ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー絶命号:船内ー

外見もボロだったが船内も相当ひどいものだった。ところどころ壁がはがれ機械がむき出しになっていたり雑に資材が散らばっていたり。

城「なんかもう…「うわあ…」って感じですね。」

久秀「非常に不満だわ。ついでに、沈まないか不安だわ。」

悠「おれは平気だな。」

「私も別に平気ですね。」

城「この船で噂の島まで行くんですよね?」

久秀「そうよ。まぁ、それを知ってるのは久秀たちぐらいでしょうけどね。」

悠「他のやつらは大江戸学園で開催と思ってたことだろうからな。」

「まさか、経由地とは思わないでしょうね。大江戸学園も世界的に有名な場所ですし。」

城「ん?あの、悠さん?さっきから誰と話してるんです?」

悠「誰ってコイツだけど?」

糸目の女性「あ、どーもー。はじめましてー。」

悠の隣で小柄なスーツの女性がぺこぺこと何度も頭を下げている。

久秀「……どちらさまかしら?」

悠「さっきからおれたちについて回ってたぞ。」

糸目の女性「いやー、すいません。挨拶するタイミングを逃しちゃって……どうも初めましてー。私、串田凛と申します。この度、兜馬社長の命で松永社長の秘書をやらせていただくことになりましたー。そんなわけで社長、ひとつよろしくお願いしますー。」

久秀「秘書?聞いてないわね。悠?」

悠「おれだって知らん。親父スパイかもしれないな」

凛「違いますってー。闘技会初参加ですから色々と世話係として使わされたんですよー。」

久秀「ふーん……秘書ねぇ。まぁ、いいわ。」

城「いいんですか?!」

悠「お前と名前がかぶってるのがよろしくないがな。」

城「いや、そういうことはどうでもよくて……」

「皆さまお待たせしました。それでは、闘技者の皆さまはこちらの奥の扉へ、それ以外の皆さまはこちらの階段の上にお進みください。」

黒服の指示が入りいわれた通り闘技者と会員側が分かれて移動を開始する。

城「え、ということは悠さんとはここで別れることに……」

悠「そうみたいだな。おれの荷物、持っとけ。」

おれは手荷物を城に渡すと奥の部屋へと移動する。

凛「じゃあ私らも上の階に行きますかー。」

久秀「そうね。」

城「こっちも素早い。皆さん、順応はやすぎませんか!?」

久秀「早くしなさい、久秀の荷物置いてったら外に放り出すわよ。」

秘書より秘書らしい仕事をさせられる城は二人分の荷物をもって慌てて階段を上がっていく。

奥へ進んで開けた場所に出るとひと言でいうならガラの悪い奴らの巣窟。どこか殺気を漂わせた連中が押し込められた何もないただっ広い空間、それ以外で異質な部分は天井がガラス張りになっているところだろう。
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