ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー絶命号:船内(上層)ー
上に移動した久秀たちの部屋はバーカウンターやオードブルなども用意され、今までもオンボロを払拭したなかなかに豪華で綺麗な空間だった。
それでも、一番目立つのは中央のガラス張りの屋根である。下の階がどこから出も見渡せるように作られている。
城「うわーすごいなあ。ガラス張りになってますよ。」
凛「おー!闘技者がたくさん。百人以上はいますね。」
城「ここからでもわかるくらい強そうな人たちばかりですね。」
ショーケースの商品でも見るように二人はガラスに張り付く。
久秀「アンタたち、恥ずかしい真似はやめなさいよ。」
城「あ、悠さん!」
凛「おおー、イケメンは目立つッスねー。」
久秀「いけ……めん?」
当然声は聞こえていないのだが悠の顔が城たちに向いた。
城「あれ、こっちに気がついた?」
凛「おおー、イケメンは勘が鋭いっスねー。」
城「ん?」
悠は手をあげて顔の側で何度か自分の方に向ける仕草をした。
城「悠さん何してるんでしょうか?ジェスチャー?」
凛「あの動き……飲み物ですかね?」
久秀「アンタら、ホントいい加減にしなさいよ。さっきから悪目立ちして……」
城「あっ!飲み物!!」
凛「心当たりが?」
城「さっき悠さんの荷物を預かったんですけど、確かその中にペットボトルが入ってたような……。ちょっと、届けてきますね。」
城は手荷物の中からペットボトルのお茶を取りだすと小走りで下へと向かった。
凛「ところで社長」
久秀「なに?」
凛「どうして「雇用側」と「闘技者」を別々の部屋にわけてるんっすかねー?」
久秀「さぁ、どうしてかしら……ねぇ。」
話していると城が悠に近づいてペットボトルを手渡している。
悠「ごくごくっ……ぷはー、助かったぜ。」
ペットボトルの中身をひと息に飲みほして握りつぶした。
城「他に用事はありませんね?それでは私は戻ります。」
悠「待てよ。お前、どう思う?「この状況」を。」
城「「状況」?どういうことですか?」
悠「どうもこうもねぇよ。この状況、明らかに不自然だろ?一か所に集められた闘技者。その様子を見渡せる悪趣味なガラス張りの天井。まるで見世物じゃねぇか。いったい何が始まるんだろうねぇ。」
城「……ま、まさか!!」
そのとき、わずかな揺れと音がした。船が動きだしたらしい。それと同時に開きっ放しだった扉が勢いよく閉まった。さらに、ジジっとノイズ音がして船全体に声が放送される。
『「雇用主」の皆様ならびに「闘技者」の皆さま……お待たせいたしました。本戦は無事出港いたしました。同時に「闘技絶命トーナメント予選」が開始しましたことをお知らせいたします。』
城「よ、予選!?」
上の階層の雇用主たちもざわつき始める。
「そんなものがあるのか!?」
「何も聞いてないぞ!」
『今大会の参加闘技社数は151社。うち数十社は片原会長の招待によって既に本戦出場が決定しております。』
城「もしかして…」
悠「別の船に乗りこんだ連中だな…」
『本戦出場枠はあと5社。代表闘技者の皆さまには、バトルロイヤルに挑んでもらいます。タイムリミットは日の出まで。刻限なっても5名より多くの闘技者が戦闘可能であった場合、全員失格とさせていただきます。戦闘可能な闘技者が5名になった段階で残り時間に関係なく予選は終了となります。つきましては予選終了までの間、いかなる理由があろうと闘技者との接触は禁止させていただきます。なお、闘う意思の見られない闘技者は運営判断により失格とて……』
久秀「あーあ、何してんのかしらあのお嬢さんは…」
凛「(あらら~…大変なことになっちゃいましたね~~。この難局、切り抜けられますかね~?)」
下を見るとドアを叩いて何かを叫んでいる城が見える。
悠「どうやら、予選が終わるまでこの部屋に缶詰らしいなお前も含めてな。しゃーない、さっさと終わらせるしかなさそうだ。せいぜい邪魔にならないようにしてろ。」
城「は、はい、すみませ……あっ!!」
扉の前で話していると、悠の背後で二人の男が飛びかかってきている。
「おいおい、女づれとは余裕じゃねぇか!」
「予選はもう始まってんだよ!」
「「死ねやあああっ!」」
一瞬、悠の腕が消えた。すると背後で飛びかかって二人の拳が互いの顔面にめり込んいる。
【小鳥遊流冬花ノ型:枝垂れ柳】
「なが……!?」
「ち…からの流れを……曲げられ……」
悠「まずは二つ終わり、だな。」
「こいつやるぜ!」
「先に潰しとくか?」
「ああ、勝ち残られたら厄介そうだ。」
「コイツは「数」で潰す。」
ゾロゾロと闘技者が悠を囲むように詰め寄ってくる。
上に移動した久秀たちの部屋はバーカウンターやオードブルなども用意され、今までもオンボロを払拭したなかなかに豪華で綺麗な空間だった。
それでも、一番目立つのは中央のガラス張りの屋根である。下の階がどこから出も見渡せるように作られている。
城「うわーすごいなあ。ガラス張りになってますよ。」
凛「おー!闘技者がたくさん。百人以上はいますね。」
城「ここからでもわかるくらい強そうな人たちばかりですね。」
ショーケースの商品でも見るように二人はガラスに張り付く。
久秀「アンタたち、恥ずかしい真似はやめなさいよ。」
城「あ、悠さん!」
凛「おおー、イケメンは目立つッスねー。」
久秀「いけ……めん?」
当然声は聞こえていないのだが悠の顔が城たちに向いた。
城「あれ、こっちに気がついた?」
凛「おおー、イケメンは勘が鋭いっスねー。」
城「ん?」
悠は手をあげて顔の側で何度か自分の方に向ける仕草をした。
城「悠さん何してるんでしょうか?ジェスチャー?」
凛「あの動き……飲み物ですかね?」
久秀「アンタら、ホントいい加減にしなさいよ。さっきから悪目立ちして……」
城「あっ!飲み物!!」
凛「心当たりが?」
城「さっき悠さんの荷物を預かったんですけど、確かその中にペットボトルが入ってたような……。ちょっと、届けてきますね。」
城は手荷物の中からペットボトルのお茶を取りだすと小走りで下へと向かった。
凛「ところで社長」
久秀「なに?」
凛「どうして「雇用側」と「闘技者」を別々の部屋にわけてるんっすかねー?」
久秀「さぁ、どうしてかしら……ねぇ。」
話していると城が悠に近づいてペットボトルを手渡している。
悠「ごくごくっ……ぷはー、助かったぜ。」
ペットボトルの中身をひと息に飲みほして握りつぶした。
城「他に用事はありませんね?それでは私は戻ります。」
悠「待てよ。お前、どう思う?「この状況」を。」
城「「状況」?どういうことですか?」
悠「どうもこうもねぇよ。この状況、明らかに不自然だろ?一か所に集められた闘技者。その様子を見渡せる悪趣味なガラス張りの天井。まるで見世物じゃねぇか。いったい何が始まるんだろうねぇ。」
城「……ま、まさか!!」
そのとき、わずかな揺れと音がした。船が動きだしたらしい。それと同時に開きっ放しだった扉が勢いよく閉まった。さらに、ジジっとノイズ音がして船全体に声が放送される。
『「雇用主」の皆様ならびに「闘技者」の皆さま……お待たせいたしました。本戦は無事出港いたしました。同時に「闘技絶命トーナメント予選」が開始しましたことをお知らせいたします。』
城「よ、予選!?」
上の階層の雇用主たちもざわつき始める。
「そんなものがあるのか!?」
「何も聞いてないぞ!」
『今大会の参加闘技社数は151社。うち数十社は片原会長の招待によって既に本戦出場が決定しております。』
城「もしかして…」
悠「別の船に乗りこんだ連中だな…」
『本戦出場枠はあと5社。代表闘技者の皆さまには、バトルロイヤルに挑んでもらいます。タイムリミットは日の出まで。刻限なっても5名より多くの闘技者が戦闘可能であった場合、全員失格とさせていただきます。戦闘可能な闘技者が5名になった段階で残り時間に関係なく予選は終了となります。つきましては予選終了までの間、いかなる理由があろうと闘技者との接触は禁止させていただきます。なお、闘う意思の見られない闘技者は運営判断により失格とて……』
久秀「あーあ、何してんのかしらあのお嬢さんは…」
凛「(あらら~…大変なことになっちゃいましたね~~。この難局、切り抜けられますかね~?)」
下を見るとドアを叩いて何かを叫んでいる城が見える。
悠「どうやら、予選が終わるまでこの部屋に缶詰らしいなお前も含めてな。しゃーない、さっさと終わらせるしかなさそうだ。せいぜい邪魔にならないようにしてろ。」
城「は、はい、すみませ……あっ!!」
扉の前で話していると、悠の背後で二人の男が飛びかかってきている。
「おいおい、女づれとは余裕じゃねぇか!」
「予選はもう始まってんだよ!」
「「死ねやあああっ!」」
一瞬、悠の腕が消えた。すると背後で飛びかかって二人の拳が互いの顔面にめり込んいる。
【小鳥遊流冬花ノ型:枝垂れ柳】
「なが……!?」
「ち…からの流れを……曲げられ……」
悠「まずは二つ終わり、だな。」
「こいつやるぜ!」
「先に潰しとくか?」
「ああ、勝ち残られたら厄介そうだ。」
「コイツは「数」で潰す。」
ゾロゾロと闘技者が悠を囲むように詰め寄ってくる。