ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー大江戸学園:夜道ー

久秀「それじゃあ、みんな帰るのね」

寅「お前のところに泊まると金取られるか寝首かかれそうだ」

久秀「まだかかないわよ」

灯「まだってことはいつかはかく気ですか?」

久秀「くすくす」

寅「……」

灯「雲山くんは今日どうするんです?」

雲山「風君、雷君のところに泊まるよ。さすがに汗を流したい」

雷太郎「狭いところですが」

風太郎「遠慮なく寛いでって」

「「ください。」」

寅「じゃあ、俺も行くわ。またな」

雲山「はい、また」

雷太郎「灯さんも」

風太郎「失礼します」

灯「はい、さようなら。」

久秀「見送りをつけましょうか?」

灯「私だけですか?」

久秀「他の脳筋どもはともかくアナタは……久秀から見ても夜道を歩かせるのは若干気が引けるのよ」

灯「あはは、ご心配ありがとうございます。失礼しますね。」

久秀「そう。気をつけてね。」

「……お送りしてきましょうか?」

久秀「大丈夫でしょう。それより、なんで顔出さなかったの?柳宮宗矩(やぎゅうむねのり)殿」

宗矩「いやぁ、おばさんはほら十兵衛殿がいなくなった後で柳生名のもんが小鳥遊殿の前に現れるのはどうかと思ってねぇ」

久秀「気にしなくていいわよ。あの男がその程度のことでナイーブになるほど細い神経してないから」

宗矩「ははっ、さすが久秀殿。ところでひとついいですか?」

久秀「なに?風魔についてのことが何か分かった?」

宗矩「いえ、そうでなくてですね。最近、妹君がどっかで歩いてますよ」

久秀「……手足の一本でも折って動けないようにしておいて」

宗矩「おばさん、そういう乱暴なことはしたくないんですけど。特に友人の妹君には」

久秀「なんでもいいから適当に悪さしないようにしておいて、こっちが終わったら久秀が監禁するから」

宗矩「はいはい。わかりましたよ。しかし、いい月ですね。ただ、こんな日は……」


~~


灯「……いい月夜ですね。ですが、こんな日は風が不吉なものを運んでくる。君は不吉ですか?風魔君」

風魔「くくくっ、久しいな」
ズズッ

灯「そうですね。こうして顔を合わせて話すのは本当に久しぶりですね。」

風魔「今が愉しいか?」

灯「ええ、楽しいですね。毎日笑うことが多いです……が、それを差し引いても悲しいほうが強いでしょうか」

風魔「悲しい?」

灯「風魔君……迷惑をかけた人たちに謝って帰りませんか?」

風魔「面白い冗談だな」

灯「……話しても通じませんか」
チャキッ

風魔「今宵は挨拶。事を構えるつもりはない。灯、存分に混沌を愉しめ」
バッ

灯「待ちなさい!」

木偶人形【……】
木偶人形【……】
木偶人形【……】

灯「くっ……邪魔!!」

摩耶「よっ、ほっ、はいっ。」
ドッ!ゴッ!ガッ!

灯「摩耶さん!!」

摩耶「いやー、夕飯食べて帰って来たらみんな解散しててこんな所に出くわすとはね。まぁ、助けはいらないみたいだったけど」

灯「いえ、助かりましたよ。ありがとうございます。」
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