ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました
ー新宿:茶屋小鳥遊堂(奥部屋)ー
店番を新に頼んで俺は禅を店の奥に上がってもらった。
最初に崇と拳二が上がって以来まだ誰も入れてない部屋だ。俺もほとんど使っていないのでまっさらな状態だった。
改めて見ると広さは八畳で割りと広く、室内にあるのは押し入れと食器棚。ちゃぶ台。あとはブラウン管の地デジが対応していないテレビだけだった。
俺の私物はまだ何もない、前の店主がおいていったものだけだ。
禅はちゃぶ台の上にノートパソコンを置いて、手早く起動しながらいった。
「悠…さん…は…本当に…なんで…も…できます…ね。」
おれは首を傾げた。
いったいなんのことだろう。
「いえ…本当に…お店を…して…いま…す…から」
「いやいや、それいったら美喜もそうだし、千夜や六花だってそうだろ。おれなんか全然だよ。」
禅は謙遜しなくてもとかすれた声で笑った。
ダースベーダーみたいだ。
ちゃぶ台の上でクルリとパソコンをおれの方に向ける。
画面には色入りの丸い眼鏡を掛けた痩せた男がこっちにピースを向けている。
一見したら陽気なスナップ写真に見えるけど、その男が着ている高そうなジャケットには真っ赤に熟したトマトをいくつもぶつけた跡みたいに血が付着している。
おれは呆気にとられながらいった。
「このファンキーな兄さんは?」
「その…人が…王狐文…さん…です。王組の…若頭で…新宿の…大将」
ため息しか出なかった。
崇は崇で苦手だけど、こーゆー笑顔で人を殺しそうな人間はもっとも苦手なのに。
おれは羊羮を丸々一本皿に乗せて、禅の前に置いた。
「聞きたくないけどどんな人間なんだ?」
「「王狐文」…本名は…不明…王…は…本名…らしいですが…。生まれ…は…日本…もと…もとは…王組の…構成員…として…地元で…シノギを…して…居まし…たが…個人で…王組の…一部を…使い…彼が…新たに…築いた…組織は……新宿区を…本拠地に…今や…アジア…南アメリカ諸国……まで…に…マー…ケット…を……広げ…て…います」
禅は話ながら、羊羮をパクパクと片付ける。
普段から思っていたけどあの小さな身体にどうつまっているのだろうか。
そもそも、いったい糖分意外の栄養はどうやってつくってるのだろうと、思いながら今度はあんこたっぷりの団子を皿に並べた。
すぐに手が延びて、団子が串だけになっていく。
「マーケットってなんだ?」
その時、禅の手が止まった。
片方だけ見えている目でおれをしっかりと見つめてくる。
「これは…あくま…で…噂…です…。……人身・臓器…売買…組織…の……総元締め…だ…とか」
「マジかよ…」
おれは悲鳴をあげたくなった。
崇のやつはとんでもないところにおれを送り込んでくれたのかもしれない。
店番を新に頼んで俺は禅を店の奥に上がってもらった。
最初に崇と拳二が上がって以来まだ誰も入れてない部屋だ。俺もほとんど使っていないのでまっさらな状態だった。
改めて見ると広さは八畳で割りと広く、室内にあるのは押し入れと食器棚。ちゃぶ台。あとはブラウン管の地デジが対応していないテレビだけだった。
俺の私物はまだ何もない、前の店主がおいていったものだけだ。
禅はちゃぶ台の上にノートパソコンを置いて、手早く起動しながらいった。
「悠…さん…は…本当に…なんで…も…できます…ね。」
おれは首を傾げた。
いったいなんのことだろう。
「いえ…本当に…お店を…して…いま…す…から」
「いやいや、それいったら美喜もそうだし、千夜や六花だってそうだろ。おれなんか全然だよ。」
禅は謙遜しなくてもとかすれた声で笑った。
ダースベーダーみたいだ。
ちゃぶ台の上でクルリとパソコンをおれの方に向ける。
画面には色入りの丸い眼鏡を掛けた痩せた男がこっちにピースを向けている。
一見したら陽気なスナップ写真に見えるけど、その男が着ている高そうなジャケットには真っ赤に熟したトマトをいくつもぶつけた跡みたいに血が付着している。
おれは呆気にとられながらいった。
「このファンキーな兄さんは?」
「その…人が…王狐文…さん…です。王組の…若頭で…新宿の…大将」
ため息しか出なかった。
崇は崇で苦手だけど、こーゆー笑顔で人を殺しそうな人間はもっとも苦手なのに。
おれは羊羮を丸々一本皿に乗せて、禅の前に置いた。
「聞きたくないけどどんな人間なんだ?」
「「王狐文」…本名は…不明…王…は…本名…らしいですが…。生まれ…は…日本…もと…もとは…王組の…構成員…として…地元で…シノギを…して…居まし…たが…個人で…王組の…一部を…使い…彼が…新たに…築いた…組織は……新宿区を…本拠地に…今や…アジア…南アメリカ諸国……まで…に…マー…ケット…を……広げ…て…います」
禅は話ながら、羊羮をパクパクと片付ける。
普段から思っていたけどあの小さな身体にどうつまっているのだろうか。
そもそも、いったい糖分意外の栄養はどうやってつくってるのだろうと、思いながら今度はあんこたっぷりの団子を皿に並べた。
すぐに手が延びて、団子が串だけになっていく。
「マーケットってなんだ?」
その時、禅の手が止まった。
片方だけ見えている目でおれをしっかりと見つめてくる。
「これは…あくま…で…噂…です…。……人身・臓器…売買…組織…の……総元締め…だ…とか」
「マジかよ…」
おれは悲鳴をあげたくなった。
崇のやつはとんでもないところにおれを送り込んでくれたのかもしれない。