ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「……んっ?」
なんだろうか、今誰かに褒められたような気がした。
「おい、何処を見てる。また(意識が)飛んでるのか?」
金剛の声におれは目玉だけを動かしてターゲットをロックする。
「いいや、ちゃんと意識あるよ。それになんかさ、すっげぇ身体軽いよ。」
「それ……二回目だぞ。」
「愛してる」
「あぁ?」
ハトが豆鉄砲をくらったような顔で金剛はおれを凝視した。構わずに続ける。
「愛してるって言葉をさ、好きなやつに何回もいうってりと同じだよ。何回も何回も言いたいんだよ。本気で伝えたい気持ちを……意思や本心ってやつだ。」
「ふんっ。随分とロマンチストになったもんだ。」
「いやいや、金剛には負けるよ。」
「あん?」
「お前の言葉でおれは今立っていられる。なかなかのロマンチストパウァだ」
金剛は蹴られてもビクともしない切り株のような首を左右に振った。
「お前に立つ気力を与えたなら失敗だったかもな。お前という人間は俗に言うチートだ。地面に這いつくばった数だけ、叩かれ、蹴られ、撃たれ、切られ、投げられ、突かれ、絞められ……痛みの数だけ強くなって復活する。しかも、時にはこうしてただのひと言で元気を取り戻しやがる。」
何をいってくれてるのだろうか。ガードもせず筋肉の反発だけで打撃を受け止め痛みとして跳ね返し、アキレスの腱を狙ってサブミッションをかけても力技で振りほどき、加重圧がt(トン)を容易に超えるボム(投げ)を受けてなお立ち上がり、約百キロの体重と遠心力を乗せたハイキックを連続で受けて平然としている男の方がチートと言っても過言ではないだろうに……。
否定したいこと、肯定したいこと、伝えたいことはたくさんあったが、おれは金剛を遮っていった。
「金剛の言葉がそれだけ凄かったってことだろ。だから、安心してそこを通していいぞ。柏の馬鹿野郎を殴り終わったらちゃんと相手し直すから、にひひっ」
「……ふんっ、くくっ、面白い。けどな、通れるもんなら通ってみろ!!」
「あぁ、突きぬけてやる!!」
地面を踏む。踏みしめて前に飛び出す。一二の三のリズムを刻むように大地を踏みしめて、右足を振り上げた。金剛は拳を突きだす。スローモーションにでもなったと錯覚するほど、クリアーに動きが見える。
さしあたって、まずは中距離(ミドルレンジ)で打ちあってやるか――
ダンッ!ズズッ……蹴りと拳がぶつかる音が鳴る。そして、ほぼ同時に聞こえた巨大なものを引きずったような音。唯一ライブで見ている楓子と影子。稲妻の音や爆発音などより耳にするとゾッとする殴り合いの音を生で聴き、眺める。目を逸らしたいのに逸らせない一進一退のやり合いの中、今回退いたのは……金剛だった。
それを見て、もはや隠れもせず影子は興奮気味に叫んだ。
「悠のヤツ、打ち勝ったのか?!あのバカ超力に!」
「いや、いくら師匠でもあの人の力には負けるでしょうやよ」
思いのほか冷静に成り行きを見守る楓子に、影子はまくしたてた。
「わっかんねーだろ。今だって現にデカイやつのが退いたじゃんか!」
「えぇ、弾いたのでしょうやよ」
「弾いた?」
金剛の左ストレート……拳が突き放たれ腕が伸び、肘関節、肩関節もまっすぐに開き完全に伸び切った。一本の棒と化したまさにその一瞬……悠はそのストレートを蹴りつけた。ぶつかってくる力の一瞬の一瞬にタイミングを合わせることが出来たならば。力の強い方がはね返る。あたかも一枚のぶ厚い壁にボールをぶつけたかの如く……。
「相手方の金剛殿はご自身の筋肉を、殴られる部分に集中膨張させることによって筋肉反射(マッスルカウンター)をされるように、師匠はタイミングと集中力という技術で受弾き(ブロックカウンター)をしたのですやよ。」
当然、筋肉反射のような芸当は普通の人間にはまず不可能に近い。例え同じ量の筋肉を所持していても部分部分で筋肉を操作することは相当の荒技なのだ。
ならば、逆に悠のブロックカウンターならどうだろうか?どこを殴ってくるかわからず途轍(とてつ)もないスピードで連射されたり、一発の重さが鉛の塊りをぶつけてくるような威力のパンチの極々一瞬を狙って受弾く。
どちらら凄いとか素晴らしいと評価に値するものではなく。どちらとも最高峰の力であり技。しかし、それをただの前座、消耗品、戯れ程度に使い合うのが、この二人なのだ。
なんだろうか、今誰かに褒められたような気がした。
「おい、何処を見てる。また(意識が)飛んでるのか?」
金剛の声におれは目玉だけを動かしてターゲットをロックする。
「いいや、ちゃんと意識あるよ。それになんかさ、すっげぇ身体軽いよ。」
「それ……二回目だぞ。」
「愛してる」
「あぁ?」
ハトが豆鉄砲をくらったような顔で金剛はおれを凝視した。構わずに続ける。
「愛してるって言葉をさ、好きなやつに何回もいうってりと同じだよ。何回も何回も言いたいんだよ。本気で伝えたい気持ちを……意思や本心ってやつだ。」
「ふんっ。随分とロマンチストになったもんだ。」
「いやいや、金剛には負けるよ。」
「あん?」
「お前の言葉でおれは今立っていられる。なかなかのロマンチストパウァだ」
金剛は蹴られてもビクともしない切り株のような首を左右に振った。
「お前に立つ気力を与えたなら失敗だったかもな。お前という人間は俗に言うチートだ。地面に這いつくばった数だけ、叩かれ、蹴られ、撃たれ、切られ、投げられ、突かれ、絞められ……痛みの数だけ強くなって復活する。しかも、時にはこうしてただのひと言で元気を取り戻しやがる。」
何をいってくれてるのだろうか。ガードもせず筋肉の反発だけで打撃を受け止め痛みとして跳ね返し、アキレスの腱を狙ってサブミッションをかけても力技で振りほどき、加重圧がt(トン)を容易に超えるボム(投げ)を受けてなお立ち上がり、約百キロの体重と遠心力を乗せたハイキックを連続で受けて平然としている男の方がチートと言っても過言ではないだろうに……。
否定したいこと、肯定したいこと、伝えたいことはたくさんあったが、おれは金剛を遮っていった。
「金剛の言葉がそれだけ凄かったってことだろ。だから、安心してそこを通していいぞ。柏の馬鹿野郎を殴り終わったらちゃんと相手し直すから、にひひっ」
「……ふんっ、くくっ、面白い。けどな、通れるもんなら通ってみろ!!」
「あぁ、突きぬけてやる!!」
地面を踏む。踏みしめて前に飛び出す。一二の三のリズムを刻むように大地を踏みしめて、右足を振り上げた。金剛は拳を突きだす。スローモーションにでもなったと錯覚するほど、クリアーに動きが見える。
さしあたって、まずは中距離(ミドルレンジ)で打ちあってやるか――
ダンッ!ズズッ……蹴りと拳がぶつかる音が鳴る。そして、ほぼ同時に聞こえた巨大なものを引きずったような音。唯一ライブで見ている楓子と影子。稲妻の音や爆発音などより耳にするとゾッとする殴り合いの音を生で聴き、眺める。目を逸らしたいのに逸らせない一進一退のやり合いの中、今回退いたのは……金剛だった。
それを見て、もはや隠れもせず影子は興奮気味に叫んだ。
「悠のヤツ、打ち勝ったのか?!あのバカ超力に!」
「いや、いくら師匠でもあの人の力には負けるでしょうやよ」
思いのほか冷静に成り行きを見守る楓子に、影子はまくしたてた。
「わっかんねーだろ。今だって現にデカイやつのが退いたじゃんか!」
「えぇ、弾いたのでしょうやよ」
「弾いた?」
金剛の左ストレート……拳が突き放たれ腕が伸び、肘関節、肩関節もまっすぐに開き完全に伸び切った。一本の棒と化したまさにその一瞬……悠はそのストレートを蹴りつけた。ぶつかってくる力の一瞬の一瞬にタイミングを合わせることが出来たならば。力の強い方がはね返る。あたかも一枚のぶ厚い壁にボールをぶつけたかの如く……。
「相手方の金剛殿はご自身の筋肉を、殴られる部分に集中膨張させることによって筋肉反射(マッスルカウンター)をされるように、師匠はタイミングと集中力という技術で受弾き(ブロックカウンター)をしたのですやよ。」
当然、筋肉反射のような芸当は普通の人間にはまず不可能に近い。例え同じ量の筋肉を所持していても部分部分で筋肉を操作することは相当の荒技なのだ。
ならば、逆に悠のブロックカウンターならどうだろうか?どこを殴ってくるかわからず途轍(とてつ)もないスピードで連射されたり、一発の重さが鉛の塊りをぶつけてくるような威力のパンチの極々一瞬を狙って受弾く。
どちらら凄いとか素晴らしいと評価に値するものではなく。どちらとも最高峰の力であり技。しかし、それをただの前座、消耗品、戯れ程度に使い合うのが、この二人なのだ。