ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「さて、店を開いたはいいが……客こねぇーーー!なんで、まだ一組の客も来ていない!どういうことだ!」

寅「……」

悠「WRYYYY!」

寅「……」
そぉっ

悠「はい、そこ!顔出したなら黙って帰ろうとするな!」

寅「かかわるのは絶対に俺が損をすると思った」

悠「いいから、座れよ。それでお団子でも笑顔で食べて美味しいアピールしろよ」

寅「やだよ」

悠「即否定……なんでや!」

寅「めんどくせぇ。あと、お前が得するのがうぜぇ」

悠「お前……色々世話とかしてやってんじゃん」

寅「お前に世話された記憶はない」

悠「ご飯作ってあげたり」

寅「金は払ってるだろ」

悠「まぁ……ね」

寅「金を払ってる相手に食事を提供するのが店だろ」

悠「うちは茶屋であって飯屋ではないんだけどな!」

寅「飯屋やれ」

悠「今更路線変更できるか!!」

寅「できるだろ。むしろ茶屋の選択が間違ってる。お前は場末の飯屋が似合う男だ」

悠「場末かよ!」

シオン「なんだ。珍しく開いてるじゃないか」

悠「らっしゃい!あ、シオン…」

シオン「やぁ、悠。不景気な顔してるなぁ」

悠「不景気な顔って言われた」

寅「不敬な顔でもいいな」

悠「あぁーん?!」

シオン「とりあえず茶をもらおうか」

悠「あ、はい。」

寅「……」

シオン「……」

寅「…………」

シオン「…………」

悠「はい、お待たせ。っか、なんで何もしてないのに空気が冷えてるの…」

シオン「まぁ座れよ」

悠「なんで?」

シオン「座れといっているんだ」

悠「……」
ちょこん

シオン「なぜ、そんな離れて座る?」

悠「いや、別に」

シオン「ならもっとこっちに寄れ」

悠「……」
ススッ

シオン「もっと」

悠「…………」
スススッ

シオン「寄りすぎだ。少し下がれ。」

悠「えー……」
スッ

シオン「ああ、そのくらいでいい。よっと」
ごろんっ
悠「……あのシオンさん?」

シオン「なんだ」

悠「なにしてるんすか?」

シオン「寝ている。ちょっと寝不足なんだ。私の枕にならせてやる」

悠「枕って……」

寅「ずいぶんと寝心地の悪そうな枕だな」

悠「なんだと!」

シオン「男の膝だからな」

悠「認めるの?!」

シオン「だけど、まぁ、仕方ないから我慢してやる。だから静かにして動くな」

悠「えぇ……」
24/100ページ
スキ