ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー闘技号:大ホールー

華やかなパーティーが今だ続く中、カサッ……カサッ……と何かが這う音がする。大ホールから二階へと続く階段を黒い何かが移動してきている。

それは四つん這いの人間。上下黒の服装に異様なほど長い長い髪の毛は顔や身体を覆っているが一度たりとも絡まったり手足で踏んだりせずに進んでいく。

企業序列第9位ペナソニック【黒呪の亡霊】因幡良。

カサカサと大きな階段を降りていく姿を見てビクッとした者が居た。

沢田「な、何よアイツ気持ち悪い……あれも闘技者かしら?…あんなのとだけは闘いたくないわね…」

奇抜さでいえば決して負けてはいない金髪のキノコのような頭に濃い紫のアイシャドウと同色のリップメイクを施した慶三郎が怪訝な顔をした。

企業序列第87位:マーダーミュージック【暗黒鳥】沢田慶三郎


また、パーティーホール内の一角で周りの視線を集めている男がいた。

「わっ!」

「寅だ!」

左近「いやぁ、すっかり有名人ですねぇ。寅さん……。あれ、寅さん?」

返事が無いので寅に視線を向けてみる。

寅「こんなところでお前に会うとは思ってもみなかった。」

企業序列第17位:八頭貿易【闘神】右京山寅

寅の前にはアロハシャツに短パンを吐いた額に傷のある褐色の男が立っている。

「シャアアアアッ!愚問!!愚問!!愚問だぜ寅よぉっ!!男ってのは拳で語るもんだろうがよ!?」

企業序列第27位:【吠える闘魂】鎧塚サーパイン

明らかに目の前に居る人間に話しかけるには間違っているほどの声のボリュームで叫んでいるこの男、サーパインは闘技会本戦が始まる前、鍛錬と実績を兼ねるため野仕合や大会に出場して勝ち抜いていた寅だったが、その中で唯一ノックアウト(勝敗は判定勝ちだった)できなかった男である。

そしてその後、サーパインは寅を自分の好敵手(親友)だと定め、それはもうこれでもかというほど再戦を挑んできた。あまりのしつこさに寅が俺もあの馬鹿(悠)に対してこんな感じなのかと杞憂になるほどだった。

寅「(相変わらず暑苦しい奴だ。……まぁいいぜ。誰が相手だろうと関係ねぇ。他のやつも悠もブッ倒してついでに優勝してやる。)」

パーティーホールに集まる闘技者もいれば自室で時が来るのを待っている者たちもいた。

「檜山(ひやま)到着はいつごろだ?」

裸でダブルベッドにうつ伏せで横になっている両まぶたの睫毛が長い小柄な女性が答えた。

檜山「ん…闘技号が大江戸湾を出港してから96550と4秒5秒……片原会長の言う通りならば7841秒後に目的地に到着するはずだよ。君が時間を気にするなんて珍しいね。不安なのかい、阿古谷(あこや)?」

若桜生命社長:檜山瞬花

阿古屋と呼ばれた筋肉質でどこか角ばったイメージを受ける男はベッドから起き上がり大きく足を振り上げ空を切る。

阿古谷「まさか。一刻も早く執行したいのさ。俺たちの正義を。俺の武力とお前の「能力」、俺たちが組む以上敗北はあり得ない。」

企業序列第11位:若桜生命【処刑人】阿古谷清秋

また別室、他の部屋よりも一回り広い部屋で玉ねぎのような頭をした男が語りかける。

玉ねぎ頭「は、春男(はるお)や……もう少しの我慢だよ……。」

そう呼ばれた男の手には携帯ゲーム機が握られているのだが、それを握っている手が大きい、指一本で携帯ゲーム機の半分を覆いそうなほど巨大。

春男「フーーッフーーッフーーーッ」

企業序列第10位:NENTENDO【デストロイヤー】河野春男
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