ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー大江戸学園:大江戸城天守閣ー

道玄「何をいった?何をしている?」

悠「ぐだぐだ弱音しか吐かねぇおっさんの胸ぐらを掴んでるんだよ。」

道玄「貴様…」

悠「他の奴が言えねぇんならおれがハッキリ言ってるよ。そうやって過去に引っ張られてるんならな、思い出でもしゃぶって引きこもってろよ!!」

道玄「……!!」

反射的というよりも明確にそして的確に悠の横っ面に怒龍の拳が炸裂する。

部屋に中に響いた数発の鈍い破裂音。

鬼が龍の肩を掴み、虎が腕を打ち上げ、巨神が肘を拳に落とす……が、止まらぬ龍の殺意。

悠「くっ……ぬぅっ!!」

止まらないにしても雲水、寅、金剛三人の横やりで破壊力、スピードは激減。間一髪、拳を左腕でガードした。

道玄「貴様はぁ!!」

悠「うるせぇっ!!文句があるなら表に出ろ!!いくらでも相手になってやるっ!!」

道玄「……吐いた唾は飲まさんぞ」

悠「おう、一時間後、海岸に来い。好きなだけ相手しやる。」

道玄「ふんっ」

掴んでいた胸ぐらを手をどけて道玄は天守閣から足音を響かせて出ていった。その背中を見送り……。

悠「っ…………はあぁっ」

その場に仰向けで倒れた。

吉音「悠!」

凍った時間が動きだすと同時に皆が悠に駆け寄る。

悠「大丈夫だ、ちょっと脳が揺れただけ、10分で治す。」

寅「その腕もか?」

腕の中ほどでガードしたはずだったが手首の先から肘の先までが紫に緑を混ぜたような痣が広がっている。

詠美「それ、折れてるんじゃ…」

悠「折れちゃいないけど……痺れて指一本動かない。金剛」

金剛「なんだ」

悠「薬……持ってんだろ。全部クレ」

金剛「よくわかったな。」

悠「柏のボケのことだそういうのを持たせてるぐらい読める……。っか、動けない塗ってくれ。」

金剛「わかった。」

ポケットから白いチューブのようなものを取りだすと大きな手に中身をすべて絞りだして悠の腕の全体に塗り込んでいく。

悠「ぐっ…」

雲水「がはははっ。しかし、小僧さっきのは目上の者っーか、道玄にいっていいこっちゃねぇぞ。」

悠「おれが言わなきゃアンタだっていわない。神姫だったいわない。誰も言わないだろ。あのおっさんは今のままじゃダメだ。なら、本音をぶつけるしかない。それに……」

雲水「それに?」

悠「おれは不思議なことにひとを怒らす才能があるらしい……からな。」

雲水「がはははっ。なかなか面白いことを言う!けど、後には引けんぞ?」

悠「引く気はない。実際おれだってイライラしてたんだ。今度はおれがあのおっさんの横っ面殴ってやるよ。」

寅「俺の剣かは避ける癖に、アレには喧嘩を売るんだな」

悠「なりゆきだ。……よし、手は動くようになった。」

金剛「分かってると思うが痛みを麻痺させてるだけだからな。」

悠「ああ、分かってる」
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