ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「き……さま……これが…狙い……だったのか匣ォォォォ!!」
悪魔は仰向けのまま叫び声をあげるが彼女は何も答えない。そもそも柏の声が聞こえているかすら不明なのだ。代わりに亮が親指を立てて前後に振る。
「立てよ。殴りも蹴りも足らねぇ。」
「……そうか、貴様。いや、貴様ら使ったのか……「アレ」を使ったのか……!!」
柏は何かに気がついたらしいが亮は無視していった。
「立てってんだろ。蹴り足りねぇって……。」
背中の筋肉の力だけで跳ねあがり悪魔は起き上がる。空中浮遊ともいえる。その動きは先ほど魅せた亮の猫三寸よりも人間を超越している。
「ここに呼び寄せる前にお前ら(悠の関係者)のことは親から親戚まで全て調べ上げてある。岡崎亮知ってるぞ……お前の正体。お前はただのガキだ」
熱気が充満していく火の手は生き物のように全域に広まって二人を包み囲っていく。息苦しさも相まって肩で息をし亮は悪魔の話を聞いていた。
「発展途上で半人前……この戦中でずいぶんと成長したようだが、それでもせいぜい……」
亮は会話を遮るように呟いた。
「「AAA」名前無き者たちは何もなかった。草も砂も海もなく神も悪魔も何も居なかった。」
「なに…お前…なんでソレを知っている」
「世界の始まりは自ら創るものなり」
「おまえ…「扉」を……」
会話が成り立たないまま亮の姿が消えた。
「無視か!!……まあ……いい。話たくないなら薬漬けにでもして初オナのネタまで吐かせてやる。」
悪魔は目を閉じた。高速移動と視覚操作を合わせた、ただの子供騙し気配を手繰ればいい。この男にとって不可思議という現象は返って冷静さを取り戻す鎮静剤と同じなのだ。亮の動きが手に取るように分かる。大きく円を描くように背後へと近付いている。地面を蹴り、勢いをつけて背後から殴りかかろうとしている。
そう読み切った悪魔は逆に蹴りを仕掛けた。ストライクコースに飛んでくると分かっている球を打ち返すのが容易いのと同じで、来ると分かっている仕掛けてくる人間を迎撃するのは悪魔にとっては同じ事だった。蹴りの中でも最強の威力を誇る後ろ回し蹴りを亮は受けて、文字どおり返し球のごとく弾き飛んでいく。ここまでの動きはわずか二秒。
しかし、顔を歪ませたのは悪魔だった。
「ぐッぁ……コイ……ツ…!?やはり……」
突きあげている足がつま先から膝の辺りまでボロボロになっていた。純粋なる戦闘の専門家(スペシャリスト)柏はこの一瞬で全てを理解した。亮が姿を消して僅か二秒に込められた「行動」の意味。
二秒間で亮の取った行動は、後ろ回し蹴りの体勢に上体を反らし腰をひねる柏。その足は当然、上半身と同じく硬化状態、亮は腹ばいになるように回転しながら跳び上がって背面から蹴り足にぶつかる、そこからバク宙に舞って腿を蹴りつけ、ふくらはぎから足首を踏みつけて着地したが、最後の位置が悪く蹴り飛ばされた。
それでもなぜ、そんなことが出来たのか……亮は吹き飛びながら思い出していた。ここに来る前に亮はホテルのロビーでともきの帰りを待っていた。するといきなり現れたのが車椅子に乗った彼女、匣だ。柏の刺客かと用心した亮にいきなりこう話をきりだした。
『初めましてオカザキリョウ。ボクは匣、小鳥遊悠のフィアンセさ。おっと、君は喋らなくていい。時間がないんでね……。だから、黙って今はボクの話を聞け。ボクはこれから悪魔を倒しに行く。しかし、カシワを倒すのは並大抵の事では無理だ。しかし、唯一の可能性はリョウ、君にかかっている。』
『……はぁ?』
『一度しか言わない僕と来い。あの人外非道の悪魔に勝たせてやる』
返事を返す前に体が動いていた。罠かもしれないと疑念を持たなかったわけじゃなかった。それでも亮は誘いに乗ったのだ。匣は笑った。そして今しがた上がってきたエレベーターへと乗り込んで地下へと戻っていく。
終着点までは長い、匣は淡々と喋り出した。
『突然だが君は魂というものを信じるかい?』
『魂……だって?』
『幽霊でもいい。まぁ、そういうものを信じるかという話しだよ。』
こんなときになんの冗談を言っているのかと少女を見下ろした。同年代とは思えないし、中学生と見積もっても人らしい肉づきではない。骨に皮が貼りついている程度。
『女性のうなじがすきなのかい?』
勘がよいのか凝視して気がつかれたのか亮は胸がドキリと跳ねた。気にしたようすなく続ける。
悪魔は仰向けのまま叫び声をあげるが彼女は何も答えない。そもそも柏の声が聞こえているかすら不明なのだ。代わりに亮が親指を立てて前後に振る。
「立てよ。殴りも蹴りも足らねぇ。」
「……そうか、貴様。いや、貴様ら使ったのか……「アレ」を使ったのか……!!」
柏は何かに気がついたらしいが亮は無視していった。
「立てってんだろ。蹴り足りねぇって……。」
背中の筋肉の力だけで跳ねあがり悪魔は起き上がる。空中浮遊ともいえる。その動きは先ほど魅せた亮の猫三寸よりも人間を超越している。
「ここに呼び寄せる前にお前ら(悠の関係者)のことは親から親戚まで全て調べ上げてある。岡崎亮知ってるぞ……お前の正体。お前はただのガキだ」
熱気が充満していく火の手は生き物のように全域に広まって二人を包み囲っていく。息苦しさも相まって肩で息をし亮は悪魔の話を聞いていた。
「発展途上で半人前……この戦中でずいぶんと成長したようだが、それでもせいぜい……」
亮は会話を遮るように呟いた。
「「AAA」名前無き者たちは何もなかった。草も砂も海もなく神も悪魔も何も居なかった。」
「なに…お前…なんでソレを知っている」
「世界の始まりは自ら創るものなり」
「おまえ…「扉」を……」
会話が成り立たないまま亮の姿が消えた。
「無視か!!……まあ……いい。話たくないなら薬漬けにでもして初オナのネタまで吐かせてやる。」
悪魔は目を閉じた。高速移動と視覚操作を合わせた、ただの子供騙し気配を手繰ればいい。この男にとって不可思議という現象は返って冷静さを取り戻す鎮静剤と同じなのだ。亮の動きが手に取るように分かる。大きく円を描くように背後へと近付いている。地面を蹴り、勢いをつけて背後から殴りかかろうとしている。
そう読み切った悪魔は逆に蹴りを仕掛けた。ストライクコースに飛んでくると分かっている球を打ち返すのが容易いのと同じで、来ると分かっている仕掛けてくる人間を迎撃するのは悪魔にとっては同じ事だった。蹴りの中でも最強の威力を誇る後ろ回し蹴りを亮は受けて、文字どおり返し球のごとく弾き飛んでいく。ここまでの動きはわずか二秒。
しかし、顔を歪ませたのは悪魔だった。
「ぐッぁ……コイ……ツ…!?やはり……」
突きあげている足がつま先から膝の辺りまでボロボロになっていた。純粋なる戦闘の専門家(スペシャリスト)柏はこの一瞬で全てを理解した。亮が姿を消して僅か二秒に込められた「行動」の意味。
二秒間で亮の取った行動は、後ろ回し蹴りの体勢に上体を反らし腰をひねる柏。その足は当然、上半身と同じく硬化状態、亮は腹ばいになるように回転しながら跳び上がって背面から蹴り足にぶつかる、そこからバク宙に舞って腿を蹴りつけ、ふくらはぎから足首を踏みつけて着地したが、最後の位置が悪く蹴り飛ばされた。
それでもなぜ、そんなことが出来たのか……亮は吹き飛びながら思い出していた。ここに来る前に亮はホテルのロビーでともきの帰りを待っていた。するといきなり現れたのが車椅子に乗った彼女、匣だ。柏の刺客かと用心した亮にいきなりこう話をきりだした。
『初めましてオカザキリョウ。ボクは匣、小鳥遊悠のフィアンセさ。おっと、君は喋らなくていい。時間がないんでね……。だから、黙って今はボクの話を聞け。ボクはこれから悪魔を倒しに行く。しかし、カシワを倒すのは並大抵の事では無理だ。しかし、唯一の可能性はリョウ、君にかかっている。』
『……はぁ?』
『一度しか言わない僕と来い。あの人外非道の悪魔に勝たせてやる』
返事を返す前に体が動いていた。罠かもしれないと疑念を持たなかったわけじゃなかった。それでも亮は誘いに乗ったのだ。匣は笑った。そして今しがた上がってきたエレベーターへと乗り込んで地下へと戻っていく。
終着点までは長い、匣は淡々と喋り出した。
『突然だが君は魂というものを信じるかい?』
『魂……だって?』
『幽霊でもいい。まぁ、そういうものを信じるかという話しだよ。』
こんなときになんの冗談を言っているのかと少女を見下ろした。同年代とは思えないし、中学生と見積もっても人らしい肉づきではない。骨に皮が貼りついている程度。
『女性のうなじがすきなのかい?』
勘がよいのか凝視して気がつかれたのか亮は胸がドキリと跳ねた。気にしたようすなく続ける。