ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕【2】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

魁斗「どうですか?」

雲山「…………うん、大事ないです。助かりました。」

魁斗「いやいや、血止め治療が出来てたんで私がしたことなんて……」

雲山「いや、それでも礼を言わせてくれ。久秀殿も、貴殿の治療があって……」

久秀「別にいいわよ」

寅「性悪のお前が礼を断るとわな」

久秀「勘違いしてるみたいだからいっておくけど、久秀は性悪じゃないわよ。悪人なだけ。それに怪我して動けないなんて言われても久秀が運べないんだから、治療して歩かせるほうがいいに決まってるわ」

雷太郎「十分に」

風太郎「性悪だ」

雲山「いや、誠にそのとおり。私は久秀殿が悪人とは思わないよ」

久秀「性悪とは思っていると?」

雲山「ははは、まさかそんな」

吉音「もしかしていい雰囲気?」

寅「どこがだよ…」

悠「で、できたぞ。」

吉音「ごはん!」

悠「鰆の塩焼き、肉じゃが、冷製コーンポタージュスープ、ホウレン草のおひたしとサラダ……」

寅「じゃあ食うか」

悠「一言くらいお礼は?!」

雷太郎「金は」

風太郎「払って」

「「いるだろ。」」

悠「……」

久秀「いただきます。」

吉音「いただきまーす!」

雲山「すいません。無理をいって」

悠「いや、いいんだけどな……。っか、アンタ本当に大丈夫か?」

雲山「もちろん」

悠「タフだなぁ」

寅「死なないって意味ならお前も同じだよ」

悠「何をいってるか分かんない」

寅「……」
スッ

悠「立つな、立つな。拳を握るな」

久秀「ご飯ぐらい静かに食べなさいよ」

吉音「おかわりー!」

悠「へいへい」

魁斗「あ、美味い」

雲山「確かにいい味だ。」

悠「うへへ」

寅「照れてんのか、ソレ…」

吉音「おかわり!」

悠「へいへい。茶屋の店主として美味いといわれるのはやっぱり嬉しい」

雷太郎「作ってる物は」

風太郎「茶屋の品じゃ」

「「ないけどな」」

寅「茶屋じゃなくて定食屋の方が儲かるだろ」

悠「変わらんよ」

久秀「悠はそこそこ絶望的に商才が無いのよ」

悠「そこそこ絶望的にってなんだ!」

久秀「……」

悠「無視?!」

寅「まぁ、言わんとしてることはわかる」

悠「わかるのかよ!」

吉音「おかわり!」

悠「へいへい」

雷太郎「普通に」

風太郎「食い過ぎ」

「「だろ」」

久秀「こんなもんじゃないわよ。」

吉音「えへへっ」

雲山「食欲旺盛なのは女性では珍しい」

悠「そんなことないぜ。おれの知り合いはよく食う女が多いし」

吉音「優日ちゃんとかゆえちゃんとかね!」

悠「おれの財布に確実にダメージを与えてくれる」

久秀「格好つけて奢るからよ」

悠「正確に言うと気がつけば奢らされてるんだ」

寅「アホだろ」

雷太郎「アホだな」

風太郎「アホだね」

悠「うるさいよ!」
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