ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】
ー大江戸学園:工場跡地前ー
悠と寅の決戦が白熱するとは対照的に周囲の木偶狩りは、ほぼ終息に向かっていた。そうなると、自然と視線は熱を帯びている方へと向いていく。
現時点での最高指揮官(久秀は既に指揮を放棄)である想が叫んだ。
「みなさん、まだ動いている木偶は居ます!最後の処理を終えてから、ある程度巻き込まれない距離で観戦するようにしてください!」
オーッという返事が聞こえたのでとりあえずは安心する。
「どうやら間にあったみたいだな」
ふと、聞きなれない声に振り返ると悠の友人である池袋の王さまが姿があった。
「これは虎狗琥さん。何をしに……は、聞かなくてもいいですね。」
チラッと悠たちの方を見る。
「話が早くて助かる。悠の周りには足りないのと察しがいいのの差が大きいからな」
「褒められていると受け取っておきますね。」
「くくっ。」
冷たい空気が流れるように笑う王様。
「しかし、耳が早いですね。事前に日取りを決めていたわけではない決闘ですのに……」
崇はとがった顎をしゃくっていった。
「あそこにいる男に何かあればすぐに連絡を寄越すように言付けていたからな。」
「あはは」
巨大な斬馬刀を地面に刺して笑いながら会釈したのは左近だった。
「なるほど……一応聞きますが便(移動船)はなかったはずですよね。」
「それもあの男の手はずだ。」
同じ仕草で左近をさした。そして、何を言われているのかわかっているのだろう。笑って再び会釈をする。
「この事に関しては深く追求しないようにしておきます。」
「アンタはいい役人になれるな。おっと、既になっていたか」
「それほどの物でもありませんよ。あちらで皆さん見学されてます。行きますか?」
「そうだな」
最前席……ではないが、どこから持って来たのか雲山たちは椅子に腰かけて眺めていた。
「ずいぶんと優雅だな」
「「虎狗琥崇…」」
声を揃えたのは当然風雷コンビ。それを聞いて立ち上がったのは雲山と灯だった。
「貴方が崇さんですか、父、百目鬼雲水が世話になっています。百目鬼雲山といいます」
「猿渡東の息子、灯です」
「虎狗琥崇だ」
淡々と挨拶が終わると雲山はスッと手を伸ばした。握手を求めているのだろう。
崇はじっとその手を見つめる。そのまま数十秒……。白熱している向こうとは違って、こちらの空気と温度はどんどん冷えていく。
手をひっこめようとしない雲山の顔へと視線を移して崇はようやくその手を握り返した。
「ふっ…」
「ほぅ…」
ミ゛ッ……得体のしれない尋常じゃない音が握り合っている手の辺りからなった。
悠と寅の決戦が白熱するとは対照的に周囲の木偶狩りは、ほぼ終息に向かっていた。そうなると、自然と視線は熱を帯びている方へと向いていく。
現時点での最高指揮官(久秀は既に指揮を放棄)である想が叫んだ。
「みなさん、まだ動いている木偶は居ます!最後の処理を終えてから、ある程度巻き込まれない距離で観戦するようにしてください!」
オーッという返事が聞こえたのでとりあえずは安心する。
「どうやら間にあったみたいだな」
ふと、聞きなれない声に振り返ると悠の友人である池袋の王さまが姿があった。
「これは虎狗琥さん。何をしに……は、聞かなくてもいいですね。」
チラッと悠たちの方を見る。
「話が早くて助かる。悠の周りには足りないのと察しがいいのの差が大きいからな」
「褒められていると受け取っておきますね。」
「くくっ。」
冷たい空気が流れるように笑う王様。
「しかし、耳が早いですね。事前に日取りを決めていたわけではない決闘ですのに……」
崇はとがった顎をしゃくっていった。
「あそこにいる男に何かあればすぐに連絡を寄越すように言付けていたからな。」
「あはは」
巨大な斬馬刀を地面に刺して笑いながら会釈したのは左近だった。
「なるほど……一応聞きますが便(移動船)はなかったはずですよね。」
「それもあの男の手はずだ。」
同じ仕草で左近をさした。そして、何を言われているのかわかっているのだろう。笑って再び会釈をする。
「この事に関しては深く追求しないようにしておきます。」
「アンタはいい役人になれるな。おっと、既になっていたか」
「それほどの物でもありませんよ。あちらで皆さん見学されてます。行きますか?」
「そうだな」
最前席……ではないが、どこから持って来たのか雲山たちは椅子に腰かけて眺めていた。
「ずいぶんと優雅だな」
「「虎狗琥崇…」」
声を揃えたのは当然風雷コンビ。それを聞いて立ち上がったのは雲山と灯だった。
「貴方が崇さんですか、父、百目鬼雲水が世話になっています。百目鬼雲山といいます」
「猿渡東の息子、灯です」
「虎狗琥崇だ」
淡々と挨拶が終わると雲山はスッと手を伸ばした。握手を求めているのだろう。
崇はじっとその手を見つめる。そのまま数十秒……。白熱している向こうとは違って、こちらの空気と温度はどんどん冷えていく。
手をひっこめようとしない雲山の顔へと視線を移して崇はようやくその手を握り返した。
「ふっ…」
「ほぅ…」
ミ゛ッ……得体のしれない尋常じゃない音が握り合っている手の辺りからなった。