ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「この足はもういらねぇよな!!」
グジャっと音を立てて千夜の足が握りつぶされる。しかし、柏の顔がすぐに険しくなった。千夜は足を引っこめ、バックステップで悪魔から距離を取った。足は……両方とも無事で。
「危な……かったぜ……。」
思わず漏れた本心の声。間一髪のところでブーツを脱いで離脱できた。狙ってできたわけじゃない運が良かっただけだが……。
万力にでも挟んで有りったけの力を使ったようにブーツがひしゃげている。底には鉄板が入っているのにいともたやすく潰れている。柏は手を広げた、ブーツだったものが下に落ちていく。コッ……っと落ちた音を聞き届け。ゆっくりと千夜を見た。
「運が良かったなぁー!さぁ、さっさと来いよォォ!まだまだやれるんだろッッ!!」
「なろっ!」
尻すぼみになってはならない。千夜はスッと身を屈め反動をつけて、その場で跳ねあがった。左足を振り、もう片方のブーツを飛ばす。
「ふんっ」
目くらましにもならんぞと言わんばかりに鼻を鳴らして柏はそれを軽々に、はたき落とした。低く体勢を構えて千夜は間合いを詰めてくる。
柏はニタリィっと口を三日月に裂いて笑っていった。
「遅いぜ紅!」
「グハッッッ!!!」
悲鳴は柏の背からだった。バットを大振りに構えた紅の腹に蹴りが深々と突きたっている。
柏は上半身はそのままに腰だけをひねり左足を不格好に振り上げた変則的な後ろ回し蹴り……。千夜は目を見開いて驚いた。確かに紅が不意打ちをしようとしているのは分かっていた。だから、あえて靴を飛ばしてまで自分が囮となった。なのに……なぜ、バレタ?音?気配?まさか匂い?思わず動きが鈍った千夜の腕に鋭い痛みが走る。間一髪のところで引いたが腕の肉が一部削げていた。
「っ……!」
「ぐっ…!」
とっさに間合いから離れる二人。どちらも追おうとせずに両手を広げて悪魔はいった。
「テメェら程度の不意打ちが通じると思うなよ。それに俺は多人数相手も得意なんだよ。」
腹部の痛みが落ち付いて恢復を終えた紅はバットの先を突き付けていった。
「なんで、不意打ちがわかったんだ。いくらアンタでも後頭部に目はついてないだろ。」
「はっ、俺が見えて無くても見てる奴がいるだろ。なぁ、千夜ァァ!」
「どういう……意味だ。俺が教えたとでもい言うのか?」
「ああ、そうだ。お前の目がなぁ!」
考え難いことだが、有る得る唯一の可能性に千夜と紅の背筋に冷たいものが走った。確かに千夜は紅のことに気が付いていただろう。だが、視線を泳がすなんて真似はしない。つまり……千夜の眼球に映る紅を捉えたということだ。仮にそんな真似が出来たとしてそれを気取られず、絶妙なタイミングでカウンターを仕掛けられることが可能なのか?
悪魔は低い声で笑った。二人の内心を汲み取ったように呟く。
「ククッ、俺は目が良いんだよ。良すぎてお前らの焦りも丸わかりだ。さぁ、喋ってる時間はねーぞ。必死こいて抗ってみろ。そして無様に死んでいけ」
「その言葉!」
「後悔させてやるよ!」
二人の闘士が同時に攻めた。紅いバットを力の限り横振りにぶつけ、垂直に吊り上げた脚を真下へと振り下ろす。大振りに踵落としなどという大技だが挟み撃ちでなら当たらないわけがない。
「くらうかぁっ!!」
合金製のバットと鈍器ともいえる踵を拳で受け止め弾き返した。バランスを崩す千夜にマイバットが飛んでいく紅、しかし攻めあぐねいて勝機は無いと二人は言葉を交わさずにさらに前に出た。
「はぁぁっ!!」
「オォォッ!!」
千夜は変幻自在に足を振るって多段的に攻める。裸足でも鍛えられた足は凶器と化すクリーンヒットこそないが弾き損じた脚撃は柏の太ももやわき腹にヒットしていく。しかし同時に千夜の右足も傷ついていた。柏の手が触れる一瞬に肉を削いでいく。まるで鋭利な嘴を保有する鳥が啄ばむごとく足という肉の塊りを奪っていっているのだ。
蹴りのスピードが遅いからではない、むしろ最高速度を出しているからこそその程度の被害で済んでいる。もし、あの手に捕まりでもしたら皮一枚では済みはしない。高速で回転するファンに足を入れるように結果は明らかだ。だが、その痛みを覚悟しないとこの悪魔には触れることすらかなわないのだ。
グジャっと音を立てて千夜の足が握りつぶされる。しかし、柏の顔がすぐに険しくなった。千夜は足を引っこめ、バックステップで悪魔から距離を取った。足は……両方とも無事で。
「危な……かったぜ……。」
思わず漏れた本心の声。間一髪のところでブーツを脱いで離脱できた。狙ってできたわけじゃない運が良かっただけだが……。
万力にでも挟んで有りったけの力を使ったようにブーツがひしゃげている。底には鉄板が入っているのにいともたやすく潰れている。柏は手を広げた、ブーツだったものが下に落ちていく。コッ……っと落ちた音を聞き届け。ゆっくりと千夜を見た。
「運が良かったなぁー!さぁ、さっさと来いよォォ!まだまだやれるんだろッッ!!」
「なろっ!」
尻すぼみになってはならない。千夜はスッと身を屈め反動をつけて、その場で跳ねあがった。左足を振り、もう片方のブーツを飛ばす。
「ふんっ」
目くらましにもならんぞと言わんばかりに鼻を鳴らして柏はそれを軽々に、はたき落とした。低く体勢を構えて千夜は間合いを詰めてくる。
柏はニタリィっと口を三日月に裂いて笑っていった。
「遅いぜ紅!」
「グハッッッ!!!」
悲鳴は柏の背からだった。バットを大振りに構えた紅の腹に蹴りが深々と突きたっている。
柏は上半身はそのままに腰だけをひねり左足を不格好に振り上げた変則的な後ろ回し蹴り……。千夜は目を見開いて驚いた。確かに紅が不意打ちをしようとしているのは分かっていた。だから、あえて靴を飛ばしてまで自分が囮となった。なのに……なぜ、バレタ?音?気配?まさか匂い?思わず動きが鈍った千夜の腕に鋭い痛みが走る。間一髪のところで引いたが腕の肉が一部削げていた。
「っ……!」
「ぐっ…!」
とっさに間合いから離れる二人。どちらも追おうとせずに両手を広げて悪魔はいった。
「テメェら程度の不意打ちが通じると思うなよ。それに俺は多人数相手も得意なんだよ。」
腹部の痛みが落ち付いて恢復を終えた紅はバットの先を突き付けていった。
「なんで、不意打ちがわかったんだ。いくらアンタでも後頭部に目はついてないだろ。」
「はっ、俺が見えて無くても見てる奴がいるだろ。なぁ、千夜ァァ!」
「どういう……意味だ。俺が教えたとでもい言うのか?」
「ああ、そうだ。お前の目がなぁ!」
考え難いことだが、有る得る唯一の可能性に千夜と紅の背筋に冷たいものが走った。確かに千夜は紅のことに気が付いていただろう。だが、視線を泳がすなんて真似はしない。つまり……千夜の眼球に映る紅を捉えたということだ。仮にそんな真似が出来たとしてそれを気取られず、絶妙なタイミングでカウンターを仕掛けられることが可能なのか?
悪魔は低い声で笑った。二人の内心を汲み取ったように呟く。
「ククッ、俺は目が良いんだよ。良すぎてお前らの焦りも丸わかりだ。さぁ、喋ってる時間はねーぞ。必死こいて抗ってみろ。そして無様に死んでいけ」
「その言葉!」
「後悔させてやるよ!」
二人の闘士が同時に攻めた。紅いバットを力の限り横振りにぶつけ、垂直に吊り上げた脚を真下へと振り下ろす。大振りに踵落としなどという大技だが挟み撃ちでなら当たらないわけがない。
「くらうかぁっ!!」
合金製のバットと鈍器ともいえる踵を拳で受け止め弾き返した。バランスを崩す千夜にマイバットが飛んでいく紅、しかし攻めあぐねいて勝機は無いと二人は言葉を交わさずにさらに前に出た。
「はぁぁっ!!」
「オォォッ!!」
千夜は変幻自在に足を振るって多段的に攻める。裸足でも鍛えられた足は凶器と化すクリーンヒットこそないが弾き損じた脚撃は柏の太ももやわき腹にヒットしていく。しかし同時に千夜の右足も傷ついていた。柏の手が触れる一瞬に肉を削いでいく。まるで鋭利な嘴を保有する鳥が啄ばむごとく足という肉の塊りを奪っていっているのだ。
蹴りのスピードが遅いからではない、むしろ最高速度を出しているからこそその程度の被害で済んでいる。もし、あの手に捕まりでもしたら皮一枚では済みはしない。高速で回転するファンに足を入れるように結果は明らかだ。だが、その痛みを覚悟しないとこの悪魔には触れることすらかなわないのだ。