ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ひと言に『剄』といっても多くの物が存在する。例えば摩耶と鈴猫が得意とする八極拳は『爆発剄』という『触れた部分からブチ壊す』系列の剄である。その爆発系を肘や足、時には背中に相手にぶつけることで、小柄な摩耶が大男を弾き飛ばしたり、踏み込んで炎を吹き飛ばしたりと応用させることができる。
爆発の八極に対して攻撃力という面では落ちるが、技術的で攻防一体の剄がある。『化剄』と『浸透剄』だ。
おれは金剛の肩に足を乗せた。
「蹴按(しゅうあん)!」
「ぐおぉっ!!」
重りでも落とされたように金剛の身体が沈む。それでも地に伏せることなく頭を振り上げて叫んだ。
「これかっ!これがお前の隠し玉かっ!」
「まぁな……」
「覚えてるぞこれは……摩耶にやられたことがある。浸透剄とかいうやつだろ……人間の内を破壊する発剄のひとつだろっ!けど、俺がくらったことあるのは手で触れて打ってくる双按(そうあん)って太極拳だったはずだ。足で打てるなん初耳だぜ。」
「どうやらおれはひねくれてるらしくてな、手で使うより足のが上手なんだよ。だから、双按じゃなくて、蹴按だ。」
言いはしなかったがラッシュのときから少しづづ『化剄』は使っていた。『浸透剄』が内を壊すものなら『化剄』は相手の攻撃力を吸化、あるいはベクトルをコントロールするものだ。太極拳などでは、敵の勁を、こちらの掤勁により吸化すること、あるいは掤勁を保ったまま接触面に纏絲を纏うことでその勁の方向性を逸らし、攻撃の軌道を変化させてやる。
難しい言葉を使わずにいうとしたら、敵の技を無効にし反撃に繋げるテクニック……とでも言ったらいいかな。真桜の力動流しもこれと似た技法のひとつだ。
「金剛、お前の筋肉の鎧を破るのは無理だ。けど……お前におれの剄が耐えられるか?摩耶には化剄も発剄も浸透剄も相殺されて通じなかったが……お前は剄を相殺できるか?」
もし、パラメーターを数値化できたなら摩耶は筋肉:20剄力80、金剛は筋力:99剄力:1ってところだろう。だったらおれは50:50でいってやる。筋肉と剄力の両方を使いこなしてやる。
金剛の胸に触診でもするようにペタリっと足を当てる。おれがコイツに金剛に仕掛ける最後の一撃だ。
「悠、全力で打て……その手品で俺を倒せるつもりならな。」
「あぁ、そうさせてもらう。蹴按!!」
「んぐっ!!」
金剛の巨体全体が震えた。まるでそこだけ地震が起こったように、ビクンビクンっと痙攣がのどを越えたと同時に鼻からは血が、口の端からはボディーソープのように細かい泡が吹きこぼれる。次の瞬間滝のように吐しゃ物を吐きだしながら前倒れに崩れて地面に突っ伏した……。
「はっはっ……はははっはー……。」
溜息と荒息と笑い混じりにおれもケツから落ちた。尻もちをついて自分の右足を見る。足首がほぼ九十度にへし曲がっている。やっぱりコイツはとんでもないヤツだ……おれが蹴按を打つのに合わせてマッスルカウンターをぶつけて胸筋だけで足を壊してきやがった。痛みの感覚的に折れてはない。ただ、衝撃に耐えられず足首の関節が外れているんだろう。
「ぐっうぅぅ……んんっ!」
何とか右足を自分の元へ寄せてハメ直した。重度の捻挫と骨にヒビってところだろうか。歩けないことはない。立たなければと思った瞬間、目のまえで山が盛り上がった。
「がはぁー……はぁーーはぁー……なかなかどうして、この剄ってやつは何度くらっても慣れねぇが耐えられない痛みじゃねぇぜ。」
巨神立つ。まぁ……当然と言えば当然か、もし本当に強さを数値が出来たならどれほど単純に勝敗が決せられるだろうか……。そして、例えおれが本当に50:50に使い分けれたところで……摩耶の爆発剄を正面からくらった経験がある金剛におれ程度の剄が一発まともに入ろうと倒しきれる道理はない。むしろ、そこからこじ開けていく怒涛の攻めを見せるべき時だったのだが……。
「どうした、ぼうっとするなよ。立てよ、俺を殴れよ、蹴れよ。腕を掴み投げ飛ばせ。さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、さあぁぁぁっ!!」
びっくりするくらい怖い。尻もちを着いてる状態なのに腰を抜かしそうな気分だった。おれが行動に出る前に巨大な腕が伸びて、おれの首を掴んだ。絞めるとかじゃない片手で掴みやがったのだ。そして、途轍(とてつ)もない衝圧で身体が浮いた。腕一本で掬いあげられていると気がついたときにはヤツの身長よりも高く投げあげられていた。
「――――ッ!!」
喉が潰れて声が出せない。
「本気……だすぞっ!」
金剛の上半身が地面スレスレまで腰からひねり下げ、巨拳ではなく大木と見間違う足を突き出してきた。あの超巨体躯で開脚180度で当てられた蹴りは易々とおれを吹き飛ばした。大きく分けてふたつの音『バギリッ』と『ベキキッ』まぬけな感じだが、あばら骨が最低二本、もしくは一本が二回ほど折れた。余波で周りの骨中に細かく亀裂が走る音が広がる。
「――――ッ!!」
アクション映画でひとが吹き飛ぶシーンを幾たびも見てきたが自分が体験するのは初めてだ……。殴り飛ばされるって事がなかったことがないわけではないが本当に十数メートルも飛ばされることなんかはコレが初だ。受け身も何もあったものじゃない落下するあいだも蹴られた部分を押えていてしまった。地面を落ちた苦痛(いたみ)よりも腹部が耐えられないほど激痛(いた)い。死にかけの虫みたいに蠢きもがきつつやっとの思いで転げ、立ち上がらねばと四つん這いになる。
爆発の八極に対して攻撃力という面では落ちるが、技術的で攻防一体の剄がある。『化剄』と『浸透剄』だ。
おれは金剛の肩に足を乗せた。
「蹴按(しゅうあん)!」
「ぐおぉっ!!」
重りでも落とされたように金剛の身体が沈む。それでも地に伏せることなく頭を振り上げて叫んだ。
「これかっ!これがお前の隠し玉かっ!」
「まぁな……」
「覚えてるぞこれは……摩耶にやられたことがある。浸透剄とかいうやつだろ……人間の内を破壊する発剄のひとつだろっ!けど、俺がくらったことあるのは手で触れて打ってくる双按(そうあん)って太極拳だったはずだ。足で打てるなん初耳だぜ。」
「どうやらおれはひねくれてるらしくてな、手で使うより足のが上手なんだよ。だから、双按じゃなくて、蹴按だ。」
言いはしなかったがラッシュのときから少しづづ『化剄』は使っていた。『浸透剄』が内を壊すものなら『化剄』は相手の攻撃力を吸化、あるいはベクトルをコントロールするものだ。太極拳などでは、敵の勁を、こちらの掤勁により吸化すること、あるいは掤勁を保ったまま接触面に纏絲を纏うことでその勁の方向性を逸らし、攻撃の軌道を変化させてやる。
難しい言葉を使わずにいうとしたら、敵の技を無効にし反撃に繋げるテクニック……とでも言ったらいいかな。真桜の力動流しもこれと似た技法のひとつだ。
「金剛、お前の筋肉の鎧を破るのは無理だ。けど……お前におれの剄が耐えられるか?摩耶には化剄も発剄も浸透剄も相殺されて通じなかったが……お前は剄を相殺できるか?」
もし、パラメーターを数値化できたなら摩耶は筋肉:20剄力80、金剛は筋力:99剄力:1ってところだろう。だったらおれは50:50でいってやる。筋肉と剄力の両方を使いこなしてやる。
金剛の胸に触診でもするようにペタリっと足を当てる。おれがコイツに金剛に仕掛ける最後の一撃だ。
「悠、全力で打て……その手品で俺を倒せるつもりならな。」
「あぁ、そうさせてもらう。蹴按!!」
「んぐっ!!」
金剛の巨体全体が震えた。まるでそこだけ地震が起こったように、ビクンビクンっと痙攣がのどを越えたと同時に鼻からは血が、口の端からはボディーソープのように細かい泡が吹きこぼれる。次の瞬間滝のように吐しゃ物を吐きだしながら前倒れに崩れて地面に突っ伏した……。
「はっはっ……はははっはー……。」
溜息と荒息と笑い混じりにおれもケツから落ちた。尻もちをついて自分の右足を見る。足首がほぼ九十度にへし曲がっている。やっぱりコイツはとんでもないヤツだ……おれが蹴按を打つのに合わせてマッスルカウンターをぶつけて胸筋だけで足を壊してきやがった。痛みの感覚的に折れてはない。ただ、衝撃に耐えられず足首の関節が外れているんだろう。
「ぐっうぅぅ……んんっ!」
何とか右足を自分の元へ寄せてハメ直した。重度の捻挫と骨にヒビってところだろうか。歩けないことはない。立たなければと思った瞬間、目のまえで山が盛り上がった。
「がはぁー……はぁーーはぁー……なかなかどうして、この剄ってやつは何度くらっても慣れねぇが耐えられない痛みじゃねぇぜ。」
巨神立つ。まぁ……当然と言えば当然か、もし本当に強さを数値が出来たならどれほど単純に勝敗が決せられるだろうか……。そして、例えおれが本当に50:50に使い分けれたところで……摩耶の爆発剄を正面からくらった経験がある金剛におれ程度の剄が一発まともに入ろうと倒しきれる道理はない。むしろ、そこからこじ開けていく怒涛の攻めを見せるべき時だったのだが……。
「どうした、ぼうっとするなよ。立てよ、俺を殴れよ、蹴れよ。腕を掴み投げ飛ばせ。さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、さあぁぁぁっ!!」
びっくりするくらい怖い。尻もちを着いてる状態なのに腰を抜かしそうな気分だった。おれが行動に出る前に巨大な腕が伸びて、おれの首を掴んだ。絞めるとかじゃない片手で掴みやがったのだ。そして、途轍(とてつ)もない衝圧で身体が浮いた。腕一本で掬いあげられていると気がついたときにはヤツの身長よりも高く投げあげられていた。
「――――ッ!!」
喉が潰れて声が出せない。
「本気……だすぞっ!」
金剛の上半身が地面スレスレまで腰からひねり下げ、巨拳ではなく大木と見間違う足を突き出してきた。あの超巨体躯で開脚180度で当てられた蹴りは易々とおれを吹き飛ばした。大きく分けてふたつの音『バギリッ』と『ベキキッ』まぬけな感じだが、あばら骨が最低二本、もしくは一本が二回ほど折れた。余波で周りの骨中に細かく亀裂が走る音が広がる。
「――――ッ!!」
アクション映画でひとが吹き飛ぶシーンを幾たびも見てきたが自分が体験するのは初めてだ……。殴り飛ばされるって事がなかったことがないわけではないが本当に十数メートルも飛ばされることなんかはコレが初だ。受け身も何もあったものじゃない落下するあいだも蹴られた部分を押えていてしまった。地面を落ちた苦痛(いたみ)よりも腹部が耐えられないほど激痛(いた)い。死にかけの虫みたいに蠢きもがきつつやっとの思いで転げ、立ち上がらねばと四つん這いになる。