ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー

悠「………………ごふっ!痛っ!!?………………あ…………」

痛い、全身が痛い。なんで?あれ、どこだ……ここっ。

「気がついたみたいね。」

悠「ぁ……しん……ゲボッ!!」

神姫「喉に穴があいてるのよ。無理に喋ると……」

悠「げほっ!がっぇっ……!」

ボタボタと半固形になりかかった血の塊がドチヤッと吐き出た。

神姫「あーぁ…」

悠「え゛っえ゛っ……えー…………あ゛、あ゛っ、あっ、あーー、あーーーっ。んっ……良し、オーケー」

神姫「良しじゃないし」

悠「痛っ、ぐぁぁぁっ!!」

上半身を起こしたが頭の先から足の先、全身に鈍い痛みが走る。

神姫「起きるな、本気で死ぬわよ」

悠「痛ってて……ちょっと待って、なんだこれ、色々と痛い……けど、喉がやばい、水」
ズリズリッ

神姫「動くなってんでしょ。はい、水ならあげるから口あけて湿らせなさい」

悠「あ、ああっ。んっ……んぐっげほっげほっ!」

神姫「湿らせろっていったでしょ、誰が飲めといった。」

悠「喉が痛い、気持ち悪い」

神姫「穴空いてるって……ちょっと、お願い。じっとして、私の眼を見なさい」

悠「……」

神姫「ゆっくりと深呼吸して」

悠「すっ……はぁ……」

神姫「落ち着いて思い出しなさい」

悠「………………あっ、そうだ。おれ、道玄と、そうだよ!道玄と闘ってた!それで、それで……倒し、た……?」

神姫「残念だけど「倒された」よ。」

悠「そっか……どうなったんだ?記憶が飛んでるんだが」

神姫「悠は右手で父さんの下顎を掴んで左腕で肘を叩きあげて、突き弾いた。その一撃は確かに完璧だったわ。父さんも、見ていた私たちも、悠自身も完全な一撃と思った。だけど、それが一瞬の隙を生んでしまった。父さんは倒れず踏ん張った。喉から手を引き抜いて悠の蟀谷をぶん殴った。」

悠「っ……」

神姫の話す内容がフラッシュバックする。たしかに、そうだ。道玄が仰向けに倒れていって勝利を確信した……っと、思った瞬間、とてつもない衝撃が走って、視界は曇天……そこで記憶が途絶えている。

手を伸ばして蟀谷のあたりを触れてみると包帯が巻かれているが指でなぞると凹んでいる。

神姫「経度の陥没骨折だけど砕けてはいわ。あと、全身打撲と上半身は大小無数の切創、かなりの出血、頸椎にストレス、肋骨4本のひび、捻挫、脱臼、内出血etc.etc…」

悠「気分が滅入るからやめてくれ」

神姫「じゃあ、あとは自分で確認しておいて。柳先生と刀舟斎先生がみっちりと書いてくれてるわよ」

悠「かなうさんはともかく何で柳が……いや、いいや。なんとなく分かる。」

神姫「本当は病院に運ぶ必要が大ありだけどどうせ逃げるだろうから、通院しろと言伝を預かってるわ」

悠「はっはは…はぁ。」

神姫「他に聞きたいことは?」

悠「おっさんたちは?」

神姫「宴会だそうよ。今日はいい日だからって、悠が起きるまでここで騒いでるって言いだしてたけど、さすがに雲山さん金剛さんが止めて連れて帰ったわ。」

悠「ナイス金剛&雲山。」

神姫「吉音やもそうとう心配してたわね。取り乱したり泣きじゃくったりしなかったところは評価するけど。」

悠「あれでしっかりしてるんだよ。吉音は……」

神姫「そうそう、逢岡想と徳河詠美も後で話があると笑顔で心配してたわよ」

悠「ひぇっ……既に耳に入ってるんだ……」

神姫「そりゃそうでしょ。他にも摩耶君や寅は早く治って欲しい(それでタイマンで殺る)ってすごーく心配してたわよ」

悠「イタイ、イタイ、アーゼンシンイタイナー……あっ、そうだ。タカナシフィールド(絶龍結界)、どれだけもった?」

神姫「悠がやられてのち、約1分後に解けたわ。正確な時間ではないけれど少なくとも6.7……大目にいって8分ぐらいは展開してたんじゃないかしら」

悠「8分か……上々だな。」

神姫「それじゃ」

悠「帰るか?」

神姫「今度は私からの質問(尋問)タイムよ」

悠「アッハイ、オテヤワラカニ……」
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