ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【3】
ー大江戸学園:海岸ー
「儂、一個人……か。」
打っては返る波の飛沫を見つめて道玄はつぶやいた。雲水は続ける。
「オレの立場から見れば、小僧…悠が伝えたいことも、逆にお前さんが思ってることも割と分かってるつもりだ。」
「割と、か。」
「割とだ。がはははっ。」
「はははっ。」
しばし笑い合った二人。その合間だけ実に穏やかな空気だった。しかし、感じる確実に近づいて来るモノの気配。
雲水は道玄に背を向けていった。
「それじゃオレはー下がらせてもらうぜ」
「……割と分かっているお前に聞こう。儂はどうすれば、どうあればいい?」
「そんなもん決まってんだろ。生意気を言う餓鬼にきつーいお仕置きをしてやるのが大人の務めだ。叩きのめせ、そして思い知らせてやれ。九頭竜道玄って男をな。」
道玄は雲水の言葉を背中に受け止めて、ひと言だけ「ああ」っと返した。そして本当に、本当に小さな声で……。
「すまん、な。」
礼を伝えた。
聞こえたのか聞こえてないのか雲水はドスドスッと砂浜を踏みしめて歩いていく。視線の先には蛮勇のチャレンジャー小鳥遊悠の姿があった。
「がははっ。時間通りだな。」
「佐々木小次郎の真似をしても効果なさそうな相手だからな。」
「案外効果あるかも知れねぇぜ。」
「ふんっ。」
大笑いする雲水の横を通り抜けようとすると……。
「悠、道玄に思い知らせてやれ。小うるさい覇気のないおっさんに喝を入れてやるのが大弟子の務めだ。ぶっ飛ばして、そして思い知らせてやれ。小鳥遊悠って男をな。」
「雲水…………そうやって道玄のおっさんも煽ったのか?」
「がははははっ。バレたか!察しの良い奴だぜ。まー、なんにしてもオレの出来る限り膳立てはした。あとはお前らの喧嘩だ。死ぬ気で死なない程度にやれ!」
「そらどーも…。」
小鳥遊悠が引っ張り上げれない部分を百目鬼雲水が引っ張り上げて九頭竜道玄という男を然るべき状態にまで戻した。
結果だけでいえば、この時点で既に目的は達しているといってもいい。あとは「すまなかった」と謝って、手を取り合えば万々歳……なのだが、怒龍も天邪鬼も語ることを言葉ではなく拳でしか語れない不器用な生き物なのだ。
悠の気配を感じてゆっくりと振り返る道玄。その目に映ったのは……。
「弾針剄!!」
挨拶も礼儀もあったものではない。悠は臨戦態勢に入る前の相手に全力の龍剄気功をぶっ放したのだ。
砂を巻き上げ破裂音を轟かせながら空気の弾丸が道玄に直撃す……
「まるで稚児の遊戯だな」
「えっ……。」
倒される身体、息をつく暇もなく龍の巨拳が悠の顔面へと……落下した。
「儂、一個人……か。」
打っては返る波の飛沫を見つめて道玄はつぶやいた。雲水は続ける。
「オレの立場から見れば、小僧…悠が伝えたいことも、逆にお前さんが思ってることも割と分かってるつもりだ。」
「割と、か。」
「割とだ。がはははっ。」
「はははっ。」
しばし笑い合った二人。その合間だけ実に穏やかな空気だった。しかし、感じる確実に近づいて来るモノの気配。
雲水は道玄に背を向けていった。
「それじゃオレはー下がらせてもらうぜ」
「……割と分かっているお前に聞こう。儂はどうすれば、どうあればいい?」
「そんなもん決まってんだろ。生意気を言う餓鬼にきつーいお仕置きをしてやるのが大人の務めだ。叩きのめせ、そして思い知らせてやれ。九頭竜道玄って男をな。」
道玄は雲水の言葉を背中に受け止めて、ひと言だけ「ああ」っと返した。そして本当に、本当に小さな声で……。
「すまん、な。」
礼を伝えた。
聞こえたのか聞こえてないのか雲水はドスドスッと砂浜を踏みしめて歩いていく。視線の先には蛮勇のチャレンジャー小鳥遊悠の姿があった。
「がははっ。時間通りだな。」
「佐々木小次郎の真似をしても効果なさそうな相手だからな。」
「案外効果あるかも知れねぇぜ。」
「ふんっ。」
大笑いする雲水の横を通り抜けようとすると……。
「悠、道玄に思い知らせてやれ。小うるさい覇気のないおっさんに喝を入れてやるのが大弟子の務めだ。ぶっ飛ばして、そして思い知らせてやれ。小鳥遊悠って男をな。」
「雲水…………そうやって道玄のおっさんも煽ったのか?」
「がははははっ。バレたか!察しの良い奴だぜ。まー、なんにしてもオレの出来る限り膳立てはした。あとはお前らの喧嘩だ。死ぬ気で死なない程度にやれ!」
「そらどーも…。」
小鳥遊悠が引っ張り上げれない部分を百目鬼雲水が引っ張り上げて九頭竜道玄という男を然るべき状態にまで戻した。
結果だけでいえば、この時点で既に目的は達しているといってもいい。あとは「すまなかった」と謝って、手を取り合えば万々歳……なのだが、怒龍も天邪鬼も語ることを言葉ではなく拳でしか語れない不器用な生き物なのだ。
悠の気配を感じてゆっくりと振り返る道玄。その目に映ったのは……。
「弾針剄!!」
挨拶も礼儀もあったものではない。悠は臨戦態勢に入る前の相手に全力の龍剄気功をぶっ放したのだ。
砂を巻き上げ破裂音を轟かせながら空気の弾丸が道玄に直撃す……
「まるで稚児の遊戯だな」
「えっ……。」
倒される身体、息をつく暇もなく龍の巨拳が悠の顔面へと……落下した。