ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー大江戸学園:海岸ー
小鳥遊悠は……強い。
ここまでよく食い下がったというべきである。小鳥遊悠の力量は「人間の中の最高峰程度」。だが、人に怪物は倒せない。
打・投・極・絞……道玄のあらゆる格闘技術は悠を上回っていた。
はたして、悠が道玄を倒す方法は皆無であるか?
否
単独の技術で及ばないなら、「複合」で挑む。
道玄が打撃戦を望めば組み技を仕掛け、グランドを望めばスタンドで応じる。決してかみ合わせず、道玄のペースを乱す。
だとして、寅の技であって寅の技ではないアレはなにか?
それは「特注(オーダーメイド)」である。
小鳥遊(我流)に寅(右京山寅)の蹴りを混ぜた特注。
あえて名付けるならば……【小鳥遊流寅ノ型:猛虎脚】と言ったところであろうか。
それを踏まえて道玄の渾身のアッパーを流したアレは小鳥遊に真桜の力動流しを混ぜた特注。
【小鳥遊流秋宵月ノ型:流転】
この「武術」の使い手は悠ひとり。故に「特注」。九頭竜道玄の致死的攻撃を流し、自分も生き残るためだけに作られた「武術」である。
「つまり悠君は、対道玄用の武術を即興で編み出したんだよ。」
「この短時間でか?」
「うん。悠君の特性は打たれ強いとか柔軟性とか剄力とかじゃない。本当の特性「環境適応力」。」
適応とはどんな悪環境のもとで生活するのに有利な形質を持っていること、あるいは生存や繁殖のために有利な形質を持っていること。
小鳥遊悠は戦いの中で敵に適応する。強者に勝利するために有利な武術を生み出し、生き残るために有利な受け方を回避の仕方を作り上げるのだ。
小鳥遊+龍+鬼=【小鳥遊流龍鬼の型:碧鬼状態】
碧鬼状態+道玄の龍剄÷悠の肉体=【小鳥遊流封ノ型:絶龍結界(タカナシフィールド)】
これが小鳥遊悠の戦術の正体なのである。
今までも片りんは見せていた。だがどこか歪でどこか不明確で噛みあっていないものだったが、経験を培い、戦いで育み、鍛錬で養ってひとつの集大成として小鳥遊悠のstyle【小鳥遊流無銘ノ型】の完成であったのだ。
今までの人生の中でベスト5に入る会心の蹴り。それを不安定な体勢であるにも関わらずガードした化け物が二度、三度腕を振ったあと手を開き、握りを何度か繰り返した。
効いてないことはないのだろうが効果的なダメージを与えていないことが嫌と言うほど分かる。
「喝!!」
納得したのか腕を降ろしてフゥーッと一呼吸おいて、鋭く叫んだ。
「ッ!!」
息を飲む。プレッシャーがまた一段強くなて身が竦むなかおれは咄嗟に左上を前に伸ばして拳を固め構えてガードの体勢に移った。いや、移らされたといった方が正しい。
「悠、心の臓腑……止めてくれるなよ!!」
ドッ……という音を残して道玄が迫る。今までの比ではない速度で間合いが潰された。まるでビデオのコマ送り、動いたと感じた次の瞬間には拳が放たれていた。
ガィンッと肉はもちろん、なによりも骨に響く強打撲。
「ぐッッ!!」
奴の拳がぶつかった部分がベコッと凹む。
【小鳥遊流金剛ノ型:不壊】
金剛の得意とする筋肉反射はインパクトの瞬間、筋肉を集中敵に膨張させ、打った側を破壊するカウンター技である。それに対して、悠が使ったのは逆にインパクトの瞬間、筋肉を収縮させダメージを極力減少させるピンポイントの盾。
本来は左腕を盾として攻撃をいなし、右腕で攻める。1で捌き、2で加撃。華のない「堅実」を作り上げる術であった。
だが……
「ハアアッ!」
捌けない。雄叫びとともに加えられる打撃は捌くタイミングを与えずに芯を穿ってくる。そんな強撃ラッシュを四発受けた時点で盾(左腕)がガクンッと下がった。
小鳥遊悠は……強い。
ここまでよく食い下がったというべきである。小鳥遊悠の力量は「人間の中の最高峰程度」。だが、人に怪物は倒せない。
打・投・極・絞……道玄のあらゆる格闘技術は悠を上回っていた。
はたして、悠が道玄を倒す方法は皆無であるか?
否
単独の技術で及ばないなら、「複合」で挑む。
道玄が打撃戦を望めば組み技を仕掛け、グランドを望めばスタンドで応じる。決してかみ合わせず、道玄のペースを乱す。
だとして、寅の技であって寅の技ではないアレはなにか?
それは「特注(オーダーメイド)」である。
小鳥遊(我流)に寅(右京山寅)の蹴りを混ぜた特注。
あえて名付けるならば……【小鳥遊流寅ノ型:猛虎脚】と言ったところであろうか。
それを踏まえて道玄の渾身のアッパーを流したアレは小鳥遊に真桜の力動流しを混ぜた特注。
【小鳥遊流秋宵月ノ型:流転】
この「武術」の使い手は悠ひとり。故に「特注」。九頭竜道玄の致死的攻撃を流し、自分も生き残るためだけに作られた「武術」である。
「つまり悠君は、対道玄用の武術を即興で編み出したんだよ。」
「この短時間でか?」
「うん。悠君の特性は打たれ強いとか柔軟性とか剄力とかじゃない。本当の特性「環境適応力」。」
適応とはどんな悪環境のもとで生活するのに有利な形質を持っていること、あるいは生存や繁殖のために有利な形質を持っていること。
小鳥遊悠は戦いの中で敵に適応する。強者に勝利するために有利な武術を生み出し、生き残るために有利な受け方を回避の仕方を作り上げるのだ。
小鳥遊+龍+鬼=【小鳥遊流龍鬼の型:碧鬼状態】
碧鬼状態+道玄の龍剄÷悠の肉体=【小鳥遊流封ノ型:絶龍結界(タカナシフィールド)】
これが小鳥遊悠の戦術の正体なのである。
今までも片りんは見せていた。だがどこか歪でどこか不明確で噛みあっていないものだったが、経験を培い、戦いで育み、鍛錬で養ってひとつの集大成として小鳥遊悠のstyle【小鳥遊流無銘ノ型】の完成であったのだ。
今までの人生の中でベスト5に入る会心の蹴り。それを不安定な体勢であるにも関わらずガードした化け物が二度、三度腕を振ったあと手を開き、握りを何度か繰り返した。
効いてないことはないのだろうが効果的なダメージを与えていないことが嫌と言うほど分かる。
「喝!!」
納得したのか腕を降ろしてフゥーッと一呼吸おいて、鋭く叫んだ。
「ッ!!」
息を飲む。プレッシャーがまた一段強くなて身が竦むなかおれは咄嗟に左上を前に伸ばして拳を固め構えてガードの体勢に移った。いや、移らされたといった方が正しい。
「悠、心の臓腑……止めてくれるなよ!!」
ドッ……という音を残して道玄が迫る。今までの比ではない速度で間合いが潰された。まるでビデオのコマ送り、動いたと感じた次の瞬間には拳が放たれていた。
ガィンッと肉はもちろん、なによりも骨に響く強打撲。
「ぐッッ!!」
奴の拳がぶつかった部分がベコッと凹む。
【小鳥遊流金剛ノ型:不壊】
金剛の得意とする筋肉反射はインパクトの瞬間、筋肉を集中敵に膨張させ、打った側を破壊するカウンター技である。それに対して、悠が使ったのは逆にインパクトの瞬間、筋肉を収縮させダメージを極力減少させるピンポイントの盾。
本来は左腕を盾として攻撃をいなし、右腕で攻める。1で捌き、2で加撃。華のない「堅実」を作り上げる術であった。
だが……
「ハアアッ!」
捌けない。雄叫びとともに加えられる打撃は捌くタイミングを与えずに芯を穿ってくる。そんな強撃ラッシュを四発受けた時点で盾(左腕)がガクンッと下がった。