ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー???:???ー

拉致られてから一か月は経ったぐらいだろうか、おれは相変わらず不自由な身体のまま毎日投げ捨てられ続けている。

悠「ふーー……ふーー……。」

夜見「なんだもう限界か。仕方ない、適当に手足をハメ直しとけ。」

悠「くっそ……ジジイ」

夜見「そういう戯言は俺が見えなくなってから言うべきだな。」

悠「ぐっぇ!」

倒れて動けない人間の横っ腹に蹴りを入れてきた。そしてゴミみたいに転がるおれを無視してログハウスの方へといってしまった。

夜見がドアを開けると城が妙なタコ踊りをしているのが目に入った。

城「……」

うにょん、うにょんと手を動かしたりしている。

夜見「……おい、マッシブチャイナ」

蓬明「さては名前覚える気ないんどすな?」

夜見「アレは何をしている。」

蓬明「アレは……夜見はんたちの戦いをカメラで撮ってましたやろ。それでいざ再生して見直してみたらタコ踊りみたいにしか映ってなくて……。」

夜見「それを真似てるのか。動物園の猿みたいな娘だな。」

メタラ「そういうこというなら、お嬢にもちゃんと教えてアゲてよ」

夜見「はぁ……お前らは本当に猿まね娘よりダメだな。」

「「なっ!」」

城「あ、あの……」

夜見「ん?タコ踊りはやめたのか」

城「気になっていたんです。どうして、夜見さんは悠さんに対してずっと実践ばかりなんですか?」

夜見「あん?」

城「い、いえ、普通は基礎訓練とかをしつこくやるような気がして。なのに夜見さんは実戦実戦……」

夜見「それは至って簡単だ。俺は育てる気がないからだ。」

「「「はぁ?!」」」

夜見「基礎なんざ実戦で痛い目を見て各自が必要と思えば勝手にやっときゃいい。実戦で自分のやるべきことを見つけ出せん奴なら教えてもどうせ無駄だ。」

「「「……」」」

夜見「まぁ、あの小僧を投げ回しているのは半分は嫌がらせみたいなものだがな。小僧の顔を見ていると弥一を思い出してイライラする。」

悠「そんな理由でおれを投げ回すんじゃねぇよ!!」

バラバラになった関節を何とかハメ直して身体を引きずりながら戻って来たらとんでもないセリフを耳にしてしまった。

夜見「……小僧、お前実際のところどのぐらいまで対応できてる。」

悠「……全快状態が100%(鬼・翠龍は除く)とするなら左腕なら40%、右は45%、足はまだ2~30%って具合だな。それがどうした?」

夜見「ふむ、にら次からはもう少し壊す気で仕掛けても問題ないな。」

悠「それするならせめて食事の支度は勘弁してくれないかな……。さすがに投げ回されて三度の食事までとかキツイ。」

夜見「仕方ないだろう。ここにはデリバリーは届かんし、コイツらに作らせるのは……なしだろうからな。」

蓬明「めっちゃ失礼どすな」

メタラ「名前も覚えないし」

城「出来なくてすみません…。」

夜見「というわけで飯はお前の担当のままだ」

悠「…………あ、うちからおれの片割れ呼んでくれよ!アイツはヒマしてるだろうから!」

夜見「お前の片割れは店に出ているらしいぞ。松永の娘がお前の代わりに働かせてるそうだ。」

悠「えぇ……マジかよ。」
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