ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「さすがに、効いたか。通ったか。浸透剄のサンドイッチは……。」
ピクリともしない金剛。死んでることはないだろうが、ほんのちょっとだけ心配になる。そんな、おれの配慮とは裏腹に摩耶が踏みつけながらおれの前に立った。
「さてと、なんだか悠君に乗せられちゃったね、僕」
あっけらかんと笑う摩耶。
「乗せてるっていうか、乗ってるだけどな……金剛に。」
「あははっ、つまんな~い」
「っか、回復早かったな。」
「そうだね。雷果ちゃんにしっかりと癒してもらったから」
摩耶は親指を立てて、そのまま自分の肩越しにさした。どういうルートで此処にたどり着いたのか貨物倉庫の側でへたり込んでいる。おれの視線に気がつくと手を振ってくる。
「ま、それでも全身痛いんだけどね。全身に剄を巡らせて頑張ってる。」
「そんな状態でよっく双按なんかぶち込めるよな……。おれなんてもう本当に限界だ。」
それでなくても摩耶みたいに回復にまわしたりなんて器用な真似はとてもじゃないができはしない。
「でも、進むんでしょ」
「まぁな、扉があいちゃってて幸運なことに金剛は倒れてるから、これはもう柏をぶっ飛ばすしかないだろ。」
「あっそ。そのことには興味ないから好きにしてくれていいんだけどさ、一つだけ教えてくれない?もし僕がこんなことしなかったら……ううん、来なかったらどうしてたの?」
おれは摩耶の肩をポンッと叩いていった。
「来てるし、こんな無茶してくれたじゃん。」
「答えになってないよ。」
「好きなようにとらえてくれってこと、ちなみにおれの模範解答は『超カッコよく反撃をキメて倒してる』だな」
「なるほど『どうしょうなく踏み潰されてた』だね。」
ベチンっと小粋な音がした。摩耶に背中を叩かれたのだ。同時に温かい感覚が体内に飛散する。
「これは……」
「回復の『剄』を打ちこんだけた。のこり少ない貴重な『氣』ぃだからね。ありがたく思ってよ」
「ありがと。」
振り向かずに軽く礼をいって歩き進む。悪魔が待つ鉄の住処は目のまえだ。中ではなにか機械が動いてるのかガシャガシャと稼働音がしたり、何かが壊れる音までする。最後の最後でマシーン的なトラップが作動しているとでも言うのだろうか。悩んでいても仕方ないが……。
冥府魔道の入り口に踏み込もうとした時、急に横から手が伸びてきた。茶色い小瓶のドリンク剤がのっている。
「あの、悠君。私、その……なんていったらいいか分からないですけど、そのえっと、勝ってきてください!看病なら、私がしますからっ!これ栄養剤です何の足しにもならないかもですけど!」
立場的に本当は止めたいのだろうに、駒裡さんも応援してくれた。何か気の利いた事を言おうとした瞬間、獣の咆哮が響いた。
「待てえええぇぇぇっ!!悠!!」
「!!」
「!!」
金剛が起き上って猛スピードで突進してくる。
「は、早く入って!」
駒裡さんがおれの背中を押して、シャッターを下ろそうとする。しかし、巨人のスピードも規格外で手を突き立てた。それでも、間一髪、悠は貨物庫の中に飛びこんでいった。舌打ちをする金剛の前に駒裡は両手を広げてたちふさがる。精一杯通さないという意思表示なのだろう。
「そこを退っ――」
金剛の声を遮るように摩耶がいった。
「あれれ~まるで今、襲いかかる素振りで悠君を突き飛ばさなかった?」
雷果には見えていた一瞬だけ笑っていたのが、金剛は素早くふり返って摩耶の元に近づく。
「そんな訳あるか……お前のせいでメチャクチャだ。それなりの覚悟は出来てるんだろうな」
童話に出てくる巨人と小人もたいな身長差。だが、手加減しないぞと両こぶしの骨をバキバキと鳴らして金剛は威嚇する。
「覚悟?それはこっちのセリフだよ。順番を守らない子には…………お仕置きが必要だしね」
ページをめくったように空気が一変する。双方が出している気迫、覚悟、闘気、それが自然と金剛の拳を放たせた。ストレートなのにジャブの速度を出せる必殺の巨拳が摩耶の小躯を撃った。
「えっ?!」
「なっ?!」
この時、楓子と雷果が理解の範疇を越える現象が起る。
撃った方がくらった――?
金剛は何かが起こって下がった顔を前に戻しながら聞いた。
「今のは?お前の……摩耶の、鬼札(ジョーカー)か?」
構えるでもなく、むしろ脱力し切って直立している摩耶は微笑んでいった。
「本当はまだまだ秘密に取っておくつもりだったけどね。対バケモノ用、そして、僕の全技術の結晶……」
同撃酔拳(どうげきすいけん)
ピクリともしない金剛。死んでることはないだろうが、ほんのちょっとだけ心配になる。そんな、おれの配慮とは裏腹に摩耶が踏みつけながらおれの前に立った。
「さてと、なんだか悠君に乗せられちゃったね、僕」
あっけらかんと笑う摩耶。
「乗せてるっていうか、乗ってるだけどな……金剛に。」
「あははっ、つまんな~い」
「っか、回復早かったな。」
「そうだね。雷果ちゃんにしっかりと癒してもらったから」
摩耶は親指を立てて、そのまま自分の肩越しにさした。どういうルートで此処にたどり着いたのか貨物倉庫の側でへたり込んでいる。おれの視線に気がつくと手を振ってくる。
「ま、それでも全身痛いんだけどね。全身に剄を巡らせて頑張ってる。」
「そんな状態でよっく双按なんかぶち込めるよな……。おれなんてもう本当に限界だ。」
それでなくても摩耶みたいに回復にまわしたりなんて器用な真似はとてもじゃないができはしない。
「でも、進むんでしょ」
「まぁな、扉があいちゃってて幸運なことに金剛は倒れてるから、これはもう柏をぶっ飛ばすしかないだろ。」
「あっそ。そのことには興味ないから好きにしてくれていいんだけどさ、一つだけ教えてくれない?もし僕がこんなことしなかったら……ううん、来なかったらどうしてたの?」
おれは摩耶の肩をポンッと叩いていった。
「来てるし、こんな無茶してくれたじゃん。」
「答えになってないよ。」
「好きなようにとらえてくれってこと、ちなみにおれの模範解答は『超カッコよく反撃をキメて倒してる』だな」
「なるほど『どうしょうなく踏み潰されてた』だね。」
ベチンっと小粋な音がした。摩耶に背中を叩かれたのだ。同時に温かい感覚が体内に飛散する。
「これは……」
「回復の『剄』を打ちこんだけた。のこり少ない貴重な『氣』ぃだからね。ありがたく思ってよ」
「ありがと。」
振り向かずに軽く礼をいって歩き進む。悪魔が待つ鉄の住処は目のまえだ。中ではなにか機械が動いてるのかガシャガシャと稼働音がしたり、何かが壊れる音までする。最後の最後でマシーン的なトラップが作動しているとでも言うのだろうか。悩んでいても仕方ないが……。
冥府魔道の入り口に踏み込もうとした時、急に横から手が伸びてきた。茶色い小瓶のドリンク剤がのっている。
「あの、悠君。私、その……なんていったらいいか分からないですけど、そのえっと、勝ってきてください!看病なら、私がしますからっ!これ栄養剤です何の足しにもならないかもですけど!」
立場的に本当は止めたいのだろうに、駒裡さんも応援してくれた。何か気の利いた事を言おうとした瞬間、獣の咆哮が響いた。
「待てえええぇぇぇっ!!悠!!」
「!!」
「!!」
金剛が起き上って猛スピードで突進してくる。
「は、早く入って!」
駒裡さんがおれの背中を押して、シャッターを下ろそうとする。しかし、巨人のスピードも規格外で手を突き立てた。それでも、間一髪、悠は貨物庫の中に飛びこんでいった。舌打ちをする金剛の前に駒裡は両手を広げてたちふさがる。精一杯通さないという意思表示なのだろう。
「そこを退っ――」
金剛の声を遮るように摩耶がいった。
「あれれ~まるで今、襲いかかる素振りで悠君を突き飛ばさなかった?」
雷果には見えていた一瞬だけ笑っていたのが、金剛は素早くふり返って摩耶の元に近づく。
「そんな訳あるか……お前のせいでメチャクチャだ。それなりの覚悟は出来てるんだろうな」
童話に出てくる巨人と小人もたいな身長差。だが、手加減しないぞと両こぶしの骨をバキバキと鳴らして金剛は威嚇する。
「覚悟?それはこっちのセリフだよ。順番を守らない子には…………お仕置きが必要だしね」
ページをめくったように空気が一変する。双方が出している気迫、覚悟、闘気、それが自然と金剛の拳を放たせた。ストレートなのにジャブの速度を出せる必殺の巨拳が摩耶の小躯を撃った。
「えっ?!」
「なっ?!」
この時、楓子と雷果が理解の範疇を越える現象が起る。
撃った方がくらった――?
金剛は何かが起こって下がった顔を前に戻しながら聞いた。
「今のは?お前の……摩耶の、鬼札(ジョーカー)か?」
構えるでもなく、むしろ脱力し切って直立している摩耶は微笑んでいった。
「本当はまだまだ秘密に取っておくつもりだったけどね。対バケモノ用、そして、僕の全技術の結晶……」
同撃酔拳(どうげきすいけん)