ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー元発電施設:内部ー

白フード「ちっ、あの男は本当に目障りだ。」

風魔「そうか?我はなかなか面白いと思うが。」

白フード「天さんと同じようなことを言うな!もういい、私はフーを回収したら撤退する。お前はどうにでもしろ!」

風魔「くくっ。当然、風は自由よ。」

奴らの話がまとまったのか風魔は機械で構成される八本の義手を再び伸ばしだした。

悠「あの義手……どうなってるんだ。」

寅「あ?」

悠「いや、一本や二本ならともかく、八本もどうやって操ってるんだ……」

寅「お前、いまそれを疑問するか?」

悠「脳波コントロールしてるみたいに正確に操れてる。だけど八本の腕自体は全部義手……。なあ、風魔は腕がなかったりしたか?」

灯「いえ、ちゃんと二本の腕は本物でした。」

悠「そうなると……本物の腕は隠してるってことか」

豊久「……よー見たら彼奴の胸元が不自然にふくらんじょる。あの機械義手はこう背負うような形でつけていて両の腕はこう組むような態勢じゃないが?」

灯「言われてみれば確かに」

悠「……その胸元が怪しいな」

寅「そんなもんはいいから、どうするんだよ。」

悠「どうするもこうするも……邪魔なら義手を壊すしかないだろ。」

灯「ですね。」

豊久「わかりやすい作戦じゃ。」

寅「作戦ていうのかこれ……」

悠「細かいことは良いんだよ!」

風魔「話は済んだか?」

蜘蛛のように機械義手を伸ばして準備万端の風魔が薄っ気味悪く笑う。

悠「済んだよ。ただし、端的にお前を倒すっていう話だけどな!」

風魔「くくっ、惑え、闘え、混沌を広めろ。」

槍の如き勢いで義手が突き立てられてくる。

おれ達は四方に散った……が、思い切り横薙ぎに振りぬかれておれの横腹に直撃する。

悠「ぐぁっ?!」

改めて受けてみると見た目も質感も人間の腕そのものだ。しかし、威力はけた違い。

細くはないにしろ、ある程度の太さしかない腕におれの身体は押し飛ばされそのまま壁に叩きつけられる。嫌な壁ドンだ…。

風魔「くくっ」

寅「あの馬鹿」

灯「大丈夫でしょうか」

寅「平気だ。あいつはゴキブリよりしぶとい。叩きつけられたぐらいじゃどうにもならない」

悠「だれがゴキブリだ!!」

寅「ほらな、聞こえてる。」

灯「あはは…。」

豊久「ふんっ、はっ!」

四人集まっても豊久の行動は変わらない。敵を倒す、だ。最短で直線の一番危険領域(デッドゾーン)を突き進む。

風魔「まるで猪だな」

直線で来るのなら又も槍のような勢いで腕を突き付ける。避ければ横薙ぎ、跳ねれば鞭のようにしならせる。攻守一体の機械義手。

豊久「ふーーーっ、はぁぁぁっ!」

しかし、豊久は正面から向かい来るものを正面から斬りふせたのだ。

硬いものと硬いものがぶつかる轟音。

風魔「なかなかの豪胆。しかし、腕は一本ではないぞ。」

残りの機械義手が豊久に集中して降り注ぐ。
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