ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー闘技号:中央大ホールー

テーブルに並んだ料理を適当につまむがどれもかなり美味い。

悠「さすがの味だな。」

城「よく食欲がわきますね…。」

悠「食って体力着けとかないと闘えないだろ。食事ひとつ、遊びひとつ、どれも鍛錬だぞ。」

城「な、なるほど!」

適当なことを言ったのだが感銘を受けてしまっている。

悠「半分は冗談だぞ」

城「ですが、一理あると思います。私も読みを深めるために昔から将棋とかやってきましたから。」

悠「ほー……将棋できるのか」

城「はい、武道を始める前からやってますからこれでも結構強いんですよ。将棋」

「君!いま将棋が強いといったかね!?」

突然、会話に割りこまれた。声の方に振り向いてみると赤ら顔の顔の濃いおっさんが目を見開いてこっちを見ている。

城「え、あの……」

赤ら顔のおっさん「将棋が強いっていったよね!」

城「は、はい?」

赤ら顔のおっさん「よし!ならちょっと来て!早く早く!」

城「えええっー!?」

城はおっさんに腕を掴まれてどこかに連れていかれた。

赤ら顔のおっさん「はいはい、ちょっとごめんなさいよ!」

連れていかれた先ではなにか人だかりができていて、その中に入っていくと中央では巨体な男と糸目の男が将棋盤を挟んでいた。

城「あっ!あの人はアルティメットファイトの絶対王者:大久保直也(さん)!えっ、なんで将棋を?!」

赤ら顔のおっさん「いやいや、そっちじゃなくて、お嬢ちゃんに倒してほしいのはアイツなのよ。」

城「た、倒す?」

糸目の男「はい。これで詰みですね。」

パチンッと音を立てて駒を進めると大久保は巨体を大きく後ろに倒して叫んだ。

大久保「う!クッソおおおおお!なんでや!?何で勝てんのやああ!!」

糸目の男「アハハ……いやあ残念でしたねえ。またの挑戦、お待ちしておりますよ。さあさあ他に挑戦されるかた、いらっしゃいますかー?挑戦料は1万円!私に勝てば賞金10万円差し上げますよー?」

城「こんなところで賭け将棋。彼はいったい何者なんです?」

赤ら顔のおっさん「金田末吉(かねだすえきち)俺の友達だよ。ちなみに闘技会とは何の関係もない一般人ね。」

城「……えと、ところであなたも誰なんですか?」

大屋「ああ、ごめんごめん。俺は義伊國屋書店の会長してる大屋だよ。」

日本書店業界の帝王と呼ばれる男、大屋健(おおやけん)。

城「ええ?!」

大屋「そんなことはどうでもいいんだよ!それよりもお嬢ちゃん!将棋だよ将棋!」

末吉「おや、大屋の旦那。そちらの方は?」

大屋「今そこで知り合ったけど、将棋強いらしいんだ!」

末吉「ほほう!そいつは頼もしいですねぇ。ひとつ御手柔らかに頼みますよ。ハハハ。」

城は珍しくカチンと来た。「あ、コイツ私をナメてるな」と。

城「いいでしょう…見せてあげますよ。【ひねり飛車の城】と恐れられた、私の実力をね!」
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