ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー大江戸学園:小鳥遊堂前ー

左近「……」

寅「おい」

左近「ああ、寅さん。どうもです。」

寅「どうもじゃねぇよ。なんでここに呼び出す。」

左近「いや、ほら、何だかんだでいつもここ利用したんで他に良い場所が思いつかなかったんですよ。」

寅「だからって閉まってる店の前に呼ぶか普通……。まぁいい、それでどうなった?」

左近「悪い話と良い話と凄い良い話がありますがどれから聞きます?」

寅「……なんでもいいから話せ。」

左近「なら、良い話から。トーナメントに出る方法が分かりました。」

寅「どうやったら出れる。」

左近「51億」

寅「……あ?」

左近「闘技会トーナメント参加の「挑戦料」が1億円、そして闘技会トーナメント本戦の参加費が50億円でさぁ。これが悪い話です。」

寅「51億……どういうアレなんだその値段っうか金額は」

左近「まず、挑戦料の1億というのは闘技会会員証を手に入れるための試合の金額でさぁ。そして50億、これは虫よけみたいなもんですね。ノーリスクだと冷やかしの連中まで参加しちまうんでそこを弾いてるってことでさぁ。」

寅「確かに50億ってのは並じゃねぇわな」

左近「それでも、闘技会トーナメントで優勝できれば50億程度の負債なんて屁でもないし、っていうか、調べた限り優勝しなくても場合によっちゃ1回勝つだけでもプラスになるみたいでさぁ。試合の勝敗の賭けもあるみたいですし……。」

寅「金の話はどうでもいい。それにどうやってでるかの話をしてんだよ!!」

左近「まぁまぁ、落ち着いてくださいって。凄くいい話が残ってるじゃないですか」

寅「あ?」

左近「見つけましたよ。というか、話がつきました。【八頭貿易】の社長の飯田さんが寅さんを闘士として雇いたいとね。」

八頭貿易、昭和22年設立。社名に「貿易」とあるが、いわゆる総合商社である。社長の飯田正自ら前線に立ち、世界中を飛び回っている。

寅「その会社なら聞いたことがある……確か一時期タイかどっかに進出が成功して大きくなったところだろ。」

左近「はい、その通りです。今でも成長を続けているバリバリのところでさぁ。ちなみに既に会員証は持っているので寅さんが受ければ本戦、つまりはトーナメントに出られることは決定でさぁ。」

寅「左近……左近!」

左近「は、はい?」

寅「本当にスゲェいい話じゃねぇか!お前、見直したぞ!!」

左近「いやぁ、はは……見直したって……。」

寅「けど、そんないい話よくこんな数日で見つけてこれたな。」

左近「ええ、正直かなり難航してたんですよ。柏さんにも相談したりしたし。ぶっちゃけペーパーカンパーニ作ってどうにか51億用意する方向で考えてたんですがね。寅さん、あっちで大暴れしてたじゃねぇですか。」

寅「あっち?」

左近「蒼天塔のことですよ。あさこで戦った相手の中にも闘技会の選手がいたみたいでしてね。寅さんの戦いぶりを買っていたみたいなんでさぁ。」

寅「そういうことか。」

左近「ってことで、さっそく今から正式に契約しに行きやしょう。ある程度の話はつけてますが顔合わせとかしとかなきゃならねぇですし、詳しく闘技会の話を……ん?」

寅「……」

左近「寅さん?どうかしやしたか?」

寅「ん?いや……そういえば相談したったがあの男が悠のオヤジのところの代表で出るのか?」

左近「いや、柏さんはどうやら雇用主側みたいでさぁ。出す闘士は……金剛さんみたいですよ。ここまでは普通に教えてくれました。」

寅「……」

左近「……あのー寅さん本当にどうしました?」

寅「なんでもない。とりあえず、雇用主様に会いに行くぞ。」

そういって離れていく二人、寅が注視した先にいた人間はその場でしばらく考えた後、携帯を取りだして電話をかけた。

「あ、もしもし、こんにちはー。急に電話してごめんね?ちょっと大事な話があるんだけど、聞いてもらえないかな?」
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