ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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デコとカゲコを押し退けて、おれと金剛は仕切り直って対立した。
「うー……おぉ……頭いってぇ、けどなぁーんかすっきりしちゃったぜ。金剛ちゃんよう」
おれは額から流れ伝い落ちてくる液体が唇に触れたので舌を伸ばして舐めた。鉄臭いフレーバーが口いっぱいにひろがる。汗でも雨でもなく血液らしい。痛い部分からタラタラと溢れてくるってことは割れてるか裂けてるんだろう。
「あれ、血止まんね?」
前髪を全部後ろにひっつめた……が、残念なことにおれは髪を縛るものをもう持っていない。眼前に立つ男に言った。
「なあ、ゴムかなんか持ってないか?あ、コンドームの方じゃないぞ」
「何いってんだお前は!!」
カゲコに怒鳴られた。空高くで唸っている雷よりうるさい音だ。金剛は顔色ひとつ変えずポケットに手を突っ込んで何かを掴みデカイ手をおれに差し向けた。
「紐でいいなら有るぞ」
「それでいいや。ちょっと結ってくれ。力いっぱい頼むな解けないように」
おれはひっ詰めた髪を首の裏で大きく束にして後ろを向いた。またまたうるさい声が飛んでくる。
「馬鹿っ!なに敵に背中さらしてんだよ!!」
「うるせぇっ!全部終わったら相手してやるから裸になってベッドで待ってろ!!」
「なっなななっっなにいってりゅんだよばかーっっっ///!」
アイツの方が何いってるか全く分からん。そうしてると頭のうえから声が落ちてくる。
「少しじっとしてろ泥を落とすぞ」
どうやら縛り終わったうえ汚れまで取ってくれるらしい。どうでもいいことだがあの太い指でよく紐を結べるもんだ。
「転げ回ったせいでドロドロだな。折角の濡烏色の髪が台無しだぞ。」
「ふふっ、嬉しいこといってくれるが金剛、濡烏は女性の髪の色彩を形容する言葉だぞ。男に対して使うとするなら濡れ羽色かな……。よいしょっと」
おれは髪の事を金剛に任せてポケットからアレを取りだした。水気を吸ってしまってぐしゃぐしゃになってしまっていた。
「なんだそれ?布?」
「これか?ちょっとした戦利品だ」
それに反応したのは楓子と影子だった。ここに来る途中の会津学園女生徒の部隊一団からはぎ取ったパンツだ。本当にポケットにしまいこんでいたのかと愕然とする。なにをしでかすのかと見ていると……。
「使うつもりはなかったけど仕方ないよな。んんっ!!」
おれはパンツの端を噛み千切って開きにした水気を絞ってクロッチの部分を手の甲に当てがって縛る。そこそこの枚数があるので重ねて両手にしっかりと巻いた。
「なんの変態行為かと思ったが……バンテージのつもりかそれ。」
「そだよ。うっし出来た。」
バンテージとはボクシングなどで使う拳を守るための布帯。これは武装だ。布を巻いただけで武装とは大げさに聞こえるかもしれないが、バンテージで固めた拳は凶器となる。威力格段に違う。
「そんなものがバンテージになんのか?」
「まぁ、ならんだろうけど止血帯代わりと拳の守りにはなる。これだったら、目標に当てた時に握りの甘さから衝撃を緩和することもないし手首のグラつきも少なく打ち抜ける。」
「やれやれ……俺に背中見せてそういうこというなよ、なっ。」
トンっと背中を突かれた。どうやら、ある程度の泥は取り除かれたらしい。おれは一歩二歩とそのまま前に歩んで回れ右する。しっかりと金剛の顔を見つめた。やっぱりデカイ……圧倒的に、後ろの建物が小さく思えるほど威圧感がある。その巨人が口を開いた。
「悠、本当にまだ続けるのか?」
「おいおい、いったい何度おんなじ問答を続けるんだよ。」
「……医療的なことは素人の俺だって、今のお前が万全の状態でないのは見るからに分かってるしあばら骨も何本か逝ってるし、それに摩耶に内臓を壊されたんだろ。そもそも下着何ぞで手を保護しないと握りが甘くなるくらいの握力しか……」
「優しいねぇ。やっぱ金剛は優しいわ。それでも安心しろ……だれが言ったかは忘れたし、もしかしたらいってないかもしれない――っが、おれは死なないように出来てるんだよ。それに、おれは死なないようにできてるんだよ。」
「……お前、今二回言ったぞ」
「えっ?」
二回?あっ、二回いっちゃったのか。まぁいいや……大事なことだからってことだ。
「やっぱり頭に来てるんだろ。悠、俺からも柏にはいってやるから止めようぜ。」
「断る」
「!?」
おれは金剛の肩に手を置いた。
「……ごめんっ!!」
「……理由(ワケ)を聞こうか」
「いや、だってそれって結局おれが負けたみたいな感じで頭下げなきゃなんねーんだろ?おれはさ誰かに頭ァ下げんのが大っ嫌いなのよねぇ~。損得勘定で頭下げられんなら……今すぐシューショクしちまえ。おれは、おれ達ぁよ……へっへっ……不良少年じゃねーか。なにが悲しくて今さら器用なフリしなくちゃなんねーんだよ。」
「うー……おぉ……頭いってぇ、けどなぁーんかすっきりしちゃったぜ。金剛ちゃんよう」
おれは額から流れ伝い落ちてくる液体が唇に触れたので舌を伸ばして舐めた。鉄臭いフレーバーが口いっぱいにひろがる。汗でも雨でもなく血液らしい。痛い部分からタラタラと溢れてくるってことは割れてるか裂けてるんだろう。
「あれ、血止まんね?」
前髪を全部後ろにひっつめた……が、残念なことにおれは髪を縛るものをもう持っていない。眼前に立つ男に言った。
「なあ、ゴムかなんか持ってないか?あ、コンドームの方じゃないぞ」
「何いってんだお前は!!」
カゲコに怒鳴られた。空高くで唸っている雷よりうるさい音だ。金剛は顔色ひとつ変えずポケットに手を突っ込んで何かを掴みデカイ手をおれに差し向けた。
「紐でいいなら有るぞ」
「それでいいや。ちょっと結ってくれ。力いっぱい頼むな解けないように」
おれはひっ詰めた髪を首の裏で大きく束にして後ろを向いた。またまたうるさい声が飛んでくる。
「馬鹿っ!なに敵に背中さらしてんだよ!!」
「うるせぇっ!全部終わったら相手してやるから裸になってベッドで待ってろ!!」
「なっなななっっなにいってりゅんだよばかーっっっ///!」
アイツの方が何いってるか全く分からん。そうしてると頭のうえから声が落ちてくる。
「少しじっとしてろ泥を落とすぞ」
どうやら縛り終わったうえ汚れまで取ってくれるらしい。どうでもいいことだがあの太い指でよく紐を結べるもんだ。
「転げ回ったせいでドロドロだな。折角の濡烏色の髪が台無しだぞ。」
「ふふっ、嬉しいこといってくれるが金剛、濡烏は女性の髪の色彩を形容する言葉だぞ。男に対して使うとするなら濡れ羽色かな……。よいしょっと」
おれは髪の事を金剛に任せてポケットからアレを取りだした。水気を吸ってしまってぐしゃぐしゃになってしまっていた。
「なんだそれ?布?」
「これか?ちょっとした戦利品だ」
それに反応したのは楓子と影子だった。ここに来る途中の会津学園女生徒の部隊一団からはぎ取ったパンツだ。本当にポケットにしまいこんでいたのかと愕然とする。なにをしでかすのかと見ていると……。
「使うつもりはなかったけど仕方ないよな。んんっ!!」
おれはパンツの端を噛み千切って開きにした水気を絞ってクロッチの部分を手の甲に当てがって縛る。そこそこの枚数があるので重ねて両手にしっかりと巻いた。
「なんの変態行為かと思ったが……バンテージのつもりかそれ。」
「そだよ。うっし出来た。」
バンテージとはボクシングなどで使う拳を守るための布帯。これは武装だ。布を巻いただけで武装とは大げさに聞こえるかもしれないが、バンテージで固めた拳は凶器となる。威力格段に違う。
「そんなものがバンテージになんのか?」
「まぁ、ならんだろうけど止血帯代わりと拳の守りにはなる。これだったら、目標に当てた時に握りの甘さから衝撃を緩和することもないし手首のグラつきも少なく打ち抜ける。」
「やれやれ……俺に背中見せてそういうこというなよ、なっ。」
トンっと背中を突かれた。どうやら、ある程度の泥は取り除かれたらしい。おれは一歩二歩とそのまま前に歩んで回れ右する。しっかりと金剛の顔を見つめた。やっぱりデカイ……圧倒的に、後ろの建物が小さく思えるほど威圧感がある。その巨人が口を開いた。
「悠、本当にまだ続けるのか?」
「おいおい、いったい何度おんなじ問答を続けるんだよ。」
「……医療的なことは素人の俺だって、今のお前が万全の状態でないのは見るからに分かってるしあばら骨も何本か逝ってるし、それに摩耶に内臓を壊されたんだろ。そもそも下着何ぞで手を保護しないと握りが甘くなるくらいの握力しか……」
「優しいねぇ。やっぱ金剛は優しいわ。それでも安心しろ……だれが言ったかは忘れたし、もしかしたらいってないかもしれない――っが、おれは死なないように出来てるんだよ。それに、おれは死なないようにできてるんだよ。」
「……お前、今二回言ったぞ」
「えっ?」
二回?あっ、二回いっちゃったのか。まぁいいや……大事なことだからってことだ。
「やっぱり頭に来てるんだろ。悠、俺からも柏にはいってやるから止めようぜ。」
「断る」
「!?」
おれは金剛の肩に手を置いた。
「……ごめんっ!!」
「……理由(ワケ)を聞こうか」
「いや、だってそれって結局おれが負けたみたいな感じで頭下げなきゃなんねーんだろ?おれはさ誰かに頭ァ下げんのが大っ嫌いなのよねぇ~。損得勘定で頭下げられんなら……今すぐシューショクしちまえ。おれは、おれ達ぁよ……へっへっ……不良少年じゃねーか。なにが悲しくて今さら器用なフリしなくちゃなんねーんだよ。」