ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー池袋:摩天楼ー
池袋界隈には無数の金融業者が存在する。その中でも池袋の駆け込み寺などといわれている。理由は「無利子無担保でどんな相手にも融資」というデマとなり広まっているために、一部の同業者から危険視・敵視されている。
その摩天楼のドアを叩いたのは鈴猫を連れた摩耶だった。
摩耶「こんにちはー」
凍夜「いらっしゃい。ずいぶんと早かったね。お茶でいいかな?それともコーヒー?」
摩天楼の代表取締役である年齢不詳の青年がデスクからソファーの方へと移動して手招きした。
摩耶「冷たいお茶でお願いします。」
鈴猫「えっ、あっ、同じものを……」
気楽な様子でソファーにかける摩耶とは対照的にどこかぎこちない鈴猫。対して、凍夜も軽い感じでいった。
凍夜「詠子ちゃん、冷たいお茶を三つ。お願いね。」
詠子「どうぞ。」
唯一の従業員である白嶺詠子が皆の前にコップを並べていく。
凍夜「それで、どうなったのかな?」
摩耶「バッチリだよ。ねっ、鈴猫ちゃん?」
鈴猫「え、えーと?」
凍夜「摩耶君の雇用主として闘技会に出る……って話なんだけど?」
鈴猫「あっ、それは……はい、そういうことになりました。」
摩耶「ちゃんと雇用主を見つけてきたから……約束通り51億すぐに貸してください。」
鈴猫「ええっ?!」
確かに摩耶は資金は自分で用意するといっていた。しかし、それはまさか一括で借りるとは夢にも思っていなかったのだ。
凍夜「……うん、テストも合格したみたいだし、いいよ。詠子ちゃん。」
詠子「はい」
テーブルに大きなジュラルミンのケースが置かれた。
凍夜「現金で1億、残りの60億は今日中に振りこんでおくよ。」
摩耶「ありがとうございます。」
鈴猫「テスト……っていうのは?」
摩耶「初めから話すと僕はね、悠くんが居なくなったって聞いて大江戸学園の小鳥遊堂まで様子を見にいってたんだけど、そのとき寅君たちが店の前で居て話を盗み聞きしたんだよね。まぁ、寅君は気がついてたから盗み聞きでもないんだけど……。それで金剛君も出るって聞いてね……これはもう僕も出るしかないって思って、すぐにここに来てお金を借り来たんだよ。そしたらさ」
凍夜「条件としてペーパーカンパーニではなく、企業か会社、要するに雇用主を見つけてくることとしたんだよ。まさか、2日で見つけてくるとは思わなかったけどね。」
「無利子無担保でどんな相手にも金を貸す」これはデマである。しかし、「自身の課したテストに合格すれば無利子無担保でお金を貸す」というのが事実だ。これは融資相手が「本気で人生を変える気があるのか」を見るための自分なりのルールなのだ。
摩耶「これで準備の準備はできた……。」
鈴猫「準備の準備?」
凍夜「企業と資金はあっても、君たちはまだ正式な闘技会会員じゃないからね。そこを目指さなきゃならない。ということで、これは俺からのサービス。」
そういうと二枚の紙をテーブルに並べた。なにかの書類のようだ。
摩耶「これは?」
凍夜「会員権争奪戦の申込用紙。片方は2日後、片方は18日後。」
摩耶「もらっていいの?」
といいながら既に2日後用の書類を押さえている。
凍夜「サービスだよ。ただし、これに足を踏みこんで負けたら資金は奪われる。覚悟をして挑んでね。」
摩耶「もちろん。それじゃあ、鈴猫ちゃんさっそく記入して投かんしにいこう。あ、お金は鈴猫ちゃんが預かっといてね。」
鈴猫「一億を?!無理っ!あっ、まって!し、失礼します!」
マイペースな摩耶と事の成り行きにキャパが崩壊しかけている鈴猫は摩天楼を後にした。
凍夜「ふー……これで三人目かぁ。」
詠子「合計で183億……いくらなんでも貸し過ぎです。」
凍夜「大丈夫だよ。彼らなら絶対に返してくれるだろうし」
詠子「だとしても、数週間で数百億を動かすこっちの身にもなってください。」
凍夜「はは、ごめんね。」
詠子「はぁ……それにしても、会員証ってそんな簡単に手に入るものなのですか?」
凍夜「いや、普通は無理だよ。」
池袋界隈には無数の金融業者が存在する。その中でも池袋の駆け込み寺などといわれている。理由は「無利子無担保でどんな相手にも融資」というデマとなり広まっているために、一部の同業者から危険視・敵視されている。
その摩天楼のドアを叩いたのは鈴猫を連れた摩耶だった。
摩耶「こんにちはー」
凍夜「いらっしゃい。ずいぶんと早かったね。お茶でいいかな?それともコーヒー?」
摩天楼の代表取締役である年齢不詳の青年がデスクからソファーの方へと移動して手招きした。
摩耶「冷たいお茶でお願いします。」
鈴猫「えっ、あっ、同じものを……」
気楽な様子でソファーにかける摩耶とは対照的にどこかぎこちない鈴猫。対して、凍夜も軽い感じでいった。
凍夜「詠子ちゃん、冷たいお茶を三つ。お願いね。」
詠子「どうぞ。」
唯一の従業員である白嶺詠子が皆の前にコップを並べていく。
凍夜「それで、どうなったのかな?」
摩耶「バッチリだよ。ねっ、鈴猫ちゃん?」
鈴猫「え、えーと?」
凍夜「摩耶君の雇用主として闘技会に出る……って話なんだけど?」
鈴猫「あっ、それは……はい、そういうことになりました。」
摩耶「ちゃんと雇用主を見つけてきたから……約束通り51億すぐに貸してください。」
鈴猫「ええっ?!」
確かに摩耶は資金は自分で用意するといっていた。しかし、それはまさか一括で借りるとは夢にも思っていなかったのだ。
凍夜「……うん、テストも合格したみたいだし、いいよ。詠子ちゃん。」
詠子「はい」
テーブルに大きなジュラルミンのケースが置かれた。
凍夜「現金で1億、残りの60億は今日中に振りこんでおくよ。」
摩耶「ありがとうございます。」
鈴猫「テスト……っていうのは?」
摩耶「初めから話すと僕はね、悠くんが居なくなったって聞いて大江戸学園の小鳥遊堂まで様子を見にいってたんだけど、そのとき寅君たちが店の前で居て話を盗み聞きしたんだよね。まぁ、寅君は気がついてたから盗み聞きでもないんだけど……。それで金剛君も出るって聞いてね……これはもう僕も出るしかないって思って、すぐにここに来てお金を借り来たんだよ。そしたらさ」
凍夜「条件としてペーパーカンパーニではなく、企業か会社、要するに雇用主を見つけてくることとしたんだよ。まさか、2日で見つけてくるとは思わなかったけどね。」
「無利子無担保でどんな相手にも金を貸す」これはデマである。しかし、「自身の課したテストに合格すれば無利子無担保でお金を貸す」というのが事実だ。これは融資相手が「本気で人生を変える気があるのか」を見るための自分なりのルールなのだ。
摩耶「これで準備の準備はできた……。」
鈴猫「準備の準備?」
凍夜「企業と資金はあっても、君たちはまだ正式な闘技会会員じゃないからね。そこを目指さなきゃならない。ということで、これは俺からのサービス。」
そういうと二枚の紙をテーブルに並べた。なにかの書類のようだ。
摩耶「これは?」
凍夜「会員権争奪戦の申込用紙。片方は2日後、片方は18日後。」
摩耶「もらっていいの?」
といいながら既に2日後用の書類を押さえている。
凍夜「サービスだよ。ただし、これに足を踏みこんで負けたら資金は奪われる。覚悟をして挑んでね。」
摩耶「もちろん。それじゃあ、鈴猫ちゃんさっそく記入して投かんしにいこう。あ、お金は鈴猫ちゃんが預かっといてね。」
鈴猫「一億を?!無理っ!あっ、まって!し、失礼します!」
マイペースな摩耶と事の成り行きにキャパが崩壊しかけている鈴猫は摩天楼を後にした。
凍夜「ふー……これで三人目かぁ。」
詠子「合計で183億……いくらなんでも貸し過ぎです。」
凍夜「大丈夫だよ。彼らなら絶対に返してくれるだろうし」
詠子「だとしても、数週間で数百億を動かすこっちの身にもなってください。」
凍夜「はは、ごめんね。」
詠子「はぁ……それにしても、会員証ってそんな簡単に手に入るものなのですか?」
凍夜「いや、普通は無理だよ。」