ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー

小鳥遊兜馬一行が去って店内には寅と左近、そして想、道玄と雲水が久秀が残っていた。

久秀「さてと、久秀はこれから忙しくなるから今日は店はもう開けないけど、アンタたちはどうするの?」

想「私は吉音さんたちと合流したいと思いますので……ここで失礼します。」

寅「ちょっと待て」

想「はい?」

寅「さっきの貸し、昼飯を奢れって話だったが……左近をしばらく借りる。それで手を打つ。」

想「左近さんをですか?うーん……仕方ありません。そのように采配できるようにしておきます。では、失礼します。」

想も出ていってすぐに寅も立ち上がった。顎を軽くしゃくり左近に目配せした。

左近「それじゃあ、私たちもこの辺りで……。」

寅「いくぞ。」

久秀「さて……どう動くのが一番ベストかしら、悠の動向が把握できるまでは、とりあえず動かせる資金の準備と情報を集めるとして……その間この店を遊ばせておくのももったいないわね。あ、そうだわ。ふふふっ。」

松永久秀は何かを思いつき静かに笑った。

道玄「あの嬢ちゃんはなかなか強かそうだな。儂らはどうする?小僧らをさがすか?」

雲水「……それはお前に任せる。オレはちぃと別行動するぜ。」


店から出てしばらく、左近は寅の後を追って歩いていた。しかし、あまりにも無言でいるのでこちら側から話しかけた。

寅「……」

左近「それで寅さん、どうするつもりなんです?」

寅「……それは俺の質問だ。どうすれば、その闘技会ってのは出られる?」

左近「えー……ですから、企業の代表選手として」

寅「そういう説明を聞きたいんじゃなくて具体的な方法を聞いているんだ。さっきブチギレるのを我慢したんだ……何もないっていわねぇよな?」

ピタッと歩みを止めたが、その背中からは殺気がにじんでいる。ああ、やはりかと左近は逆にホッとした気分だった。兜馬社長と悶着を起こされるのは大問題になる。

左近「どうしても出たいんですよね?」

寅「ああ、悠の野郎をブッ飛ばせるチャンスだ。ついでに、他にもいる奴らと闘れるんだ。一石二鳥どころの話じゃねぇだろ。」

左近「わぁ、脳筋……いえ、コホン……わかりました、わかりましたよ。とりあえず今日のところはいったん解散させてください。」

寅「あ?」

左近「さすがに聞いた話と私の持ってる情報だけじゃ、どうしようもないでさぁ。すぐに手を考えるんで時間をくださいよ。」

寅「……わかった。俺はどうしてたらいい?」

左近「そうですねぇ。とりあえず何かわかったらすぐに連絡入れるんで電話には出られるようにしといてくれることと、この島内にいてくだされば結構でさぁ。それ以外は休んでてくれ……」

寅「休む?アホかトレーニングするに決まってんだろ。蹴り飛ばすぞ。」

左近「アッハイ、ソウデスネ。」

寅「じゃあな、急げよ。」

左近「ええ、ではまた連絡します。さて……まずはどうしますかねぇ。」

トーナメント開催の報はその日のうちに闘技会員の全員へ通達された。

群雄が闇に蠢動をする……。
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