ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー絶命号:船内ー

バトルロイヤルが終わり人の熱気が落ち着きだしたころ、ある女性がひとり展望室で小型のトランシーバーで通話をしている。

凛「ええ、予定通り勝ち抜きましたよ小鳥遊悠は。え?悠の印象?そうッスね~……やっぱりイケメンかな♪…アハハ!冗談ですって!やっぱり強いですよ、悠さんは。トーナメントでもいいところまで進めるかもしれませんよ~?」

【松永久秀の秘書(仮)】の串田凛が話している相手が軽くため息をつく。

兜馬『それでは困るんだよ。私が欲しいの刃優勝だけだ。』

【小鳥遊コンツェル社長】小鳥遊兜馬はそういった。

凛「ああ~そういえばそうでしたね~。社長さんは今大会で負ければ待っているのは破滅ですねんね~。」

兜馬『……君は本当にズバズバというね。』

凛「すいませ~ん!性分なものでして♪ああ、そうだ!もう一つ報告が……うちの松永社長、勝ち残る闘技者を全員言い当てちゃいましたよ!123人の中から5人ですよ?よい目をしてますね~」

兜馬『そうか。報告ご苦労。君たちは間もなくこちらの船に移動するはずだ。詳細な報告はまたそのとき聞かせてもらおう。』

凛「あれ?あんまり驚かないんですね?ぴたり命中ですよ?」

兜馬『驚きはしないさ。彼女もまた選ばれたものなのだからね。』

凛「はぁ……そんなもんッスかぁ…」

午前1時15分、勝ち抜き企業関係者並び勝ち抜き闘技者、絶命号→闘技号へ移動開始。

絶命号から闘技号へ伝達。本戦出場闘技者及び関係者を貴船へ誘導中。

本戦進出の闘技者は以下五名。

・【鮮血の超人】紅(赤木皇)
・【暗黒鳥】沢田慶三郎
・【日本海の大入道】賀露吉成
・【アラブの旋風】ハサド
・【阿修羅】小鳥遊悠

闘技号の一室に無線が入る。

『貴船甲板へ誘導後、闘技者並びに関係者への指示を願う―』

その一報を聞いて豪華な椅子に腰かけた老人が聞いて小さく笑った。【闘技会58代会長】片原滅堂その人である。

片原「ホホ…存外早い決着じゃったの。鷹山、王森甲板へ行くぞい。その五名まこと本戦へ参加するに足る闘技者か否か……見極めねばのう……。」


そのころ、絶命号から闘技号へかけられた橋を渡る闘技者たち一行を観察する者が居た。正確には闘技者の中のひとりの男を注視している。

「ああ…!あああ…!小鳥遊悠君!信じていたよ…!!君が有象無象に負けるわけないもんね!舞台は整った。早く君と殺し殺され愛たいよ……悠くん……!!」

船の電波塔のてっぺんに登って望遠鏡を片手にうっとりと悦る男……。
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