ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー大江戸学園:工場内試験場-

豊久「むっ?」

寅「……一体だけか」

木偶人形【……】

風魔「くくっ」

寅「誰だ!」

風魔「ようこそお客人よ。風を追うとはご苦労……我からの土産だ。愉しめ」
シュッ…

豊久「なんじゃ。あの奇抜な格好の者ば消えたぞ」

寅「アレか……風魔か。追うぞ」

木偶人形【……】
バッ!
ガッ!
寅「うぉっ!」

風魔を追おうとした寅の前に木偶がぶつかってきた。

豊久「むっ。さっきの彼奴らとは違う動きじゃ」

寅「このっ!」

ジャブを放つ寅、しかし……

木偶人形【……】
パシッ!たんっ……!

寅「!!」

ジャブを払いのけて大きく後ろにとび退く。
原始的かつ突撃な動きしかしなかったはずの木偶が明らかに払い捌いて後ろにとび退いた。

豊久「ほう、やはりこの木偶は動きが違う。ふんっ!」

豊久はほぼ後ろから一刀断ちに刀を振り下ろす。

木偶人形【……】

やはりその場から飛び退いて寅と豊久の射程外まで離脱する。

寅「妙な動きだ」

豊久「大陸の武じゃ」

寅「あ?」

豊久「拳法という言い方のが伝わるか?その類の動きじゃ」

寅「木偶人形が拳法を使うってか……」

木偶人形【……】

木偶は両腕を上下に開いて構えをとる。

豊久「ようば分からんがでーたちゅうもんを入れれば、その通りに動くんじゃないか?」

寅「俺も機械の類に強いわけじゃないが、あんな滑らかな動きはただデータを入れただけじゃ……あ」

豊久「どした?」

寅「そうか……剣魂システムか。そそれを使えばああいう複雑なプログラムも組めるはずだ。ただの木偶人形の改良版ってところか…」

豊久「寅がなにを言ってるかまったくわからんが……アレは壊していいんだろ?」

寅「壊すしかないだろ。向こうはやる気満々だしよ」

木偶人形・改【……】

豊久「わかった。壊すぞ。」

寅「お前がやるのか」

豊久「アレが首級じゃろ。なら、俺(おい)の手柄にする。」

寅「なら、やってみろ。」

豊久「任せい!」

豊久は刀を抜かず、鞘に納めたまま腰から抜いた。そして、次の瞬間には猛スピードで走りだして木偶人形に飛び掛かった。

寅「おいおい…」

豊久「はあぁぁぁっ!」

木偶人形改もそういう行動は想定外だったのか、単に豊久の突撃に押し負けたのか。行動に出る前に組つかれ地面に押し倒される。

木偶人形改【……】

倒れたままの姿勢で殴りかかろうとするも、刀を鞘ごと叩きつけられる。それも一度や二度ではない。動かそうとした箇所、そして何より頭部を重点的にがむしゃらに叩き続けられる。

機械相手だからまだ相手は動いているが、あれが生きた人間だったなら最初の数発で瀕死だろう……。

寅「刀もった人間の戦い方かありゃ…」
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