ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー元発電施設:内部ー

木偶人形改【……】
木偶人形改【……】
木偶人形改【……】
木偶人形改【……】

四体の木偶人形隊は一斉に構えをとる。
状況が状況でなければ見ごたえのある演武だろう……。

想「赤龍というのは確か……」

灯「龍剄気功のひとつで足、つまりは地面のエネルギー(地電)を発する龍です」

寅「おい、お前は平気なのか」

豊久「ちぃと、ビリっと来たが問題なか」

想「赤龍というのは機械でも使えるものなのですか?」

灯「いえ、いくら生体コアを使っていてもそれはあり得ません。」

風魔「うむ、雷撃はただの仕掛けよ。くくっ」

灯「……らしいです」

寅「だが、あの木偶の動きは明らかに龍剄つかってるやつの動きだろ」

灯「ですね……。なんにしても武術と赤龍モドキの組み合わせは厄介です。」

想「はい、それにあんなものが大量生産されてしまうと手に負えなくなります。」

木偶達はじりじりと想達を取り囲むように移動していく。対して風魔はいまだに機材のうえで胡坐をかいて動かない。

風魔「その木偶達は特別製といっても急仕上げ。地下の三体とここの四体しか創れていない」

灯「地下のことも知っていましたか…。」

風魔「くくっ。当然。」

寅「なら、なんで逃げなかった」

風魔「その方が面白かろう。雲の者は苦虫を噛んだ顔をしていたがな」

豊久「なんがしたいんか、分からん奴じゃな」

風魔「我は混沌を好む。ただ、それだけよ。くくくくっ」

寅「ドはた迷惑な奴だな……」

灯「申し訳ありません」

寅「いや、お前が誤らなくてもいいんだけどな…」

豊久「しかし、種がわかれば恐れることもなし。次で一刀断ちじゃ」

想「私も一体は倒して見せます。武器を持たない寅さんは……」

寅「ふん、問題ねぇ。龍剄ってもモドキであって応用はきかねぇんだろ。なら、触れられずにぶっ倒せばいい」

風魔「くくっ。愉しめ。」

風魔の指示で木偶人形が一斉にとびかかってくる。

灯「来ますっ!混戦は危険です。バラけましょう!」

「「はい(おう)!!」」

弾けるように皆が木偶を引き付けて別れる中、豊久はその場から動かない。

豊久「すぅぅぅぅ……」

大きく息を吸い込み、腰を落とす。両足で地面を踏みしめて、刀を大きく上段に振り上げた。

木偶人形改【……】

動かない相手に正面から掛からず、斜めから鋭利な爪を突き付けてくる。

豊久「せいぃぃっ!!」

っが……突きつけられた木偶の腕が地面に落下した。

真上に構えていた刀身がいつの間にか斜め下に降りている。

木偶人形改【……】

豊久「そぃわぁぁっ!」

さらに踏み込み、斜め下にあった刃が今度は斜め上に移動していた。早いではない速いだ。しかも、その刃の軌道は木偶の胴体を抜けている。

豊久が刀を下すと、木偶の上半身が下半身から斜めにずれ落ちた。

風魔「ほう」

豊久「ふんっ!なんぼ、特別性でもとろいわ。さて、忍びの御仁。次は主じゃ。」
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