ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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『魂があったとしたらさぁ、スゴく不公平じゃないか?例えば頭のいい人間の器に入ったら頭がいい、入れなかったら頭が悪いまま死ぬ。病弱な人間の器に入ったら長生きを知らぬまま死ぬ。ねぇ、どう思う?』
亮は匣がいっていることが理解できなかった。どう思うと聞かれてそっちょくな意見を述べる。
『そんなのは生き方次第だろ。勉強を頑張れば頭だって良くなるだろうし』
『きひひ、なるほどテンプレート的な回答だね。』
小馬鹿にしたもの言いにカチンときたが何も言わずに匣の好きなように話させた。多分何か言ったところで無視されるのがなんとなく予想できたからだ。しかし、それから彼女の口から出てきた言葉は今まで以上に理解の範疇を超えた内容だった。
『「魂」は存在する。ボクのフィアンセタカナシ悠にもイトコカシワにもそして君、リョウにもね。じゃあ、具体的に魂というのはなんなのか?キミ達の「喧嘩の記憶」と言ったらいいかな。考えたことがあるかな、キミらが路上、あるいは試合の場で喧嘩したり闘ったりした行動が全て集められているなんてことを……馬鹿なキミには意味が分からないだろう。だから、もっとかみ砕いていってあげよう。キミがパソコンで悠の闘いを見たことあるとする。それはつまり電脳空間に「喧嘩の記憶」を保存しているということだ。個人の記憶などは大したことないなんて思っているだろう、そうじゃない。今の世の中はありとあらゆるところに監視カメラがある。世界中を見て世界中のデータが蓄積される。』
匣は一旦言葉を切るとメタルシルバーが鈍く輝く軽量な電動車いすを操作して亮の方へと向いた。正規品ではなくオリジナルカスタム物なのだろう見たことのない液晶パネルを指でなぞって動かしていた。
『ここまででボクが何が言いたいかわかったかい?』
『……いいや全然』
素直に分からないと首を左右に振る。匣は意地わるそうな笑みを浮かべていた。
『闘路は世界にあるというのは知ってるね。つまりランカー全ての「喧嘩の記憶」いわば「魂の保管庫」というものが存在する。ボクはそのデータファイル空間をアビリティ・アイデンティティ・アヴァロン(能力と自己の宮殿)と呼んでいる。通称AAA(ノーネーム)だ。ボクとカシワ一派は総力をあげてこの「魂」と接続する方法を研究していた。』
『それは凄――ッ』
適当に返事をしようとした亮は重要なワードに気がついた。闘路ランカーの全てのデータを保管している場所がAAA。確かにAAAは柏の部隊名。いつだったか、西の頭脳S・ウルフの電子の賢者烏哭禅がいっていた。闘路は何のためにいつから存在しているか分からないと――それが全て柏の手によって造られたものだというのなのか。
パンクしそうになる思考を割るように匣の薄気味悪い笑い声が耳に届いた。
『きひひ、深読みしているみたいだけど言っておくよ。闘路自体を造ったのはボクでもカシワ等でもないよ。ボクらもそれに目を着けては居て利用した側さ。今でも創生者が何者なのかは分からない。でも、このプログラムは途轍もないものなのは確かだよ。全貌が見えず一部に至ってはボクにも侵入できないプロテクトが張ってある。まぁ、ボクも「はい出来ません。」なんてことで済ませたくないから、知り合いを呼んだんだ。ミハイルっていう性格の歪みきって金に汚いが腕は確かなヤツいるんだけど、ソイツに頼んでも不可能だった。まぁ……一応プロテクトの正体が量子暗号ってことが分かったんだけどね。量子暗号っていうのは――』
量子力学の基本原理であるハイゼンベルクの不確定性原理によると、量子は測定した時点で別の状態に変化し、未知の状態のままでのコピーもできない。
つまり、だれかが量子を観察した時点で別のものに変貌(へんぼう)するため、他者によって観察されたかどうかがすぐにわかる。この原理を利用して、暗号鍵を共有しようというものである。現在の暗号化技術の基本は、送りたいデータに数学的な処理を行うことで、複雑で判読できない別のデータに書き換えるというものである。データを盗もうとする者がこれを解読するには、莫大(ばくだい)なコンピュータ資源と時間が必要となる。つまり、解読が非現実的であることが、安全性の根拠となっている。一方、量子暗号では、他者がだれも見ていないことを確認することで安全性を担保する。これまでの暗号化技術のようにコンピュータの性能が上がることで解読される危険性が増大しないため、究極の暗号化技術なのだ。
亮はクラっとした。もう本当になにを話されているかが不明すぎるのだ。
『きひひ、端的に言うと解除パスを知る人間以外は「絶対」に開けないってこと。ソレはさて置いてボクらは侵入できる所までは侵入して「魂」に触れる方法を見つけ出したんだ。』
エレベーターが停止する。難しい講義を聞いているうちに最下層についたらしい。扉が静かに開くと匣が亮の顔を見つめたままバック外に出る。危ないと心配するより不気味だなと思いながら亮が聞いた。
『「魂」に触れると……どうなるんだ?』
『その前にキミの覚悟を聞かせてくれ。オカザキリョウ、ボクは願を叶えられる。そのためにはキミの口から聞いておかなければならない悪魔を倒すためにキミは何を対価としてボクに支払う?』
払えるものなんてないのだ。金も名誉も地位もない。ただひとりの男。それが自分だと理解している。理解しているからこそ亮はその言葉を呟いていた。
100点満点の答えを聞けたらしく匣は今まで以上に残酷で意地悪な笑みを浮かべて亮に向かって右手を差し出した。握手。
『契約成立だ。さ、今すぐ服を全部脱いでコレをボクの指示する場所に着けたまえ。』
手渡されたのは肩凝りとかに年寄りが貼るエレキバンに似たシール状の何かだった。
亮は匣がいっていることが理解できなかった。どう思うと聞かれてそっちょくな意見を述べる。
『そんなのは生き方次第だろ。勉強を頑張れば頭だって良くなるだろうし』
『きひひ、なるほどテンプレート的な回答だね。』
小馬鹿にしたもの言いにカチンときたが何も言わずに匣の好きなように話させた。多分何か言ったところで無視されるのがなんとなく予想できたからだ。しかし、それから彼女の口から出てきた言葉は今まで以上に理解の範疇を超えた内容だった。
『「魂」は存在する。ボクのフィアンセタカナシ悠にもイトコカシワにもそして君、リョウにもね。じゃあ、具体的に魂というのはなんなのか?キミ達の「喧嘩の記憶」と言ったらいいかな。考えたことがあるかな、キミらが路上、あるいは試合の場で喧嘩したり闘ったりした行動が全て集められているなんてことを……馬鹿なキミには意味が分からないだろう。だから、もっとかみ砕いていってあげよう。キミがパソコンで悠の闘いを見たことあるとする。それはつまり電脳空間に「喧嘩の記憶」を保存しているということだ。個人の記憶などは大したことないなんて思っているだろう、そうじゃない。今の世の中はありとあらゆるところに監視カメラがある。世界中を見て世界中のデータが蓄積される。』
匣は一旦言葉を切るとメタルシルバーが鈍く輝く軽量な電動車いすを操作して亮の方へと向いた。正規品ではなくオリジナルカスタム物なのだろう見たことのない液晶パネルを指でなぞって動かしていた。
『ここまででボクが何が言いたいかわかったかい?』
『……いいや全然』
素直に分からないと首を左右に振る。匣は意地わるそうな笑みを浮かべていた。
『闘路は世界にあるというのは知ってるね。つまりランカー全ての「喧嘩の記憶」いわば「魂の保管庫」というものが存在する。ボクはそのデータファイル空間をアビリティ・アイデンティティ・アヴァロン(能力と自己の宮殿)と呼んでいる。通称AAA(ノーネーム)だ。ボクとカシワ一派は総力をあげてこの「魂」と接続する方法を研究していた。』
『それは凄――ッ』
適当に返事をしようとした亮は重要なワードに気がついた。闘路ランカーの全てのデータを保管している場所がAAA。確かにAAAは柏の部隊名。いつだったか、西の頭脳S・ウルフの電子の賢者烏哭禅がいっていた。闘路は何のためにいつから存在しているか分からないと――それが全て柏の手によって造られたものだというのなのか。
パンクしそうになる思考を割るように匣の薄気味悪い笑い声が耳に届いた。
『きひひ、深読みしているみたいだけど言っておくよ。闘路自体を造ったのはボクでもカシワ等でもないよ。ボクらもそれに目を着けては居て利用した側さ。今でも創生者が何者なのかは分からない。でも、このプログラムは途轍もないものなのは確かだよ。全貌が見えず一部に至ってはボクにも侵入できないプロテクトが張ってある。まぁ、ボクも「はい出来ません。」なんてことで済ませたくないから、知り合いを呼んだんだ。ミハイルっていう性格の歪みきって金に汚いが腕は確かなヤツいるんだけど、ソイツに頼んでも不可能だった。まぁ……一応プロテクトの正体が量子暗号ってことが分かったんだけどね。量子暗号っていうのは――』
量子力学の基本原理であるハイゼンベルクの不確定性原理によると、量子は測定した時点で別の状態に変化し、未知の状態のままでのコピーもできない。
つまり、だれかが量子を観察した時点で別のものに変貌(へんぼう)するため、他者によって観察されたかどうかがすぐにわかる。この原理を利用して、暗号鍵を共有しようというものである。現在の暗号化技術の基本は、送りたいデータに数学的な処理を行うことで、複雑で判読できない別のデータに書き換えるというものである。データを盗もうとする者がこれを解読するには、莫大(ばくだい)なコンピュータ資源と時間が必要となる。つまり、解読が非現実的であることが、安全性の根拠となっている。一方、量子暗号では、他者がだれも見ていないことを確認することで安全性を担保する。これまでの暗号化技術のようにコンピュータの性能が上がることで解読される危険性が増大しないため、究極の暗号化技術なのだ。
亮はクラっとした。もう本当になにを話されているかが不明すぎるのだ。
『きひひ、端的に言うと解除パスを知る人間以外は「絶対」に開けないってこと。ソレはさて置いてボクらは侵入できる所までは侵入して「魂」に触れる方法を見つけ出したんだ。』
エレベーターが停止する。難しい講義を聞いているうちに最下層についたらしい。扉が静かに開くと匣が亮の顔を見つめたままバック外に出る。危ないと心配するより不気味だなと思いながら亮が聞いた。
『「魂」に触れると……どうなるんだ?』
『その前にキミの覚悟を聞かせてくれ。オカザキリョウ、ボクは願を叶えられる。そのためにはキミの口から聞いておかなければならない悪魔を倒すためにキミは何を対価としてボクに支払う?』
払えるものなんてないのだ。金も名誉も地位もない。ただひとりの男。それが自分だと理解している。理解しているからこそ亮はその言葉を呟いていた。
100点満点の答えを聞けたらしく匣は今まで以上に残酷で意地悪な笑みを浮かべて亮に向かって右手を差し出した。握手。
『契約成立だ。さ、今すぐ服を全部脱いでコレをボクの指示する場所に着けたまえ。』
手渡されたのは肩凝りとかに年寄りが貼るエレキバンに似たシール状の何かだった。