶はなかなか美味かった」

悠「それはどうも」

美剣士「さて、隣の「ねずみや」にでも行ってみるか。美人三姉妹の店だと噂を聞いているしな」

剣士はそういうとふらりと隣の店へといってしまった。

悠「ありがとうございました～」

新「ねぇ悠、悠！あたしバカっていわれたよ？バカっていわれたよ？」

悠「言われたなぁ。でも器量はまぁまぁっていわれたんだからいいじゃないか」

新「そういう問題じゃなーーい！」

悠「さて、片付けるか」

はな「はーいです」

新「むがーーー！」





営業終了時間になり、はなちゃんと新はふたりで協力してのれんを下ろしている。

はな「新さん、そっちのはしっこ、持ってくださいです」

新「はーい」

悠「今日も頑張ったなぁ」

由真「お疲れ様～」

新「あ、由真ちゃん。」

はな「ねずみやも今日はこれでおしまいです？」

由真「うん、そうだよ。今日は少し早めに店じまいにしたんだよ」

新「そうなんだ。いつも忙しいもんね」

由真「それより。そっちにもきたでしょう？」

新「え、何が？」

由真「眠利シオンよ。学園二大剣士の」

新「眠利…シオン？」

由真「だから。髪の長い、胸元ざっくりの」

新「ああ！あたしのこと、バカッていった人だ！」

由真「バカ？なにそれ？」

悠「剣豪生の鋭い人間観察により、こいつの本質が見抜かれたというか」

新「何か難しい言葉を使っても、あたしのことバカにしてるのはわかるんだからね！」

悠「あれ、意外と賢いじゃないか、新」

新「うるさい！」

由真「こっちは大変だったのよ、結花姉も私もずっと口説かれちゃって仕事にならなかったんだから」

悠「なんだ、自慢か。新、はなちゃん、片付けの続きしようぜ」

新「うん」

はな「はいです」

由真「ち、違っ」

結花「由真ー？何しているの？今夜はお出掛けするから早く準備してねっていったでしょー」

由真「あ、うん、わかってるー」

悠「お出掛け？どこいくんだ？」

由真「内緒。ていうかどうしてあんたに教えなきゃいけないのよ」

悠「何だよ。自分の話したい話しかしに来ないな、由真って。店の片付けがあるから帰ってくれないか？」

由真「わ、わかったわよ。私だって忙しいんだから、いわれなくたって帰るわよ！」

ぷんぷん怒りながら帰っていく由真。

悠「忙しいんだったら、わざわざこなけりゃいいのに」

新「だよね」

はな「お二人は乙女心がわかってないです」