ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「「『上出来だ!』」」
バラバラの方向から声がした。右からはいつの間にか紅色バットを回収して、渾身の力で振りかぶっている紅。
悪魔の背後から飛びかかり踵に全体重を乗せて振ってくる千夜。その足には体中に着けていたと思われるウェイトバンドを巻きつけている。
『プランB、純粋な囮作戦。やる気になったカシワならもっとも弱い獲物から狩る。だから、リョウ、君が死んで止めろ。そうすれば紅き壊し屋と黒き死神が悪魔を狩る。』
「なめるなっ雑魚共がァッッ!!」
パンッヴチ゛ッン……っと発音不能な音が悪魔から鳴った。片足を完全に奪ってバランスを崩しているにも関わらず悪魔は紅と千夜へ向けて腕を突きだした。
「匣の浅知恵でどうにかできるつもりならッ!!俺の命取ってみろやぁ!!」
「か……かったな。」
「あ゛?」
「プっ……プランF!!」
亮は僅かにうまれた隙に、悪魔の片足を腕で抱え、手首の骨の固い部分を相手のアキレス腱に垂直に当てるようにして、体ごと反り返って極める。そして、そのまま上半身を後ろに振った。不格好でめちゃくちゃなアキレス腱固めだが全体重をかけさえすれば悪魔といえど片足で支えられるわけがない。亮は柏の足を破壊する代わりに後頭部から落下する覚悟で叫んだ。
「匣が本当に壊したのは……テメェの「心の隙」だぜ。俺の女がサブミッションマスターだってのを忘れてたなッ!!」
「うおおぉっ!!」
「くらええっ!!」
亮諸共倒れる悪魔に壊し屋と死神がぶつかった。色んな物が壊れ砕け崩れる轟音と何かに引火したらしく熱が噴いた。総崩れになり背中から落ちた亮は痛みで息を飲むが、後転で距離をはかり一回転して立ち上がる。ゴウゴウと燃え盛る火の海の奥でなにか塊りが揺れた気がする。どうやら二人にサンドイッチされた悪魔は火だるまになったのかもしれない。
「ぶふっふっふ――ッきただろッコレッ……全然感触が違った。ヤツの足から足から伝わった振動(手応え)……。千夜と紅が、やってくれたぜ。へへっ、ザマーミロ悪魔め。悠、お前の敵は俺たちが――」
その時、ふたつの塊りが火の奥から飛んで来た。左右に落ちてきた襤褸切は焼けて煤けた匂いがする。そのゴミが呟いた声が叫んでいる亮の左右の耳に入る。
「やっ……ぱり…」
「強……い…」
「たお、倒した……ぁ…」
亮の足元に落ちた紅と千夜は途切れがちな意識を保とうと必死に動こうとしているが、死にかけの魚か虫のように手足の先を振るわせるだけだった。熟成した濃厚なワインをぶちまけたのかダークレッドな液体が二人から広がっていく。
「せ、千、くれ、な……?」
目のまえの光景に理解できずに歯の根を振るわせる亮の前から熱を帯びた突風が吹いた。目線だけで正面を見る。燃え盛る火が逆十字を描いて斬れる。悪魔だ。悪魔が火炎を切り裂いて現れた。その身体は何が起こったというのかひび割れている。それより、なぜ無事なのだ?歩いているということは足も当然壊れいてないし、千夜と紅の本気の一撃を受けてなんで立っていられるのだ……。悪魔は亮の疑問に自ら答えた。
「まさか……お前ら如きにこの姿を晒すとは思わなかった。」
ヤツはズンっと地面を踏みしめて一歩近づく。
「この皮膚は……筋肉を固め皮膚を硬質化しつくった鎧」
さらに一歩踏み出し、悪魔はゆっくりと身体を翻して背を向ける。
「なっ……」
亮は思わず声を漏らした。向けられた背は中心のあたりからバックリと裂けている。中心から左右に木の根が這う……いや、違う。まるで悪魔の手が肉を引き裂いていった疵痕(きずあと)だ。さっき……ヤツから鳴った音の正体はコレか…。
「俺には悪魔が憑いている。この悪魔は必要でもない筋肉(ちから)を与えるだけでなく、ある一定の力みを超えると俺自身にもその爪を刺してくる……。膨張に耐えられない肉は千切れ、絞り込まれすぎた皮膚は固まって凝縮する。」
スプラッタの映画も真っ青な変貌ショー。悪魔は言葉を切って振り向きなおった。ポケットから恐らく純銀製であろうトランプケース程度の大きさのシガレットケースを抜いた。ただ、気になるのは行動ではなく持ち方だ。シガレットケースを持っているのじゃなく、手を添えている。触れたら割れてしまう陶器でも扱うように手のひらに乗せているのだ。逆の手の小指で撫でるように蓋を開けて、中の紙巻きタバコを摘まず直接口にくわえた。次の瞬間、グシャリっとシガレットケースが潰れる。
「あーぁ、やっぱり駄目だな。」
などと呟きながら近場で燃えているところにタバコの先を突っ込んで着火した。ひと息で半分を灰にして煙を吐きだす。指で摘んで口から外そうとしたタバコがブチッと千切れた。
バラバラの方向から声がした。右からはいつの間にか紅色バットを回収して、渾身の力で振りかぶっている紅。
悪魔の背後から飛びかかり踵に全体重を乗せて振ってくる千夜。その足には体中に着けていたと思われるウェイトバンドを巻きつけている。
『プランB、純粋な囮作戦。やる気になったカシワならもっとも弱い獲物から狩る。だから、リョウ、君が死んで止めろ。そうすれば紅き壊し屋と黒き死神が悪魔を狩る。』
「なめるなっ雑魚共がァッッ!!」
パンッヴチ゛ッン……っと発音不能な音が悪魔から鳴った。片足を完全に奪ってバランスを崩しているにも関わらず悪魔は紅と千夜へ向けて腕を突きだした。
「匣の浅知恵でどうにかできるつもりならッ!!俺の命取ってみろやぁ!!」
「か……かったな。」
「あ゛?」
「プっ……プランF!!」
亮は僅かにうまれた隙に、悪魔の片足を腕で抱え、手首の骨の固い部分を相手のアキレス腱に垂直に当てるようにして、体ごと反り返って極める。そして、そのまま上半身を後ろに振った。不格好でめちゃくちゃなアキレス腱固めだが全体重をかけさえすれば悪魔といえど片足で支えられるわけがない。亮は柏の足を破壊する代わりに後頭部から落下する覚悟で叫んだ。
「匣が本当に壊したのは……テメェの「心の隙」だぜ。俺の女がサブミッションマスターだってのを忘れてたなッ!!」
「うおおぉっ!!」
「くらええっ!!」
亮諸共倒れる悪魔に壊し屋と死神がぶつかった。色んな物が壊れ砕け崩れる轟音と何かに引火したらしく熱が噴いた。総崩れになり背中から落ちた亮は痛みで息を飲むが、後転で距離をはかり一回転して立ち上がる。ゴウゴウと燃え盛る火の海の奥でなにか塊りが揺れた気がする。どうやら二人にサンドイッチされた悪魔は火だるまになったのかもしれない。
「ぶふっふっふ――ッきただろッコレッ……全然感触が違った。ヤツの足から足から伝わった振動(手応え)……。千夜と紅が、やってくれたぜ。へへっ、ザマーミロ悪魔め。悠、お前の敵は俺たちが――」
その時、ふたつの塊りが火の奥から飛んで来た。左右に落ちてきた襤褸切は焼けて煤けた匂いがする。そのゴミが呟いた声が叫んでいる亮の左右の耳に入る。
「やっ……ぱり…」
「強……い…」
「たお、倒した……ぁ…」
亮の足元に落ちた紅と千夜は途切れがちな意識を保とうと必死に動こうとしているが、死にかけの魚か虫のように手足の先を振るわせるだけだった。熟成した濃厚なワインをぶちまけたのかダークレッドな液体が二人から広がっていく。
「せ、千、くれ、な……?」
目のまえの光景に理解できずに歯の根を振るわせる亮の前から熱を帯びた突風が吹いた。目線だけで正面を見る。燃え盛る火が逆十字を描いて斬れる。悪魔だ。悪魔が火炎を切り裂いて現れた。その身体は何が起こったというのかひび割れている。それより、なぜ無事なのだ?歩いているということは足も当然壊れいてないし、千夜と紅の本気の一撃を受けてなんで立っていられるのだ……。悪魔は亮の疑問に自ら答えた。
「まさか……お前ら如きにこの姿を晒すとは思わなかった。」
ヤツはズンっと地面を踏みしめて一歩近づく。
「この皮膚は……筋肉を固め皮膚を硬質化しつくった鎧」
さらに一歩踏み出し、悪魔はゆっくりと身体を翻して背を向ける。
「なっ……」
亮は思わず声を漏らした。向けられた背は中心のあたりからバックリと裂けている。中心から左右に木の根が這う……いや、違う。まるで悪魔の手が肉を引き裂いていった疵痕(きずあと)だ。さっき……ヤツから鳴った音の正体はコレか…。
「俺には悪魔が憑いている。この悪魔は必要でもない筋肉(ちから)を与えるだけでなく、ある一定の力みを超えると俺自身にもその爪を刺してくる……。膨張に耐えられない肉は千切れ、絞り込まれすぎた皮膚は固まって凝縮する。」
スプラッタの映画も真っ青な変貌ショー。悪魔は言葉を切って振り向きなおった。ポケットから恐らく純銀製であろうトランプケース程度の大きさのシガレットケースを抜いた。ただ、気になるのは行動ではなく持ち方だ。シガレットケースを持っているのじゃなく、手を添えている。触れたら割れてしまう陶器でも扱うように手のひらに乗せているのだ。逆の手の小指で撫でるように蓋を開けて、中の紙巻きタバコを摘まず直接口にくわえた。次の瞬間、グシャリっとシガレットケースが潰れる。
「あーぁ、やっぱり駄目だな。」
などと呟きながら近場で燃えているところにタバコの先を突っ込んで着火した。ひと息で半分を灰にして煙を吐きだす。指で摘んで口から外そうとしたタバコがブチッと千切れた。