ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「とりあえず聞くが」

豊久「なんだ」

悠「雲山のおっさんと道玄のおっさんとの関係は?」

豊久「うむっ。伯母上は九頭竜家、叔父上が百目鬼家の家系だ」

悠「ハイブリット?!」

久秀「叔母と叔父っていったわよ」

豊久「うむ。俺(おい)の父と母早くに亡くなった。その後、叔父上の家で育てられた。」

悠「重いことをさらっと言うよな」

久秀「吉音も親無しは同じでしょ」

悠「お前、ソレ絶対に吉音の前でいうなよ。言ったら割とガチで怒るからな。」

久秀「甘いわねぇ」

悠「甘いとかどうとかじゃなくてこれは人としてのマナーだろ!」

久秀「悠にマナーとか言われる日が来るなんてねぇ。」

悠「はぁ……アンタも悪いな」

豊久「気にしとらん。人の死は理。いちいち感傷に浸ってても仕方ない」

悠「シビアだな」

久秀「久秀はそういう考え嫌いじゃないわ」

悠「まぁ、いいや……っか、もう刀もらってるのか?」

豊久「これは愛刀だ。」
ジャキッ

悠「……持ち込み?」

豊久「そうだ」

悠「……いちおー聞きますけど、それ刃引き(斬れない用)してあるよな?」

豊久「もちろん」

悠「ほっ」

豊久「だが、人も断てる」

悠「あーあー、聞こえない。聞きたくなーい。」

久秀「相当腕には自信があるのね」

豊久「もちろん……といいたいがおいはこれ(剣術)しかできん。おいはしょせん餓鬼よ。親父(おや)っどんや叔父殿っになれん。じゃけんどおいが先に立って出来ることをすば、その間になんとかするもんが居(お)る。それがおいの生き方じゃ」

悠「……」

久秀「悠」

悠「あ?」

久秀「すごいわよ。こんな馬鹿初めて見たわ」

悠「お前バカバカ言い過ぎ」

伊都「私も同じ意見よ」

久秀「だけど使い方次第では相当いい動きするわよ。お豊は」

豊久「そうじゃな。使われる方がおいも身にあっとる。」

悠「おいおい…自分で認めちゃったよ」

豊久「それに道玄の叔父殿、雲山の叔父殿にもしっかり使えるようにいわれてきちょる。天も禍も風魔も、必要ならおいが斬る」

悠「天達のことも聞いてるのか」

豊久「まぁの。難しいことはよーわからんかったが敵だということはわかっとる」

悠「そいつは心強いな」

伊都「気になってたのだけどひとついいかしら?」

豊久「なんじゃ、変わった格好しちょる女女(めめ)」

伊都「拝神夜(おがみないと)ですわ。お豊ちゃんは誰の下についてるの?」

豊久「悠の大将じゃ」

悠「そうか。おれか……おれぇ?!」

豊久「お前に着いて一兵として働けといわれたが?」

悠「聞いてねーよーーー!」

久秀「じゃあ、悠を使ってあげてる久秀の兵として考えていいのね。」

伊都「悠ちゃんの飼い主であるわたくの子分でもいいんですわね。」

悠「どっちも違う!!」
32/100ページ
スキ