ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ……」
ドッドッドッドッドッ……。
自分の吐き出す荒息と脈打つ心臓の音しか聞こえない。これからの人生の中でも今ほど重たくてデカイものを吊り上げることなんてないと思う。吹きだしてくる汗に沸き上がる疲労に苛まれつつ奴を見た……。
「……」
金剛は仰向けになって倒れたまま動かない。コイツだって投げ技を、しかもバックドロップを喰らう経験なんてないはずだろう。おれは両手を天につきあげて叫んだ。
「うっしゃあーーーーっ!!やったぜザマーミロッ!!勝った……!!おれは破壊神に勝ったぜーーー!!写メっとくか?!って、おれのケータイぶっこわれてるじゃん!!まぁいいでも、念のためトドメは刺しとくかデコっ!!」
「は、はいやよっ!!」
突然名前を呼ばれたことの条件反射か楓子は敬礼して返事をする。なかなか愛いやつだ。
「ちょっと刀かせ!」
「どうぞやよっ!」
躊躇なく刀を投げてきた。
「ナイスっ!」
ソレをキャッチして鞘着きのまま大きく振りかぶる。すると、視線がぶつかった。仰向けのままではあるがしっかりと眼を見開いてバッチリおれを見つめている。
「……」
「……」
「………」
「………そ、そんな目で見んなよ馬鹿……!嘘だって!こんなのに頼らなくたって別に……っか、テメー生きてやがったのか……!」
目を離したホンの数秒、そこで倒れていたはずの金剛の姿が消えている。あんな巨大なものがまったく見えなくなるわけがない。探そうとしたその時、メヂッ……っとどう表現したら分からない様な不気味な音がして、そっちの方に目をやると金剛が電燈をひっこ抜いてる。
「え、えーと、金剛……さん?」
「おい悠……お前はソレ使っていいぞ。俺は……コレを使う」
「て……鉄パイプ?いや、鉄棒か……って何が「お前はソレ使っていいぞ」だ!!なに引っこ抜いてるんだよ!しまえしまえ!」
「よくある光景だろ」
「あるかーーーー!!」
真顔でとんでもない強行手段を取って……コイツいつからこんなぶっとびキャラになりやがったんだ。
「金剛、武器は止めようぜ。お互い素手喧嘩(ステゴロ)での勝負だっただろ。」
「先に武器使おうとしたのお前だろっ!!」
カゲコの馬鹿野郎が余計なツッコミいれやがった。
「ば、馬鹿っ!これは違う、これはアレでこれで扉こじ開けようとしただけですぅっー!!金剛の頭をしばこうとか思ってませんからっ!」
「完全にやる気じゃねーかっ!!」
ただの鉄の棒、つまりは鉄の塊である物を振りおろしてきた。刀とか槍とか、薙刀とかあらゆる武器があるがいまハッキリと分かった。デカイ男が振り回すなら「武器」でなくていいんだ。最悪丸太でも持たせてりゃそれが最大の凶器と化すのだと。
おれは両手で刀を握り締めて渾身の振りおろしを受け止めた。ぶつかった瞬間に両肩が外れてもおかしくない加圧。我が身こそ守れたが鞘が割れて刃が歪んでしまっている。道具を使って闘う経験が限りなく少なかった金剛は引いてもう一度振り下ろすなんてことはしなかった。そのまま押しつぶそうと力を込めてくる。
おれは瞬間的に右手にだけ力を残して左腕を引いた。一方向にかかっていた力をずらして斜めに弾いた。刀を手放してその場で九十度回転して金剛の手首に蹴りを放つと持っていた鉄棒を吹っ飛ばすことに成功した。地面に手を突き、側転の要領で着地する。
「はぁはぁ……仕切り直しだ。この野郎!」
これで、凶器は互いに無しだ。構え直して金剛を見ると、奴は手首を擦りながら睨みつけてくる。毎度のことながらおれに向けて発せられる睨みにはいっつも本気の怒りとか殺意とかが込められているので困ってしまう。
「てめっ……チョロチョロと小技で粘りやがって、もう止めねぇから鬼状態でも龍剄でもいから使ってぶつかって来いよ!」
「断るっ!!」
「なっ……」
おれの即答に金剛は虚を突かれたような反応を見せる。それにしても『ぶつかる』って言葉を聞いただけで額がズキンとした。これが瞬間トラウマというやつだろうか……。たぶん明日からは鉄製の扉にびくびくする生活が始まってしまうかもしれない。
ドッドッドッドッドッ……。
自分の吐き出す荒息と脈打つ心臓の音しか聞こえない。これからの人生の中でも今ほど重たくてデカイものを吊り上げることなんてないと思う。吹きだしてくる汗に沸き上がる疲労に苛まれつつ奴を見た……。
「……」
金剛は仰向けになって倒れたまま動かない。コイツだって投げ技を、しかもバックドロップを喰らう経験なんてないはずだろう。おれは両手を天につきあげて叫んだ。
「うっしゃあーーーーっ!!やったぜザマーミロッ!!勝った……!!おれは破壊神に勝ったぜーーー!!写メっとくか?!って、おれのケータイぶっこわれてるじゃん!!まぁいいでも、念のためトドメは刺しとくかデコっ!!」
「は、はいやよっ!!」
突然名前を呼ばれたことの条件反射か楓子は敬礼して返事をする。なかなか愛いやつだ。
「ちょっと刀かせ!」
「どうぞやよっ!」
躊躇なく刀を投げてきた。
「ナイスっ!」
ソレをキャッチして鞘着きのまま大きく振りかぶる。すると、視線がぶつかった。仰向けのままではあるがしっかりと眼を見開いてバッチリおれを見つめている。
「……」
「……」
「………」
「………そ、そんな目で見んなよ馬鹿……!嘘だって!こんなのに頼らなくたって別に……っか、テメー生きてやがったのか……!」
目を離したホンの数秒、そこで倒れていたはずの金剛の姿が消えている。あんな巨大なものがまったく見えなくなるわけがない。探そうとしたその時、メヂッ……っとどう表現したら分からない様な不気味な音がして、そっちの方に目をやると金剛が電燈をひっこ抜いてる。
「え、えーと、金剛……さん?」
「おい悠……お前はソレ使っていいぞ。俺は……コレを使う」
「て……鉄パイプ?いや、鉄棒か……って何が「お前はソレ使っていいぞ」だ!!なに引っこ抜いてるんだよ!しまえしまえ!」
「よくある光景だろ」
「あるかーーーー!!」
真顔でとんでもない強行手段を取って……コイツいつからこんなぶっとびキャラになりやがったんだ。
「金剛、武器は止めようぜ。お互い素手喧嘩(ステゴロ)での勝負だっただろ。」
「先に武器使おうとしたのお前だろっ!!」
カゲコの馬鹿野郎が余計なツッコミいれやがった。
「ば、馬鹿っ!これは違う、これはアレでこれで扉こじ開けようとしただけですぅっー!!金剛の頭をしばこうとか思ってませんからっ!」
「完全にやる気じゃねーかっ!!」
ただの鉄の棒、つまりは鉄の塊である物を振りおろしてきた。刀とか槍とか、薙刀とかあらゆる武器があるがいまハッキリと分かった。デカイ男が振り回すなら「武器」でなくていいんだ。最悪丸太でも持たせてりゃそれが最大の凶器と化すのだと。
おれは両手で刀を握り締めて渾身の振りおろしを受け止めた。ぶつかった瞬間に両肩が外れてもおかしくない加圧。我が身こそ守れたが鞘が割れて刃が歪んでしまっている。道具を使って闘う経験が限りなく少なかった金剛は引いてもう一度振り下ろすなんてことはしなかった。そのまま押しつぶそうと力を込めてくる。
おれは瞬間的に右手にだけ力を残して左腕を引いた。一方向にかかっていた力をずらして斜めに弾いた。刀を手放してその場で九十度回転して金剛の手首に蹴りを放つと持っていた鉄棒を吹っ飛ばすことに成功した。地面に手を突き、側転の要領で着地する。
「はぁはぁ……仕切り直しだ。この野郎!」
これで、凶器は互いに無しだ。構え直して金剛を見ると、奴は手首を擦りながら睨みつけてくる。毎度のことながらおれに向けて発せられる睨みにはいっつも本気の怒りとか殺意とかが込められているので困ってしまう。
「てめっ……チョロチョロと小技で粘りやがって、もう止めねぇから鬼状態でも龍剄でもいから使ってぶつかって来いよ!」
「断るっ!!」
「なっ……」
おれの即答に金剛は虚を突かれたような反応を見せる。それにしても『ぶつかる』って言葉を聞いただけで額がズキンとした。これが瞬間トラウマというやつだろうか……。たぶん明日からは鉄製の扉にびくびくする生活が始まってしまうかもしれない。