ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ーラスタ・ラヴー
池袋にある地下Barのラスタ・ラヴ。この日はS・ウルフの定例会であったため主要№s(一部不参加)たちを筆頭にS・ウルフに組みしている悪ガキの頭たちも揃っていた。
普段でも空気が重いのだが今日はことさらピリついていた。その原因が我らがキングである虎狗琥崇の隣で足を組んで座っている男の存在である。
「……って、ことでこちらも問題はないですね。」
暴走族のヘッドのひとりが報告を終えて着席しようとするも視線は崇ではなくその横に居る東口のBOSS、氷室薫をなぞった。
本人はこの空気もどこ吹く風でニコニコと笑みを浮かべながら話を聞いていた。もちろん、西と東で合同の会議を開くこともあるがそういった場合は何かしらの大問題が起こっていたりするものだ。
だから、何かあったのかと皆身構えたのだがキングは会議開始と同時に「薫がいるがただ同席するだけで特別な話はない、いつも通り進行しろ」といわれたのだが、それでもやはり気になってしまうものだ。
そんな空気の中、ひと通りの報告が済むと崇が言った。
崇「他に報告がある者はいるか?」
「「「……」」」
崇「なら、以上で解散とする。みな、ご苦労。」
「「「ご苦労様ですっ!!」」」
本来なら会議の終了の後は普通の交流会や飲み騒ぎが始まるのだが、今日は氷室薫が何かキングと話したいことがあるのだろうと早々にその場から撤収していく。
氷室「相変わらずこういうことはキッチリしていますね。」
崇「俺がしたくてしているわけじゃない。こういうのは面倒だが、その面倒をやらないと、さらに面倒なことになるのを抑止しているだけだ。」
氷室「はは、流石ですね。」
崇「そんなくだらない話をしに来たわけじゃないだろう。」
キングは動きもストレートなら会話もストレートを好むのだ。それを知っているからこそ、わざと余計な会話を挟んでくる男もいるのだが……。
氷室「闘技会の話はもう耳にしていますよね?」
崇「やっぱりそれか。ああ、聞いている。今回はそうとう大規模なものになるらしいな。」
氷室「場所は大江戸学園、そして悠さんの父親の小鳥遊コンツエルも参加するそうです。」
崇「……それは、両方とも初耳だ。」
氷室「でしょうね。まだ闘技会会員でも知らない情報のはずですから。」
キングは視線を氷室から外してカウンター席でパソコンのキーボードをせわしなく叩いているフードをかぶった男に向けた。
禅「……」
しかし、禅も首を振る。自分から出た情報ではないという証だ。
氷室「私にも独自の情報網があるんですよ。」
崇「らしいな。それで、闘技会がどうした?」
氷室「崇は興味ないのですか?」
崇「……」
氷室「少しは気になりだしたという感じですね。出てみたりしますか?」
崇「はっ……バカをいうな。面倒くさい。」
氷室「そうですか、そうですか。私は……出たいんですよね。」
崇「……なに?」
氷室「ですから、出たいんですよ。」
崇「お前が?闘技会に?どういう風の吹きまわしだ……。」
氷室「ホントになんとなくですよ。」
崇「なんとなく、か。まぁいい、それでなぜおれにそんなことを話す?」
氷室「参加法など色々と調べたんですが、必要なのは闘技会会員であることと参加費なんですよ。会員には企業が必要なので……本郷さんの会社で私を闘技者として雇っていただけませんかという、お願いに来たわけです。」
キングにしては珍しく何度目かの驚きの顔でいった。
崇「……本気でいってるのか?」
氷室「本郷さんほどの企業であれば参加もできますよね?」
本郷「ふっ」
氷室「もちろん、ですか。いやぁ、素晴らしい。ですが、私が本郷さんにお願しても聞いてくれないでしょうから、崇にお願いしてるわけです。崇が許可を出してくれたら本郷さんも断ることはないでしょう?」
崇「それはそうだろうが……。本郷ばかりにリスクをかけさせるような話に俺がイエスというと思うか?」
氷室「もちろん、そんな真似はしませんよ。私もちゃんとそれなりのリスクは負うつもりです。」
そういうと、テーブルの上に通帳と印鑑とカードを指しだした。
崇「なんだこれは」
氷室「今回、闘技会トーナメントの参加料は50億らしいです。用意してきました。」
キングがパチンと指を鳴らすと、禅がやってきて一礼してから通帳に目を通した。
禅「50……億……ど……ころか、80……億……ありま……すね。」
氷室「のこりは迷惑料とでも思ってください。S・ウルフの資金に回してもらってもいいですし本郷さんにお任せします。」
本郷「ふっ」
氷室「「そんなものは受け取れない」ですか、しかし、雇っていただいて挑戦権の戦いで敗退などになってしまったら会社の何泥を塗ってしまいますからね。保険でもあるんですよ。」
崇「ほざけ……。この金、どうやって手に入れた?」
氷室「あるところでお借りしました。」
崇「そういうことか……。いいだろう、本郷、禅、氷室のバックアップをしてやれ。俺が保証人変わりだ。」
禅「俺は……構いま…せん…が」
本郷「ふっ」
氷室「快諾していただき、ありがとうございます。」
池袋にある地下Barのラスタ・ラヴ。この日はS・ウルフの定例会であったため主要№s(一部不参加)たちを筆頭にS・ウルフに組みしている悪ガキの頭たちも揃っていた。
普段でも空気が重いのだが今日はことさらピリついていた。その原因が我らがキングである虎狗琥崇の隣で足を組んで座っている男の存在である。
「……って、ことでこちらも問題はないですね。」
暴走族のヘッドのひとりが報告を終えて着席しようとするも視線は崇ではなくその横に居る東口のBOSS、氷室薫をなぞった。
本人はこの空気もどこ吹く風でニコニコと笑みを浮かべながら話を聞いていた。もちろん、西と東で合同の会議を開くこともあるがそういった場合は何かしらの大問題が起こっていたりするものだ。
だから、何かあったのかと皆身構えたのだがキングは会議開始と同時に「薫がいるがただ同席するだけで特別な話はない、いつも通り進行しろ」といわれたのだが、それでもやはり気になってしまうものだ。
そんな空気の中、ひと通りの報告が済むと崇が言った。
崇「他に報告がある者はいるか?」
「「「……」」」
崇「なら、以上で解散とする。みな、ご苦労。」
「「「ご苦労様ですっ!!」」」
本来なら会議の終了の後は普通の交流会や飲み騒ぎが始まるのだが、今日は氷室薫が何かキングと話したいことがあるのだろうと早々にその場から撤収していく。
氷室「相変わらずこういうことはキッチリしていますね。」
崇「俺がしたくてしているわけじゃない。こういうのは面倒だが、その面倒をやらないと、さらに面倒なことになるのを抑止しているだけだ。」
氷室「はは、流石ですね。」
崇「そんなくだらない話をしに来たわけじゃないだろう。」
キングは動きもストレートなら会話もストレートを好むのだ。それを知っているからこそ、わざと余計な会話を挟んでくる男もいるのだが……。
氷室「闘技会の話はもう耳にしていますよね?」
崇「やっぱりそれか。ああ、聞いている。今回はそうとう大規模なものになるらしいな。」
氷室「場所は大江戸学園、そして悠さんの父親の小鳥遊コンツエルも参加するそうです。」
崇「……それは、両方とも初耳だ。」
氷室「でしょうね。まだ闘技会会員でも知らない情報のはずですから。」
キングは視線を氷室から外してカウンター席でパソコンのキーボードをせわしなく叩いているフードをかぶった男に向けた。
禅「……」
しかし、禅も首を振る。自分から出た情報ではないという証だ。
氷室「私にも独自の情報網があるんですよ。」
崇「らしいな。それで、闘技会がどうした?」
氷室「崇は興味ないのですか?」
崇「……」
氷室「少しは気になりだしたという感じですね。出てみたりしますか?」
崇「はっ……バカをいうな。面倒くさい。」
氷室「そうですか、そうですか。私は……出たいんですよね。」
崇「……なに?」
氷室「ですから、出たいんですよ。」
崇「お前が?闘技会に?どういう風の吹きまわしだ……。」
氷室「ホントになんとなくですよ。」
崇「なんとなく、か。まぁいい、それでなぜおれにそんなことを話す?」
氷室「参加法など色々と調べたんですが、必要なのは闘技会会員であることと参加費なんですよ。会員には企業が必要なので……本郷さんの会社で私を闘技者として雇っていただけませんかという、お願いに来たわけです。」
キングにしては珍しく何度目かの驚きの顔でいった。
崇「……本気でいってるのか?」
氷室「本郷さんほどの企業であれば参加もできますよね?」
本郷「ふっ」
氷室「もちろん、ですか。いやぁ、素晴らしい。ですが、私が本郷さんにお願しても聞いてくれないでしょうから、崇にお願いしてるわけです。崇が許可を出してくれたら本郷さんも断ることはないでしょう?」
崇「それはそうだろうが……。本郷ばかりにリスクをかけさせるような話に俺がイエスというと思うか?」
氷室「もちろん、そんな真似はしませんよ。私もちゃんとそれなりのリスクは負うつもりです。」
そういうと、テーブルの上に通帳と印鑑とカードを指しだした。
崇「なんだこれは」
氷室「今回、闘技会トーナメントの参加料は50億らしいです。用意してきました。」
キングがパチンと指を鳴らすと、禅がやってきて一礼してから通帳に目を通した。
禅「50……億……ど……ころか、80……億……ありま……すね。」
氷室「のこりは迷惑料とでも思ってください。S・ウルフの資金に回してもらってもいいですし本郷さんにお任せします。」
本郷「ふっ」
氷室「「そんなものは受け取れない」ですか、しかし、雇っていただいて挑戦権の戦いで敗退などになってしまったら会社の何泥を塗ってしまいますからね。保険でもあるんですよ。」
崇「ほざけ……。この金、どうやって手に入れた?」
氷室「あるところでお借りしました。」
崇「そういうことか……。いいだろう、本郷、禅、氷室のバックアップをしてやれ。俺が保証人変わりだ。」
禅「俺は……構いま…せん…が」
本郷「ふっ」
氷室「快諾していただき、ありがとうございます。」