ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー絶命号:船内(下層)ー

城「壁に激突する!あのスピードでは急停止は不可能!」

ジェリーはニャッと笑う。ジョーク!私がこの程度で倒せるとでも?

見た目の重圧とは裏腹にダンッと地面を踏み込んで飛び跳ねたのだ。

タイソン「ママのアップルパイよりアマい考えデス!」

城「体勢を変えた!!」

まるで立つように足から壁に飛び込んだ。その衝撃は相当なものらしくガィィィンと鈍い金属音とともに鉄板がめり込んでいる。

そしてその壁を利用して更にスピードアップ!プールで壁を蹴って推進力を得るように飛び込んだのだ。

今の私はさながら、完全被甲弾(フルメタルジャケット)デス!

スピードを増し、再びスカッドミサイル拳を開始した。

タイソン「!?」

城「え!?」

しかし、その先にいたのは城だった。

Girl?!なぜココに一般人が!?軌道変更!!?ブレーキ!!!?どちらもこの距離では間に合わん!!考えろ!ジェリー!どうする!!?どうする!!?どうする!!?どうする!!?

壁キックの推進力も加わりさっきまでのように止まることも軌道をずらすことも不可能。しかしもう城が目の前……。

タイソン「…………無理。」

すまないGirl…多分死なないから許してください!

困ったような笑顔の黒人が突っ込んでくる。

城「えっ何その顔?」

矢継ぎ早に起こる事態に城も動き出すのがワンテンポ遅れた。着弾する。ぐっと目を閉じて痛みを覚悟したが……攻撃が……こない?

悠「ったく……ボーッとしてんなよ。」

城「悠さん!」

悠「さすがに怪我させるわけにはいかねぇしな。でも、気は抜くなよ。」

城「は、はい!」

Girlの目の前には悠が立っていた。そして離れた場所でへたり込んでいるジェリー。

タイソン「(な、なんとか衝突は回避できたが……何だ?)」

全質量で突っ込んだ私がなぜ吹っ飛ばされているんだ!?

悠「ハハッ、腑に落ちないか?この技はあんまり使いたくないんだよ。反動がキチィから。さぁ、立てよ。まだ終わりじゃねぇぞ。」

【小鳥遊流:金剛ノ型不壊】

問題。10キロの鉄と10キロの豆腐、同じ速さでぶつかったとき痛いのはどちらだろうか?

当然、鉄である。

何が言いたいのか「硬い方が痛い」ということだ。衝突の瞬間、肉を締める。全身の筋肉を一瞬で硬化させ、鋼と化した肉体を叩き付ける。

金剛、借りるぜお前の【筋肉反射(マッスルカウンター)】をおれ流に。

悠は前へと出た。

真っすぐ突っ込んでくる!重量で勝る私と正面からぶつかるつもりですか。

タイソン「ナメラレタものです」

奇跡は何度も起こりませんよ!!

ジェリーは立ち上がると右の肘を突き出し前傾姿勢をとって駆けだした。

RATRIOT(アパリオット)。超前傾姿勢をとることにより空気抵抗を極限まで抑えた最速の型!防御を捨てた超攻撃特化の技だ。敵は確実にDESTROY!!

悠とジェリーがぶつかる。ジェリーの拳が悠にめり込んでいく……のではなく、砕けていく、豆腐が固い壁にぶつけられたように潰れていく。

悠「ドッ……ラァ!」

さらに深く踏み込みとジェリーは大きく飛んだ。

タイソン「W……What!?」

なぜ私のほうが弾かれる?

衝撃とは、柔らかい物体ほど深部まで浸透しやすい。全身の筋肉を瞬時に緊張、収縮させることにより硬度と密度を高め衝撃の浸透を防ぐ。イメージとしては大地に根を張ることだ。ある程度の重さの相手には当たり負けしなくなる。

つまり不壊は攻防一体使い方次第で矛にも盾にもなる。

悠「終わりだな」

タイソン「NO…MORE…!!勝負はこれからDA!!」

両手が潰れたジェリーだが立ち上がりこちらに向かってきた、跳ね上がって頭を振り下ろしてきた。HEADBUTTBOMB!!

悠「いいや、アンタはもう終わってんだよ。」

ピタッと悠の手がジェリーの額を押さえた。そして、重力が変動したように顔面から地面へと落ちていった。

タイソン「がっ……はっ!」

カッ……勝テルハズがナイ…。模倣どころではナイ。このBOY、兵器(WEAPON)そのもの。
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