ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー大江戸学園:海岸ー
暴れ狂い絡み合う二匹の龍と見まがう漢がふたり。
その様子にムフンッと大きく息を吐いて雲水が笑いながら言った。
「がははっ!大したもんだ!」
道玄に対してなのか、悠に対してなのかは分からないが、傍観している全員、同意していた。
そして瞬く間に組み技と組み技の拮抗が崩れる。意外にも再び悠が道玄にマウントを取ったのだ。
それも今さっきよりもしっかりと相手に跨り、右腕を力の限り振りおろす。
ここに来ての圧倒的な攻め。道玄は首を縮め両腕で顔をガードして一方的に殴られ続ける。
ある程度の力量の闘士達がマウントを取るということはある意味、勝利を掴んだも当然といっていいほどの有利なポジション。
しかし、悠は背筋に嫌な汗をかいていた。
なんなんだコイツ(道玄)?おれとタメ張る組み技の技術を見せたと思ったら、あっさりと二度目のマウントを取らせた。
今も抵抗らしい抵抗もせず、最低限のガードのみ……。
こつはいったい何を考えている?
刹那、ガードしている腕の隙間から覗く道玄の眼光が鋭くおぞましく悠を捉えた。
「十分だ。」
そのひと言と同時に悠の身体が前へと飛ぶ。
「!?」
一度地面に手を突いて180度からだを捻って向き返る動きによどみはない…………っが、腰だけで撥ね退けられた。
敵も起き上がる。仰向けの状態から手も使わず、反動もつけずに倒れている状態から直立姿勢まで起きあがった。ホラー映画の化け物が重力を無視して眠りから覚め蘇るような動き……。
そして、こちらに振り返ったその顔は……返答に人間の顔なのかと疑いたくなる恐ろしい笑顔。
「ハッハッァ!」
笑うと同時に道玄が動いた。
「速っ……?!」
ここにきて更にスピードが増している。突撃してくる巨体めがけ右こぶしを放つ。だが、拳の先、本当に紙一重のところでピタリと道玄は止まり。伸びきった悠の腕を手刀で叩き落とし、更にわき腹に一撃を加えた。
「ぐっ、がっ……!?」
腕の斬痛、腹の鈍痛ほぼほぼ同時に襲ってきたイタミ(激痛)に脳の処理が一瞬追いつかなりフリーズする。
「ぐっぇっ!」
その一瞬が命取り。龍の爪が悠の喉笛へと食い込んだ。ミヂリッと歪な音を立てて五指が喉へと侵入すると赤いものが滲み垂れだす。呼吸が強制的に止められ、もう数センチ喰いこめば動脈すらもひっかけることができる絶命圏内。
「く゛っ、ぁっ、はっっ……!」
だんだんと悠の足が浮いていく。
「……終わりだ小僧。敗北を認めろ。」
引っ張り上げても、爪を食いこませても、どうしても悠は死ぬ。生命与奪の権利は文字通り道玄の手の中なのだ。これ以上は無い、誰がどう見ても道玄の勝利と認める。
「ま……ぁっ……。」
酸素の供給が断たれ意識がもうろうとする中、悠は右腕を動かす。手をひろげて……負けを認める、参ったのハンドサイ……
「負げでだま゛る゛がっ゛!!」
最後の最後の肺の空気を使って吐きだした言葉とともに悠は頭蓋を前に振る。当然喰いこんでいる爪が指がさらに深々と突き刺さり鮮血が吹きだす。
「!!?」
その結果、距離が広げた右手が前へと伸びて道玄の顎を掴み、壊れているはずの左腕を振り上げるビキブチッと響く歪な音を立てながら有らん限りの力で自らの右ひじをぶん殴る。
強制的に伸びる右腕は芯が通った一本の鋼と化し、そこへ加わったあらゆる力がは全て末端、手のひらへと向かって爆発にも似た破壊の衝撃が道玄の顎を弾き飛ばした!!
暴れ狂い絡み合う二匹の龍と見まがう漢がふたり。
その様子にムフンッと大きく息を吐いて雲水が笑いながら言った。
「がははっ!大したもんだ!」
道玄に対してなのか、悠に対してなのかは分からないが、傍観している全員、同意していた。
そして瞬く間に組み技と組み技の拮抗が崩れる。意外にも再び悠が道玄にマウントを取ったのだ。
それも今さっきよりもしっかりと相手に跨り、右腕を力の限り振りおろす。
ここに来ての圧倒的な攻め。道玄は首を縮め両腕で顔をガードして一方的に殴られ続ける。
ある程度の力量の闘士達がマウントを取るということはある意味、勝利を掴んだも当然といっていいほどの有利なポジション。
しかし、悠は背筋に嫌な汗をかいていた。
なんなんだコイツ(道玄)?おれとタメ張る組み技の技術を見せたと思ったら、あっさりと二度目のマウントを取らせた。
今も抵抗らしい抵抗もせず、最低限のガードのみ……。
こつはいったい何を考えている?
刹那、ガードしている腕の隙間から覗く道玄の眼光が鋭くおぞましく悠を捉えた。
「十分だ。」
そのひと言と同時に悠の身体が前へと飛ぶ。
「!?」
一度地面に手を突いて180度からだを捻って向き返る動きによどみはない…………っが、腰だけで撥ね退けられた。
敵も起き上がる。仰向けの状態から手も使わず、反動もつけずに倒れている状態から直立姿勢まで起きあがった。ホラー映画の化け物が重力を無視して眠りから覚め蘇るような動き……。
そして、こちらに振り返ったその顔は……返答に人間の顔なのかと疑いたくなる恐ろしい笑顔。
「ハッハッァ!」
笑うと同時に道玄が動いた。
「速っ……?!」
ここにきて更にスピードが増している。突撃してくる巨体めがけ右こぶしを放つ。だが、拳の先、本当に紙一重のところでピタリと道玄は止まり。伸びきった悠の腕を手刀で叩き落とし、更にわき腹に一撃を加えた。
「ぐっ、がっ……!?」
腕の斬痛、腹の鈍痛ほぼほぼ同時に襲ってきたイタミ(激痛)に脳の処理が一瞬追いつかなりフリーズする。
「ぐっぇっ!」
その一瞬が命取り。龍の爪が悠の喉笛へと食い込んだ。ミヂリッと歪な音を立てて五指が喉へと侵入すると赤いものが滲み垂れだす。呼吸が強制的に止められ、もう数センチ喰いこめば動脈すらもひっかけることができる絶命圏内。
「く゛っ、ぁっ、はっっ……!」
だんだんと悠の足が浮いていく。
「……終わりだ小僧。敗北を認めろ。」
引っ張り上げても、爪を食いこませても、どうしても悠は死ぬ。生命与奪の権利は文字通り道玄の手の中なのだ。これ以上は無い、誰がどう見ても道玄の勝利と認める。
「ま……ぁっ……。」
酸素の供給が断たれ意識がもうろうとする中、悠は右腕を動かす。手をひろげて……負けを認める、参ったのハンドサイ……
「負げでだま゛る゛がっ゛!!」
最後の最後の肺の空気を使って吐きだした言葉とともに悠は頭蓋を前に振る。当然喰いこんでいる爪が指がさらに深々と突き刺さり鮮血が吹きだす。
「!!?」
その結果、距離が広げた右手が前へと伸びて道玄の顎を掴み、壊れているはずの左腕を振り上げるビキブチッと響く歪な音を立てながら有らん限りの力で自らの右ひじをぶん殴る。
強制的に伸びる右腕は芯が通った一本の鋼と化し、そこへ加わったあらゆる力がは全て末端、手のひらへと向かって爆発にも似た破壊の衝撃が道玄の顎を弾き飛ばした!!