ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ったく、なんで目と目とがあった瞬間に戦闘開始なんだよ」

豊久「合戦の始まりなんぞそんなもんじゃ。」

寅「リングならゴングも鳴るだろうが喧嘩ならゴングなんてねーだろ」

悠「やだもう、この戦闘狂ども…」

豊久「お前、名はなんじゃ?」

寅「右京山寅。」

豊久「寅、寅かぁ、名前に負けずええ目じゃ。獣みたいな目しとる。」

寅「そういうテメーは誰なんだよ」

豊久「島津豊久じゃ。雲山の叔父どんと道玄の叔父どんに呼ばれてやっちきたんじゃ」

寅「……コイツがいってた奴か」

豊久「よろしゅうの!」

寅「……」

悠「まぁ、風魔討伐には心強い味方だと思う」

寅「喧嘩したのか?」

悠「いや、してない、してない」

寅「なら、使えるかどうかは分かんねぇだろ」

豊久「成程。たすかに話だけじゃわからんだろ。なら、腕ばみてもらおうか」
チャキッ

寅「あぁ。」

悠「やめいやめい」

想「失礼します!悠くん!木偶が出ました!今すぐ出られますか!」

悠「想さん……あ、ちょうどいい。寅、木偶相手にお豊の腕を見せてもらおう」

寅「……」
ググッ
ゴゴッ
豊久「……」

悠「額ごりごりさせ合ってないで行くぞ!野蛮人ども!!」

吉音「あたしもいくー!」

久秀「久秀はいかなーい」

伊都「じゃあ、私も遠慮しますわ」

悠「もー、協調性ゼロ……」



ー大江戸学園:南町奉行所前ー

想「さっそくですが、今回木偶の目撃情報が入ったのは地図上のこの三か所です。うち一か所はすでに同心たちが交戦中との報告が入っています。」

豊久「一番近い場所は俺(おい)が行こうぞ!」

寅「俺も行く」

想「あ、あの……」

悠「すいません。ちょっとアレに木偶の相手させたいのでやらせてやってください」

想「……わかりました。ですが、さすがに右京山さんと二人だけでというわけにはいきませんので。同心をつけます。指揮は」

豊久「すぅー……並べえい!」

同心一同「「「!!」」」
ザッ!

豊久「なぁんが良か兵士(へご)でなかかっ。」

想「……指揮は問題なさそうですね。」

悠「ですね」

寅「お前らは別を叩いてこい。俺はコイツの様子を見る。」

悠「わかった。」

豊久「行ぐぞ!」

同心一同「「「おうぅっ!」」」

吉音「わー、火盗改めみたい」

想「あの方は?」

悠「転入生ですね……。詳しいことはあとで説明します」

想「わかりました。では、我々も行きましょう」
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