ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【2】
ー大江戸学園内ー
「なっ…!?」
間抜けな声をあげるおれ。完ぺき完全なタイミングで仕掛けたカウンターフックはヤツの頬骨を砕くことなく真横に空振りした。
次の瞬間、右京山の怒声が耳に突き刺さる。
「なめてんじゃねぇぞ!」
右腕に鈍痛、左頬骨に激痛、人中(鼻と上唇の間)に痺れと熱と衝撃を混ぜたような痛み。
そして、最後に背中と後頭部を思いきり壁にぶつけて、おれはやっと何が起こったのかを悟って両手で遅すぎるガードを固めた。
ベタベタのインファイターの単純なワンパターンコンボ…………どころではなかった。
顔の左から中央にかけて焼けながら痺れるような痛み。鼻から流れ落ちるヌルイ液体が唇を撫でていき口内に広がる鉄臭さにやられた事が脳内でフラッシュバックする。
おれの仕掛けたフックをスウェイで避け、勢いを殺さず逆Cを描くように体を捻って右フック、崩れた体勢ながら、それはガードしたが、威力に負けておれの体は左に傾いた。
そこを狙って右京山の左フックが突き当たり、また体は反対に傾き、ガードもできず、足元もおぼつかない棒立ち状態の顔面に渾身のストレートをぶちかまされた……。
右京山は挑発するようにいった。
「どうした、ボクシングするんだろ?」
「……そうだな。ボクシング、ちょっと勉強させてもらうわ。」
おれは両手で顔を覆った。口から空気を吸い込み、鼻に力を込める、溜まりにたまったはな血を噴き出した。
血濡れた手で前髪を掬い上げる。
視界が良好になり、おれはもう一度ボクシングスタイルに構えていった。
「右京山、第二ラウンドだ。」
「最終ラウンドの間違いだろっ!」
ヤツは完全にインファイトで向かってきた、右、左、右の三連コンビネーションを仕掛けてくる。
おれは腹筋を固めてしっかりと腕で顔を守った。どれだけ打たれても今度はガードを下げない。
右京山が何者かは知らないが強さは冗談抜きの本物だった。
腹を打たれるたびに衝撃が内蔵と骨に痺れる。
こちらが反撃に出る間を与えない連続のラッシュ。
「おらっ、おらっ、おらぁ!」
「ぐっ…」
打たれ続かれ、内蔵が押し上がり空気がせり上がる。
やつはその隙を逃さなかった。
「そこだぁ!!」
腹筋が緩み、肉とあばら骨の間に深々とストレートがめり込んだ。
おれのガードは再び崩される。
やつは地面に着くほどギリギリまで左こぶしを引き付けいた。
避けることは不可能。
右京山のアッパーはおれの下顎を捉えて打ち上げた。首が千切れるかと思うほどの衝撃と火花が散るかと思うほど奥歯がバキンとぶつかる。
「ほらな、最終ラウンドだったろ?」
右京山がなにかをいっている気がした。
しかし、脳みそが揺れ、視界はぐにゃぐにゃのおれに声は届かなかった…。
「なっ…!?」
間抜けな声をあげるおれ。完ぺき完全なタイミングで仕掛けたカウンターフックはヤツの頬骨を砕くことなく真横に空振りした。
次の瞬間、右京山の怒声が耳に突き刺さる。
「なめてんじゃねぇぞ!」
右腕に鈍痛、左頬骨に激痛、人中(鼻と上唇の間)に痺れと熱と衝撃を混ぜたような痛み。
そして、最後に背中と後頭部を思いきり壁にぶつけて、おれはやっと何が起こったのかを悟って両手で遅すぎるガードを固めた。
ベタベタのインファイターの単純なワンパターンコンボ…………どころではなかった。
顔の左から中央にかけて焼けながら痺れるような痛み。鼻から流れ落ちるヌルイ液体が唇を撫でていき口内に広がる鉄臭さにやられた事が脳内でフラッシュバックする。
おれの仕掛けたフックをスウェイで避け、勢いを殺さず逆Cを描くように体を捻って右フック、崩れた体勢ながら、それはガードしたが、威力に負けておれの体は左に傾いた。
そこを狙って右京山の左フックが突き当たり、また体は反対に傾き、ガードもできず、足元もおぼつかない棒立ち状態の顔面に渾身のストレートをぶちかまされた……。
右京山は挑発するようにいった。
「どうした、ボクシングするんだろ?」
「……そうだな。ボクシング、ちょっと勉強させてもらうわ。」
おれは両手で顔を覆った。口から空気を吸い込み、鼻に力を込める、溜まりにたまったはな血を噴き出した。
血濡れた手で前髪を掬い上げる。
視界が良好になり、おれはもう一度ボクシングスタイルに構えていった。
「右京山、第二ラウンドだ。」
「最終ラウンドの間違いだろっ!」
ヤツは完全にインファイトで向かってきた、右、左、右の三連コンビネーションを仕掛けてくる。
おれは腹筋を固めてしっかりと腕で顔を守った。どれだけ打たれても今度はガードを下げない。
右京山が何者かは知らないが強さは冗談抜きの本物だった。
腹を打たれるたびに衝撃が内蔵と骨に痺れる。
こちらが反撃に出る間を与えない連続のラッシュ。
「おらっ、おらっ、おらぁ!」
「ぐっ…」
打たれ続かれ、内蔵が押し上がり空気がせり上がる。
やつはその隙を逃さなかった。
「そこだぁ!!」
腹筋が緩み、肉とあばら骨の間に深々とストレートがめり込んだ。
おれのガードは再び崩される。
やつは地面に着くほどギリギリまで左こぶしを引き付けいた。
避けることは不可能。
右京山のアッパーはおれの下顎を捉えて打ち上げた。首が千切れるかと思うほどの衝撃と火花が散るかと思うほど奥歯がバキンとぶつかる。
「ほらな、最終ラウンドだったろ?」
右京山がなにかをいっている気がした。
しかし、脳みそが揺れ、視界はぐにゃぐにゃのおれに声は届かなかった…。