ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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「真向勝負!」
前に進む、ノーガードで歩きだすと、金剛も構えを解いた。どうやら、『待つ』つもりらしい。おれが必殺の間合いで止まるとヤツも止まる。おれはいった。
「どうした、打って来ないのか」
「お前の流儀でやってやる。」
「……あー?」
「もう忘れたか、とことん付き合ってやる。お前がゼロ距離を望むならいくらでもゼロ距離で打ってこっ――」
足の開きは肩幅程度に、軸足はしっかりと体重を乗せて踏ん張る。蹴り足の先に重心を移動させつつ足を大きく振る。ハイキックという大技は本来まず当たらない。だから、小技で動きを止めて放つ。だが、相手が止まってくれていて的がでかいなら容易く当てることは出来る。
それでも通常より股の開きを大きくしてやっと横面にブチ当てれたのだが……。
「こんなもんか……?」
喋ってる途中を狙ってのハイキックを受けてヤツは余裕の表情だった。
当然、こんなものなわきゃない。金剛の首にかかったままの足を軸におれは逆の足で蹴り飛ばししてやった。小鳥遊悠という全身の体重を乗せた蹴りをブチかます。
「なっ?!がはぁ……ッッ!!」
「ウォォォラァッ!!」
腰が上半身が一回転してねじ切れそうになる。おれも痛いが、金剛も全体重+遠心力を加えた蹴りには流石に声を出して横に吹き飛んだ。それでも倒れはしない。力士が四股を踏むような動作で巨体にブレーキをかけて停止する。
普通に首の骨が折れてもおかしくない様な足技を受けてもまだ倒れないか……。だが、様子がおかしい事にすぐに気がついた。
「アガガガガガッッッッーーーー!!」
「っと……コイツはクリーンヒットに加えて追加効果が決まったか。」
泣きごとひとつ吐かなかった金剛が、あの男が奇声をあげた。正確に言うと叫び声が言葉に出来ない状態になっている。下顎が外れて口が閉じなくなっている。顎が外れたんだ。
たかだか顎が外れただけと思うかもしれないが、その痛みは洒落にならない。軽度のものなら簡単に治せて痛みはあまりないこともある。擬似的な痛みなら口を大きくひらいて自分の拳を縦に突っ込んでみるといものの数秒もしないうちに痛みが襲ってくる。その痛みを何十倍にもなった痛みがソレだ。
「アガーーーー!アガーーーー!」
奇声をあげて身体を振りまわしていた男が突然ぴたりと動きを止めた。だらだらとよだれを垂らし、大口を開けたまま揺れる自身の下顎を両手で押えた。ググッと上半身を軽く逸らし荒々しくお辞儀するように真下に振った。同時に膝を突きあげて固定した顎に向かってぶつける。ガギンと凹凸がひとつにハマった音がして、首を軽く揺らすとすっかり元に戻ってやつはカチカチと歯を噛み鳴らした。
顎が外れて戦意は削げても、倒せるわけではない。それでもあんな無茶苦茶にしかも荒々しく治すやつがあるものか。
「今のはなかなか面白かったぞ」
「へっ、へへ、そーかよ」
面白いなんて言葉で片付けられるといよいよ困って来た。ただ、ゼロ距離勝負だと出だしはわずかだがおりに部がある。更に、奴は避ける気がない。結局はそこしかない。気絶するまで頭を狙う。ピンポイント攻撃だ。
「いつまで考え込んでる」
「へへっ、すぐ行ってやるよ」
「ゼロ距離だとお前の方が速いな……。」
「そうだな、避けるとか受けるとかしてもいいんだぜ。出来るんならな」
会話しながら間合いを詰め、ベストな位置にたどり着いたと同時に両足で地面を蹴りつけて飛びあがろうとしたが、ズンっと肩に何かが引っかかり押し戻されてしまう。
「むっ」
「また、飛ぼうとしたな。ネタ(技)がキレたんだろ」
金剛のどでかい手がおれの右肩を掴んでいた。マズイ、とんでもない読み違いをしていた……。間合いを潰したらパンチの出を遅くなる。しかし力みなしに腕を伸ばすだけならそっちの方がより早いに決まっている。そしてなにより飛びあがっていくおれの肩を掴めるほどヤツの腕は長かった……。
「どうだ、もう一度見せてみろ。お前のゼロ距離戦術ってやつを」
「その挑発乗った!」
至福とは…………なんだ?
それは築き、蓄え、準備した全ての使用!!おれはゼロ距離ハイキック、今一度使用(つか)おうとしたが……足はあがらない。
「っ……?」
「どうした?」
右、左と足を振るいあげるが上がらない。一切の動きが思い通りにならない。
「なっ……?んっ……?まっ……?」
我が身に起こった異変におれは理解した。掴まれている右肩。足を上げようとした瞬間に力を加えて動きを制したのだ。合気といえる技術でなく、あえて例えるなら金剛流の剛力封殺……。
「こないなら……俺がいくぞ。」
金剛は右腕を高々にあげた。
前に進む、ノーガードで歩きだすと、金剛も構えを解いた。どうやら、『待つ』つもりらしい。おれが必殺の間合いで止まるとヤツも止まる。おれはいった。
「どうした、打って来ないのか」
「お前の流儀でやってやる。」
「……あー?」
「もう忘れたか、とことん付き合ってやる。お前がゼロ距離を望むならいくらでもゼロ距離で打ってこっ――」
足の開きは肩幅程度に、軸足はしっかりと体重を乗せて踏ん張る。蹴り足の先に重心を移動させつつ足を大きく振る。ハイキックという大技は本来まず当たらない。だから、小技で動きを止めて放つ。だが、相手が止まってくれていて的がでかいなら容易く当てることは出来る。
それでも通常より股の開きを大きくしてやっと横面にブチ当てれたのだが……。
「こんなもんか……?」
喋ってる途中を狙ってのハイキックを受けてヤツは余裕の表情だった。
当然、こんなものなわきゃない。金剛の首にかかったままの足を軸におれは逆の足で蹴り飛ばししてやった。小鳥遊悠という全身の体重を乗せた蹴りをブチかます。
「なっ?!がはぁ……ッッ!!」
「ウォォォラァッ!!」
腰が上半身が一回転してねじ切れそうになる。おれも痛いが、金剛も全体重+遠心力を加えた蹴りには流石に声を出して横に吹き飛んだ。それでも倒れはしない。力士が四股を踏むような動作で巨体にブレーキをかけて停止する。
普通に首の骨が折れてもおかしくない様な足技を受けてもまだ倒れないか……。だが、様子がおかしい事にすぐに気がついた。
「アガガガガガッッッッーーーー!!」
「っと……コイツはクリーンヒットに加えて追加効果が決まったか。」
泣きごとひとつ吐かなかった金剛が、あの男が奇声をあげた。正確に言うと叫び声が言葉に出来ない状態になっている。下顎が外れて口が閉じなくなっている。顎が外れたんだ。
たかだか顎が外れただけと思うかもしれないが、その痛みは洒落にならない。軽度のものなら簡単に治せて痛みはあまりないこともある。擬似的な痛みなら口を大きくひらいて自分の拳を縦に突っ込んでみるといものの数秒もしないうちに痛みが襲ってくる。その痛みを何十倍にもなった痛みがソレだ。
「アガーーーー!アガーーーー!」
奇声をあげて身体を振りまわしていた男が突然ぴたりと動きを止めた。だらだらとよだれを垂らし、大口を開けたまま揺れる自身の下顎を両手で押えた。ググッと上半身を軽く逸らし荒々しくお辞儀するように真下に振った。同時に膝を突きあげて固定した顎に向かってぶつける。ガギンと凹凸がひとつにハマった音がして、首を軽く揺らすとすっかり元に戻ってやつはカチカチと歯を噛み鳴らした。
顎が外れて戦意は削げても、倒せるわけではない。それでもあんな無茶苦茶にしかも荒々しく治すやつがあるものか。
「今のはなかなか面白かったぞ」
「へっ、へへ、そーかよ」
面白いなんて言葉で片付けられるといよいよ困って来た。ただ、ゼロ距離勝負だと出だしはわずかだがおりに部がある。更に、奴は避ける気がない。結局はそこしかない。気絶するまで頭を狙う。ピンポイント攻撃だ。
「いつまで考え込んでる」
「へへっ、すぐ行ってやるよ」
「ゼロ距離だとお前の方が速いな……。」
「そうだな、避けるとか受けるとかしてもいいんだぜ。出来るんならな」
会話しながら間合いを詰め、ベストな位置にたどり着いたと同時に両足で地面を蹴りつけて飛びあがろうとしたが、ズンっと肩に何かが引っかかり押し戻されてしまう。
「むっ」
「また、飛ぼうとしたな。ネタ(技)がキレたんだろ」
金剛のどでかい手がおれの右肩を掴んでいた。マズイ、とんでもない読み違いをしていた……。間合いを潰したらパンチの出を遅くなる。しかし力みなしに腕を伸ばすだけならそっちの方がより早いに決まっている。そしてなにより飛びあがっていくおれの肩を掴めるほどヤツの腕は長かった……。
「どうだ、もう一度見せてみろ。お前のゼロ距離戦術ってやつを」
「その挑発乗った!」
至福とは…………なんだ?
それは築き、蓄え、準備した全ての使用!!おれはゼロ距離ハイキック、今一度使用(つか)おうとしたが……足はあがらない。
「っ……?」
「どうした?」
右、左と足を振るいあげるが上がらない。一切の動きが思い通りにならない。
「なっ……?んっ……?まっ……?」
我が身に起こった異変におれは理解した。掴まれている右肩。足を上げようとした瞬間に力を加えて動きを制したのだ。合気といえる技術でなく、あえて例えるなら金剛流の剛力封殺……。
「こないなら……俺がいくぞ。」
金剛は右腕を高々にあげた。