ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー元発電施設:内部ー

風魔「付き合い切れん、な。灯、残りの棍はいずれ……」

豊久「せぃっ!」

斬!

何かを言いかけた風魔の背後から豊久の大太刀が振りおり一刀両断する。

木偶人形【……】

見事二つに両断されたのは風魔ではなく木偶。

豊久「木偶……いつのまに」

風魔「こっちだ」

風魔「いいや、ここだ」

風魔「ここ、ここだ」

豊久「お?」

豊久を囲うように風魔が三体現れる。

寅「分身か?」

灯「あれは恐らくダミーバルーン」

悠「バルーンって……風船?!」

風船とは思えない精巧な作りをしている。

豊久「分身だろうが、分裂だろうが全部断てば問題ない!」

言うが早いか豊久は近いところにいる風魔に斬りかかる。

悠「どう考えてもあれ全部偽物だろ。本物は……」

風魔「……」

悠「居た!弾針剄!」

一番離れた位置で逃げようとしている風魔に目がけて空気の弾丸を放つ。直撃した瞬間、パァンと音を立てて破裂した。

風魔「……」

寅「こいつか!」

わずかな気配を察して寅は物陰にいた風魔に蹴りかかった。しかし、これもまたパァンと音を立てて破裂する。

雲山「これは……」

灯「まずいですね。」

そこらかしこから風魔ダミーバルーンが膨らみ始める。どうやら初めから一定の時間がたつと膨らむように仕掛けがしてあったらしい。

雲山「このままでは本当に逃げられてしまいますね……」

悠「しらみつぶしに潰していくか!」

灯「外の包囲は崩れ、ここもかく乱、恐らく捕えるのは無理でしょう。」

悠「……」

灯「悔しいですが……諦めて外の援護に回りましょう。」

雲山「ここまでしっかりと作戦を練って包囲して……ひとりにかき回されるとは……。私も少々敵を軽んじていたかもしれない、な。」

悠「っか、問題はそこじゃない。」

雲山「ん?」

悠「天の一員にああいうのが増えることだ」

雲山「……」

灯「……」

悠「まぁ、とりあえず今は灯のいう通りここより外の混乱をどうにかしよう。おーい、豊!寅!行くぞ!」

豊久「おう?風魔は?」

悠「もう逃げられてる。ここより、外だ。風船遊びは終わり!!」

豊久「ちぃっ、仕方ない。わがった!!」

悠「おう……あれ、寅は?」

灯「先に外に出たのでは?」

悠「かもな。よし、おれ達も行こう。」

雲山「ああ」


~~

風魔「ほぅ、目ざとい。追ってこれたか」

寅「小細工ばかりしやがって……覚悟しろ」
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