ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!
なんと言ったらいいのだろう。どう例えたらいいのだろう。超高速のキャッチボール?超高速のラリー?ぶつかり合っては止めて話しだし、またぶつかる。その繰り返しだった二人が今、ノンストップで蹴り合って、殴り合っている。ただ、それはダメージに直接つながるキックやパンチではない。
万物を粉砕せしめる巨拳を、獲物を狙って一瞬の隙を突いて食い付く鷹のよう確実に蹴りを出して弾く。最初はまだ、目で追える速さだったものが今はもう音だけになっていた。あまりの速さに双方の手足が見えない速度の打ちあい。遊んでいるわけではない、互いに意図してここに打つから受けてくれ……なんて甘いやりあいでもない。本当に取るか取られるかの攻防を繰り広げているのだ。
「な、なぁ、どうなってんだよ。」
「わかりませんやよ。一見すれば五分五分にも見えますが片足だけでブロックカウンターし続けている師匠のが疲労度の蓄積は多いはずですやよ。」
楓子のいったとおり、金剛は大地に両足をつけ、両こぶしを放ち続けているが悠は片方しか地面を踏みしめておらず、打ちあっている今もなお、もう片足を打ちだし続けている。
「だったらなんで、手を使わないんだよ。足でできるんなら手でだってできるんじゃねーの?」
「手が……使えないとたらどうでしょうかやよ」
「……は?」
言うまいかどうか、目を閉じて悩むこと数秒。楓子は重々しく口を開いた。
「師匠は最初こそ殴りかかっていましたが、途中からは蹴りを多用され始めたやよ。」
「そりゃ……蹴りの方が威力が高いからじゃねぇのかよ。あたいだってそのぐらいのことは知ってるぜ。」
人間の体重を支えているのは足。当たり前に考えると力が強いのは足となる。
「ですが、手慣れているパンチとたまに使う程度のキックでならどう考えてもこぶしの方に分が上がりますやよ。……そもそも、あのバンテージを巻いたのだって本当に攻撃力を上げるためでしょうかやよ?私には砕けて握れなくなった拳を無理矢理に固めるために巻きつけたんじゃないかと思ってるやよ。」
いうなればフェイク、自分の拳はまだまだ使える。砕けてなんかいないと精一杯カモフラージュしているのではないか――楓子がそう思っていると同様にその可能性に金剛も、うすうす気がついていた。
「悠、いつまでこんな突き合いをつづける?」
「そっちが吹っ飛んでくれるまでかな」
「はっ、だったら止めてやる!!」
打ち合いの音が止む。金剛は不意に両手を止めて、そのまま左右に広げた。狙っていたタイミングをずらされた結果、おれのつま先は金剛の胸を穿とうとしたが踵に体重と力を全力に込めて軌道を変更した。コンマ一秒後……耳を聾(ろう)する破裂音がした。
影子と楓子もとっさに耳を押えてしまうほどの破裂音。
巨大な両の掌が重なっている。それを開きながら金剛は言った。
「ちっ、避けたか」
耳の奥がキーンっと鳴っている。どんな力で叩き合えば耳鳴りを要するほどの破裂音がするのか……無理矢理に足を落とせてなかったらマウスパッドみたくペッチャンコになっていただろう。地面を抉りながら足を自分の方に引きもどす。
「恐ろしいことしやがる……。」
「コバエみたいに飛びまわってるからな潰してやろうかと思ったんだよ。」
「ははっ……蹴りをコバエって……。」
ミドルレンジからの打ち合いには飽きたのだろう。奴は一気に間合いを詰めてくる。右のこぶしを握っている。近距離で打ち合いたいらしい…………。
「そうはさせるかっ!」
おれは上半身を僅かに引く、同時に右足を伸ばして金剛の膝を蹴った。ぺちっと軽い音がする。
「そんな蹴りで止まるわけっ……」
「蹴按!!」
「ごぉっ?!」
やっと、金剛は驚いた声を出して驚いたらしい、巨体を揺らして膝をついた。それでも立っているおれと頭ひとつ分程度しか高さが変わらない。横幅だけなら余裕で負けているが……。
金剛がいった。
「今のは……龍剄か?」
「違うね。双按だ。」
なんと言ったらいいのだろう。どう例えたらいいのだろう。超高速のキャッチボール?超高速のラリー?ぶつかり合っては止めて話しだし、またぶつかる。その繰り返しだった二人が今、ノンストップで蹴り合って、殴り合っている。ただ、それはダメージに直接つながるキックやパンチではない。
万物を粉砕せしめる巨拳を、獲物を狙って一瞬の隙を突いて食い付く鷹のよう確実に蹴りを出して弾く。最初はまだ、目で追える速さだったものが今はもう音だけになっていた。あまりの速さに双方の手足が見えない速度の打ちあい。遊んでいるわけではない、互いに意図してここに打つから受けてくれ……なんて甘いやりあいでもない。本当に取るか取られるかの攻防を繰り広げているのだ。
「な、なぁ、どうなってんだよ。」
「わかりませんやよ。一見すれば五分五分にも見えますが片足だけでブロックカウンターし続けている師匠のが疲労度の蓄積は多いはずですやよ。」
楓子のいったとおり、金剛は大地に両足をつけ、両こぶしを放ち続けているが悠は片方しか地面を踏みしめておらず、打ちあっている今もなお、もう片足を打ちだし続けている。
「だったらなんで、手を使わないんだよ。足でできるんなら手でだってできるんじゃねーの?」
「手が……使えないとたらどうでしょうかやよ」
「……は?」
言うまいかどうか、目を閉じて悩むこと数秒。楓子は重々しく口を開いた。
「師匠は最初こそ殴りかかっていましたが、途中からは蹴りを多用され始めたやよ。」
「そりゃ……蹴りの方が威力が高いからじゃねぇのかよ。あたいだってそのぐらいのことは知ってるぜ。」
人間の体重を支えているのは足。当たり前に考えると力が強いのは足となる。
「ですが、手慣れているパンチとたまに使う程度のキックでならどう考えてもこぶしの方に分が上がりますやよ。……そもそも、あのバンテージを巻いたのだって本当に攻撃力を上げるためでしょうかやよ?私には砕けて握れなくなった拳を無理矢理に固めるために巻きつけたんじゃないかと思ってるやよ。」
いうなればフェイク、自分の拳はまだまだ使える。砕けてなんかいないと精一杯カモフラージュしているのではないか――楓子がそう思っていると同様にその可能性に金剛も、うすうす気がついていた。
「悠、いつまでこんな突き合いをつづける?」
「そっちが吹っ飛んでくれるまでかな」
「はっ、だったら止めてやる!!」
打ち合いの音が止む。金剛は不意に両手を止めて、そのまま左右に広げた。狙っていたタイミングをずらされた結果、おれのつま先は金剛の胸を穿とうとしたが踵に体重と力を全力に込めて軌道を変更した。コンマ一秒後……耳を聾(ろう)する破裂音がした。
影子と楓子もとっさに耳を押えてしまうほどの破裂音。
巨大な両の掌が重なっている。それを開きながら金剛は言った。
「ちっ、避けたか」
耳の奥がキーンっと鳴っている。どんな力で叩き合えば耳鳴りを要するほどの破裂音がするのか……無理矢理に足を落とせてなかったらマウスパッドみたくペッチャンコになっていただろう。地面を抉りながら足を自分の方に引きもどす。
「恐ろしいことしやがる……。」
「コバエみたいに飛びまわってるからな潰してやろうかと思ったんだよ。」
「ははっ……蹴りをコバエって……。」
ミドルレンジからの打ち合いには飽きたのだろう。奴は一気に間合いを詰めてくる。右のこぶしを握っている。近距離で打ち合いたいらしい…………。
「そうはさせるかっ!」
おれは上半身を僅かに引く、同時に右足を伸ばして金剛の膝を蹴った。ぺちっと軽い音がする。
「そんな蹴りで止まるわけっ……」
「蹴按!!」
「ごぉっ?!」
やっと、金剛は驚いた声を出して驚いたらしい、巨体を揺らして膝をついた。それでも立っているおれと頭ひとつ分程度しか高さが変わらない。横幅だけなら余裕で負けているが……。
金剛がいった。
「今のは……龍剄か?」
「違うね。双按だ。」