ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー
歩くこと十数分で小鳥遊堂に二人はついた。しかし、店にはまだ暖簾が出てはいない。
想「あら、まだ開いてないのでしょうか。」
この時間帯であれば大繁盛してはいなくとも少なからずリピーターや吉音がいるので開いていないことは稀である。
なにより、商売をやっていなければ久秀に店を乗っ取られかねないのだ。
寅「……いや、何人か中にいる。」
想「え?」
止める間もなく寅は乱暴に扉を開け飛ばした。中には確かに人がいたがどうも様子がおかしい。なにより、目的の人間の顔が見当たらなかった。
久秀「ノックもなく入ってくるのは無粋じゃないかしら」
寅「……なんの悪だくみ中だ?」
想「すみません。突然お邪魔して……?」
中に居たのは今応対した松永久秀、その後ろで腕を組んで厳しい顔をした九頭竜道玄と生傷が顔に出来ている百目鬼雲水、そこまでの面子なら見たこともあるのだが想が目を引いたのは、それ以外の人間だ。
話したことはないが名前こそは知っている小鳥遊柏、そして小鳥遊兜馬、悠の犬猿のイトコと父親である。あとは、パンツスーツで眼鏡の女性。
久秀「悪いけど、悠ならいないし、しばらくは会えないわよ。」
寅「あ?どういう意味だ」
なぜか全員が目を伏せた。そんな中で一人だけ吐き捨てるようにいった。
雲水「どっかにさらわれちまったよ」
寅「なんの冗談だ」
雲水「冗談じゃねぇ。止める間もなく目前で連れていかれたんだからなぁ。」
忌々しそうに頬に出来ている擦り傷を指でなぞる雲水に冗談ではないし、なにただならぬ事態に陥っているのが理解できた。
寅「いったいどういうことだ、あの馬鹿が誰にさらわれて何が起こってる。」
道玄「さらっていったの夜見だ。」
寅「よみ?誰だそれ」
道玄「十神将がひとり、四季の冬を司る頭の男だ。5ヶ月で小僧を底上げする方法を考えようとしたら自分がやると連れ去った。……雲水を投げ飛ばしてな。」
雲水「いらねぇことを言うな!!」
想「道玄さんを投げ飛ばした……?!」
寅「まて、なんだ五カ月で底上げって、五か月後に何がある?」
兜馬「……それは君が知る必要はないことだ」
静かに口を開いたのは悠の父親だった。話すつもりはないという態度だったが、寅は即座に反論した。
寅「そういうわけにはいかねぇんだよ。あのアホは俺の獲物だ。勝手に順番飛ばしている奴がいるなら、まずそのクソをぶっ飛ばなきゃならねぇんだよ。」
押さえる気のない怒気と殺気に、眼鏡の女性が立ち上がって寅を睨む。
兜馬「ミッシェル君、座り給え。」
ミッシェル「しかし…」
兜馬「構わない。何にしても私から話すつもりはないのだからな。」
ミッシェル「ハッ」
そういうと次に口を開いたのは久秀だった。
久秀「なんなら久秀が話してあげましょうか?」
寅「あ?」
久秀「悠が底上げする理由、そして……五か月後に何が起こるのかも」
兜馬「君…」
久秀「どうせ、今聞かなくてもすぐに耳に入ることですわ。それに、ここにいるこの男は粗暴でもアレに牙を突き立てられるかもしれないほどの力量はありますわ。まぁ……そこに辿り着ける準備ができるかどうかは別ですけど。」
寅「分かるように話せ」
久秀「いいわよ。長い話になるし掻い摘んで話せるようなことでもないから頭から説明してあげるわ。よーく聞きなさい、これは今朝の事よ。久秀と悠は店を開ける準備をしていたわ。するとそこに吉音がやってきてこういったのよ……。」
歩くこと十数分で小鳥遊堂に二人はついた。しかし、店にはまだ暖簾が出てはいない。
想「あら、まだ開いてないのでしょうか。」
この時間帯であれば大繁盛してはいなくとも少なからずリピーターや吉音がいるので開いていないことは稀である。
なにより、商売をやっていなければ久秀に店を乗っ取られかねないのだ。
寅「……いや、何人か中にいる。」
想「え?」
止める間もなく寅は乱暴に扉を開け飛ばした。中には確かに人がいたがどうも様子がおかしい。なにより、目的の人間の顔が見当たらなかった。
久秀「ノックもなく入ってくるのは無粋じゃないかしら」
寅「……なんの悪だくみ中だ?」
想「すみません。突然お邪魔して……?」
中に居たのは今応対した松永久秀、その後ろで腕を組んで厳しい顔をした九頭竜道玄と生傷が顔に出来ている百目鬼雲水、そこまでの面子なら見たこともあるのだが想が目を引いたのは、それ以外の人間だ。
話したことはないが名前こそは知っている小鳥遊柏、そして小鳥遊兜馬、悠の犬猿のイトコと父親である。あとは、パンツスーツで眼鏡の女性。
久秀「悪いけど、悠ならいないし、しばらくは会えないわよ。」
寅「あ?どういう意味だ」
なぜか全員が目を伏せた。そんな中で一人だけ吐き捨てるようにいった。
雲水「どっかにさらわれちまったよ」
寅「なんの冗談だ」
雲水「冗談じゃねぇ。止める間もなく目前で連れていかれたんだからなぁ。」
忌々しそうに頬に出来ている擦り傷を指でなぞる雲水に冗談ではないし、なにただならぬ事態に陥っているのが理解できた。
寅「いったいどういうことだ、あの馬鹿が誰にさらわれて何が起こってる。」
道玄「さらっていったの夜見だ。」
寅「よみ?誰だそれ」
道玄「十神将がひとり、四季の冬を司る頭の男だ。5ヶ月で小僧を底上げする方法を考えようとしたら自分がやると連れ去った。……雲水を投げ飛ばしてな。」
雲水「いらねぇことを言うな!!」
想「道玄さんを投げ飛ばした……?!」
寅「まて、なんだ五カ月で底上げって、五か月後に何がある?」
兜馬「……それは君が知る必要はないことだ」
静かに口を開いたのは悠の父親だった。話すつもりはないという態度だったが、寅は即座に反論した。
寅「そういうわけにはいかねぇんだよ。あのアホは俺の獲物だ。勝手に順番飛ばしている奴がいるなら、まずそのクソをぶっ飛ばなきゃならねぇんだよ。」
押さえる気のない怒気と殺気に、眼鏡の女性が立ち上がって寅を睨む。
兜馬「ミッシェル君、座り給え。」
ミッシェル「しかし…」
兜馬「構わない。何にしても私から話すつもりはないのだからな。」
ミッシェル「ハッ」
そういうと次に口を開いたのは久秀だった。
久秀「なんなら久秀が話してあげましょうか?」
寅「あ?」
久秀「悠が底上げする理由、そして……五か月後に何が起こるのかも」
兜馬「君…」
久秀「どうせ、今聞かなくてもすぐに耳に入ることですわ。それに、ここにいるこの男は粗暴でもアレに牙を突き立てられるかもしれないほどの力量はありますわ。まぁ……そこに辿り着ける準備ができるかどうかは別ですけど。」
寅「分かるように話せ」
久秀「いいわよ。長い話になるし掻い摘んで話せるようなことでもないから頭から説明してあげるわ。よーく聞きなさい、これは今朝の事よ。久秀と悠は店を開ける準備をしていたわ。するとそこに吉音がやってきてこういったのよ……。」