ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー大江戸学園:茶屋小鳥遊堂ー

悠「粉と水をボウルに入れる。左腕を捻る龍剄を送る。ゆるやかに指先をボウルに突き刺す!」

ギャルルルッ!

吉音「おー」

悠「これで満遍なくダマにならずに混ざる」

吉音「さすがぁ!」

悠「ふふんっ!」

久秀「で、残りの整形や蒸らし、焼きとか出来るわけ?」

悠「……」

久秀「はぁ、片手が使えないのに中途半端に作業ができても困るのよね。」

悠「…………」

吉音「まぁまぁ」

久秀「まぁ、もともと悠の働きなんて少しだったし問題はないけどね」

悠「いやいや、おれお手製のお菓子がないと困るだろぉー」

久秀「適当に仕入れるから問題ないわ。」

悠「おいおい、仕入れられたらおれの仕事が……」

久秀「とりあえず、悠の仕事はこれを店の前に出してくることね」

悠「なんだこれ?」

吉音「暖簾?」

【松永堂】

悠「やめろーーっ!!」



ー大江戸学園:大江戸城お堀近くー

寅「ふぅ……はぁ……」

左近「せいが出ますねぇ」

寅「……左近、か。」

左近「ちゃーんと病院いってますかい?再入院とはいわなくても、一応傷は見てもらわないとダメですよ?」

寅「ふぅーー……唾でもつけときゃ治る」

左近「いや、せめて抜糸はちゃんといってくださいよ。」

寅「ふんっ」

左近「ああ、それとですね。」

寅「まだなんかあるのか」

左近「色々ありますよ。」

寅「あ?」

左近「まず、スカウトから」

寅「スカウト?」

左近「火盗改めと奉行所の方からね。どっちも寅さんに手伝って欲しいとのことです。」

寅「はつ、お断りだ」

左近「まぁ、そういうだろうと思って私の方から断っておきましたよ。それで次に風魔について……これに関しては私の方でも動いてますが……いやぁ、凄いですね。まったく詳細が掴めていません。」

寅「役に立たない奴だ」

左近「わー、辛辣」

寅「…………」

左近「それで最後の報告は……来てくれましたよ」

金剛「よう」

寅「ああ。ずいぶんと早く連絡がついたんだな」

左近「はっはっ、私と金剛さんには共通の知り合いがいまして、ねぇ?」

金剛「まぁ、な。それでわざわざ何で俺を呼び出した?」

寅「……少し歩くか」

金剛「……いいだろう。」

左近「ほんじゃま、私は仕事に戻るんで失礼しま……」

寅「歩くといったが少し走っていいか?」

金剛「ああ、かまわんよ」

左近「もう行っちゃってるんだもんなぁ」
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