ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー???:???ー

悠と城が打ちあっている最中、夜見は軽く多あしらわれた二人を引っ張りどかしていった。

夜見「えーと、お前、ガンマン女。」

メタラ「メタラよ。何回も聞いてるデショ」

夜見「火力に差がある時は逃げつつ相手を削れ。あと、リボルバーにこだわりがあるのか知らんが弾数を考えろ。次にマッシヴ女。」

蓬明「蓬明どす。この人は……。」

夜見「東洋人が西洋の戦闘理想に染まりすぎだ。東洋の「精神世界」まで踏み込んだ闘技が発達したのはなぜだと思う?西洋人に比べ非力な東洋人は「力」を上回る物を精神に求め訳だ。だから西洋では総じて体格とパワーに頼る。俺にいわせれば力なんぞ「添え物」でいい相手の力を受け流し利用すれば極端な話小僧でも2メートル級レスラーを吹っ飛ばせる。ま、いうほど簡単ではないがな。」

そう話しているとこっちの方も動きがあった。

何度目かの正拳突きを捉えられておれの身体が大きく空に投げ出された。

蓬明「やった!」

メタラ「えっ……?」

おれは投げたられた身体を自分からさらに回転させきりもみしながら地面へと着地する。

夜見「今の小僧なら嬢ちゃんでも投げるのはさほど難しくはない。しかし、今まで俺にさんざん投げ続けられた奴に効くほどの力量はない。さて、投げ以外有効な技を持っていない嬢ちゃんはどう出るかな。」

悠「シィッ……!」

着地から間髪入れずに間合いを詰めてローキックを仕掛けた。城は力んで受けとめたが衝撃に耐えかね顔をゆがめて撥ねた。

城「くッ!?」

体格差はもちろんだが、城は打ち合いで戦えるようなタイプではない。捌くか受け流さなければ押し切られてしまう。

態勢が崩れたところでおれは拳を打つ。すると、それに合わせて腕を掴んできた。そしてまたも同じように投げようとしてきたので、今度は自分から飛んだ。

同じように空中で回転しつつ着地しようとしたが、城はそこを狙っていたらしく飛び跳ねた。

メタラ「お嬢も跳んだ!?」

夜見「着眼は悪くないがな……」

城「(空中でもう一度投げて身体を崩せば……)」

おれに目掛けて手を伸ばしてくるが半身を翻して背後に回り込んで蹴り飛ばした。

夜見「合気道や柔術はあくまで地に足を踏ん張って成り立つもんだ。いくら動きが読めても空中で身体のコントロールはあっちのが上だ。」

悠「よっと」

おれは地面に着地し、城は茂みの中に落下した。

蓬明「どっ、どういうことどすか?アレは!?」

メタラ「訓練がぜんぜん効いてナイじゃん!!」

夜見「アホかお前ら。じゃあ聞くがお前ら教師だったよな?勉強ってのは教科書の一ページ丸暗記しただけで百点取れるのか?あんな訓練大学入試に向け「ひらがな」覚えた程度の話だ。「俺たち」の次元ではな。」

「「……」」

夜見の迫力に蓬明とメタラは押し黙ってしまった。

夜見「その次元に入りたいというなら黙って見とけ。」

悠「おい、大丈夫か?」

茂みに突っこんでいる城に手を貸してやる。

城「す、すいません……。」

夜見「小僧、準備運動が終わったなら今度はこっちだ。構えろ。」

フォローなどは特に無く夜見は夜見はおれを指名する。

悠「せめて嬢ちゃんに何か言ってやれよ。」

夜見「……見込みがない、やめちまえ。」

城「……」

悠「だれがとどめを刺せといった!」

夜見「お前は他人のことなど考えなくていい、構えんならこっちから行くぞ。」

悠「チッ」

この男は基本容赦がない、抵抗しても殺るし抵抗しなくても殺るのだ。だからこそ性質が悪い、道玄や雲水と違い、最低限の枷がないようなものなのだ。
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