ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー大江戸学園:荒ら長屋街ー

「知合いでっか?」

寅「知らん。誰だお前ら」

「ふざけんじゃねぇっ!」

「テメーのせいでこっちは仕事を無くしたんだぞ!」

寅「なんの話だ」

「俺らは賭場の用心棒やってたもんだ!テメーが大暴れしてしかも違法ってことで火盗改めに入られて潰されたな!」

寅「……」

「全部、自業自得じゃないですか。違法賭博も、そこで用心棒なんてやっててボコボコにされるのも」

「「うるせぇっ!」」

寅「はぁ……で、用事はなんだ?」

「お礼参りに決まってんだろ!!」

寅「そうか、なら死ね。」

一番近くに居た暴漢の顔が凹んだ。何が起こったか、シンプルに殴られたのだ。次に近い男の身体が逆くの字に曲がる、鋭い蹴りが突き刺さったのだ。

仕返しも反撃もない。近いものから順に指先ひとつ動かす前に倒され、それに驚いている間にまた倒される。どれだけ武器をもっていてもも、どれだけ人数を集めても動く前に殴られたら意味がない。

「「「か、勘弁してください!」」」

喋ろうとすれば殴られ、動こうとすれば殴られ、逃げようとすると蹴られをくり返していると遂にチンピラたちは音をあげた。

寅「……」

「ぎっや!」

しかし、一番近い奴の顎が蹴り上げらた。パキャッと木っ端音がしてバラバラと何かが散った。恐らく砕けた歯の破片だろう。口からはブクブクと血の泡を吹いて悶絶している。

意識は飛ばさない、だが、痛みからは逃さない。その絶妙な力加減で徹底的に壊しにかかっている。

「寅さん、その辺りにしとかないと後処理ガンどうですよ。」

今度は別の奴に足を向けていたがピタッと動きが止まった。

寅「……金だ。有り金、全部置いていけ。」

「「「!!」」」

本気で殺されると思っていて、ようやく逃げ出せられる光明を逃がすまいと我先にと三人は財布を放り出すと四つん這いで逃げ散った。

寅「つまんねぇなぁ。おい、これ捨てといてくれ。」

札(しっかり小銭)も抜くと空になった財布を投げ渡した。

「はいよ。」

寅「さて……いくか。」

無駄な時間を過ごしたと毒づきながらロードワークを開始する。一定のスピードをキープしつつジグザグに蛇行したり、ステップを刻んだりと一定のローションで進んでいく。

しばらく進んでいるとようやく人けのある屋敷街まで来たところで人の山が目についた。興味はないが自分のロードワークコース帰るつもりはさらさらない。どうどうと突っ切ろうとしたのだが……。

岡っ引き「止まって!止まってくれ!悪いがここは今、通行禁止だ。」
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