ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー大江戸学園:海岸ー
「なに」
そう呟いたのは龍の娘、神姫だった。何かは分からない。だが、神姫をはじめ雲水や雲山といった強者たちですら何が起こったのかわからなかったのだ。
そして次に広まっていく違和感。
「なんだ……何か……変だ」
いち早く反応したのは寅だった。左右に身体ごと振って何かを探しだした。何もない。何もないのだが何かが違う。今現在も何かが起こっているのだが理解(わから)ないのだ。
さっきまでと違い恐ろしく静まり返ってしまった異質な空間。
「あれ~?おっかしいな」
「なー、さっきまで凄い竜巻が昇ってたのに」
「ねーねー、それより、かざぐるまが止まっちゃったよ?」
「あたしのもだー」
聞こえてきた幼い声。乙級の生徒たちの集団が近くで遊んでいたのだろう、その手には小さなかざぐるまが握られているがどれも回っていない。
「あー、コラコラ、こっちに来ちゃあいけやせんよー。」
左近がいち早く非難を促しに行く。
「風車……風……まさかっ風が止まっ、違う逆飲み込まれたんだわっ!!」
神姫は氷解する。
同時に、道玄も氷解した。
「これはまさか……お前、が?」
「俺の真の切り札。タカナシフィールド(絶龍結界)」
定在波というものを知っているだろうか。
爆発の衝撃は一定方向から波のようにやってくるが、その威力にはふり幅があり一定ではない。しかしその「波」を反射するものがあると、波と波が重なり共鳴し凄まじい威力を発揮する。
道玄が撃ち放ったトルネードは敵を呑み込むとあらゆる方向から物体を粉々に砕こうとする衝撃の波となる。悠はそれを受け入れた。止めたではない。受け入れたのだ。
碧鬼状態で全身体能力の限界を費やし、自分自身を依代にして全方位に衝撃を反射した……。
「無茶苦茶なことを…」
「うるせぇよっ!!」
飛び込む。そのスピードは今までに比べたら減速している。それでも臆せずに道玄の懐に潜りこんで拳を打ち上げた。刃物のように切れ味するどい鋭角なアッパーが道玄の顎を斫(はつ)ろうとした。
「ぬんっ!」
しかし、道玄は肘で叩き落とした。骨と骨のぶつかる轟音。
ただ、悠はそれを見てハッキリと口の端をつり上げ。道玄は「ガード」をしたのだ。自らの腕を使って、攻撃を受け止めたのだ。
それはつまり……道玄の風のバリア(龍剄の技)を完全に封じている証拠である。
ここが最後だ。ここが自分の全力を出し切る瞬間、止まったら終わる。叩き潰されている拳に今一度力を込めて道玄の肘を跳ね返した。
「なに」
そう呟いたのは龍の娘、神姫だった。何かは分からない。だが、神姫をはじめ雲水や雲山といった強者たちですら何が起こったのかわからなかったのだ。
そして次に広まっていく違和感。
「なんだ……何か……変だ」
いち早く反応したのは寅だった。左右に身体ごと振って何かを探しだした。何もない。何もないのだが何かが違う。今現在も何かが起こっているのだが理解(わから)ないのだ。
さっきまでと違い恐ろしく静まり返ってしまった異質な空間。
「あれ~?おっかしいな」
「なー、さっきまで凄い竜巻が昇ってたのに」
「ねーねー、それより、かざぐるまが止まっちゃったよ?」
「あたしのもだー」
聞こえてきた幼い声。乙級の生徒たちの集団が近くで遊んでいたのだろう、その手には小さなかざぐるまが握られているがどれも回っていない。
「あー、コラコラ、こっちに来ちゃあいけやせんよー。」
左近がいち早く非難を促しに行く。
「風車……風……まさかっ風が止まっ、違う逆飲み込まれたんだわっ!!」
神姫は氷解する。
同時に、道玄も氷解した。
「これはまさか……お前、が?」
「俺の真の切り札。タカナシフィールド(絶龍結界)」
定在波というものを知っているだろうか。
爆発の衝撃は一定方向から波のようにやってくるが、その威力にはふり幅があり一定ではない。しかしその「波」を反射するものがあると、波と波が重なり共鳴し凄まじい威力を発揮する。
道玄が撃ち放ったトルネードは敵を呑み込むとあらゆる方向から物体を粉々に砕こうとする衝撃の波となる。悠はそれを受け入れた。止めたではない。受け入れたのだ。
碧鬼状態で全身体能力の限界を費やし、自分自身を依代にして全方位に衝撃を反射した……。
「無茶苦茶なことを…」
「うるせぇよっ!!」
飛び込む。そのスピードは今までに比べたら減速している。それでも臆せずに道玄の懐に潜りこんで拳を打ち上げた。刃物のように切れ味するどい鋭角なアッパーが道玄の顎を斫(はつ)ろうとした。
「ぬんっ!」
しかし、道玄は肘で叩き落とした。骨と骨のぶつかる轟音。
ただ、悠はそれを見てハッキリと口の端をつり上げ。道玄は「ガード」をしたのだ。自らの腕を使って、攻撃を受け止めたのだ。
それはつまり……道玄の風のバリア(龍剄の技)を完全に封じている証拠である。
ここが最後だ。ここが自分の全力を出し切る瞬間、止まったら終わる。叩き潰されている拳に今一度力を込めて道玄の肘を跳ね返した。