ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】

ー大江戸学園:海岸ー

爪牢をかすりつつ目標を捕えた。道玄がトドメトばかりにはなった巨大な蒼爪、叩いてはダメ、押しつぶしてもダメ、弾いてもダメ、ならばどうするか?

発するのは最小限の龍剄でいい、左右の両掌。鋭い巨大な龍の爪を包む。優しく抱きこむように包み込むのだ。

青鬼状態の発動に一瞬、気を取られた道玄は、それに気づいた時には遅かった。

「爪を圧縮した!!」

圧縮した空気を撃ち返す、なんてことをしたとしても道玄には恐ら通じない。むしろもったいない、こんなにいい龍剄を手放すのはもったいないじゃないか!

おれは大きく口を開いた。おれの「中」に龍剄(毒:力)を!!

喉を奔り灰を限界の限界までふくらませ!

「翠龍の毒……発動!」

関節という関節に加圧の、否、取り込んだのはただの力:毒ではない。龍の親玉の力:毒。付加されるのは超加圧!超加圧のエアークッション!

「取り込んだ……。阿呆、そんなことをすれば身体がバラバラ……ッ!?」

歯を食いしばり取り込んだ力:毒を逃さない。両腕を大きく開き身体を回転させ、隅々にいきわたらせる。

超加圧エアークッション、力動操作による身体制御…………加えて、青鬼状態。

「なにがバラバラになるって?おっさん」

「鬼と龍を制圧(手なづけ)たのか……。」

翡龍と青鬼をひとつとして生まれし異形

「名付けて碧鬼状態(ミドリオニモード)だっ!いくぞ、おっ……」

「ふんっ!」

言い終わる前に撃ちこまれる弾針剄……

「有無を言わせぬ攻撃かよ。ホント容赦ねぇな」

が1秒前におれをいた場所を吹き飛ばす。

「避けた……か。」

「全然、当たる気しねぇわ」

青鬼状態は命を極限まで弱めて生へと手を伸ばす同時に身体能力は格段に下がる故にそこを補うのが翠龍の毒。ただし、弱い力:毒ではいけない。高濃度で高威力のこってりとした力:毒。それを融和させるのが力動操作……光有れば影がある、影があれば光もある、陰陽と同じ。

雑に言えば絶対的な危機察知+回避力+超身体能力。

「当たる気がしない?忘れたか貴様は牢に……」

「牢?ああ、コレか?」

右腕で大きく弧を描く、二度、三度……周囲の爪を巻きこそぎ集め牢を捻じり突破する。

「なっ……」

「返すぜおっさん、蒼龍……惨爪だっ!!」

かき集められた蒼龍爪は地を割り猛進する。その爪は切り裂くとは表現しがたい、対象を抉り轢き潰す狂刃。
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