ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー絶命号:船内(下層)ー

気絶したジェリーを見下ろしておれはいった。

悠「アンタ、それなりに強かったぜ。……あ、名前聞いてねぇな。」

ズキンっと胸に痛みを感じた。やっぱり「金剛」の技は完全にものにしきれない。

城「悠さん!」

悠「あー?なんだ?」

城「あっちを見てください!」

振り返ると意外なことになっていた。


ところ代わって絶命号の船長の私室に詐欺洋服の男が駆けこんでいた。けたたましくドアをノックして中へと飛び込む。パジャマ姿の船長がベッドから身を起こしてめんどくさそうに尋ねるが作業員の話を聞いて目を開き驚く。

船長「確かなのか?!」

作業員「ハッ!間違いありません!残った闘技者は五名……すなわち、予選終了であります!!」

船長「バ、バカな……!早すぎる!予選開始からまだ15分と経ってないんだぞ!?」

一体勝ち残ったってのはどんな化け物だってんだ。


おれは残ったやつらの顔を見る。

悠「ほう……コイツらか、本戦に進むのは……。」

「「「……」」」

最初の宣告通り5人が勝ち残ったのでアナウンスが入る。

『え、えー……ただ今を持ちまして予選終了とさせていただきます……なお、勝ち抜き予想の賞金受け取りはお近くの係員にお申し付けください。』

久秀「ふーん」

凛「いやぁ~予想外でしたね。こんなに早く予選が終わるなんて。ところで予想はどうでした?」

久秀「ああ、ぴったり五人正解したわよ。とりあえず掛け金の5倍ぐらいにはなったかしらね。」

凛「!?」

全員的中……私でさえ予想を二つ外したのに、さすが小鳥遊悠のパートナーに選ばれるだけのことはある。

久秀「なに?」

凛「いえ、なんでもないっスよー!」

久秀「そっ、じゃあ配当金を受け取ってきてちょうだい。」


本戦出場権を手にした悠と4名の闘技者。彼らはいかにして予選を勝ち抜いたのか……城倫は、一部始終を目撃していた。時間は少し戻り……。

原田徳次郎、政治団体「晩稲会」行動隊長。
根っからの武闘派の彼は敵対組織から【特攻のハラトク】と呼ばれ畏怖された。

原田「へっ」

「おお!出るか!?」
「ハラトクラッシュだ!」

身体を左右に振りながら高速の連打を賀露の巨体に浴びせる。何十連打という打撃の雨に一瞬膝が揺れたが踏みとどまって睨みつける。

賀露「……」

原田「(俺の連打を喰らって倒れねぇだと?)上等ッ!決めてやるぜ!ハラトク劇場!」

その二人の背後で紅を絞め潰そうとしていた下田佐治だったが……絡みついていた腕が浮いていく。

佐治「な、何だとおオォォォ!!?」

紅「力が……たりねぇなぁぁっ!!」

は……外される!こ、こんなハズは……お、俺のサブミッションが技術もくそもない馬鹿力に敗れるなど……!

既に勝敗はついていた。絡みついた時点で一瞬で絞め落とせなかった程度のサブミッションでは倒せるわけがない。

ついに佐治の絡んだ腕を外し終えるとそのまま振り払って拳を顔面に叩きこんだ。もう一発と拳を振りあげたが……顔の真ん中が拳がたにへっ込んだ男はもうピクリともしていない。

紅「ハッ……楽勝!!」
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