ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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豊島区のある神社には仏像ではなく別のものを祀っている場所がある。右翼と左翼を大きくひらき、360種の羽を持つ孔雀に似ているソレは黄金の箔で彩られた巨大な像だ。古代中国の書物『礼記』では麒麟・亀(霊亀)・龍(応龍)とともに特別な瑞獣「四霊」(もしくは四瑞)のひとつであり、平安を表すとされた……鳳凰。日本でも平等院鳳凰堂屋上の像。新一万円札にも描かれている中国神話の伝説の鳥、霊鳥である。
広い本堂内の大半を占める大鳳凰像の下ではバチあたりにも大人数が集まって酒盛りをおっぱじめていた。既に空になり転がっている酒瓶や缶の数は尋常ではなかったが、そこにいる誰ひとりとして酔っている者はいなかった。大型のモニターを囲い、それに映るのは当然ながら小鳥遊悠の動画だ。ひと際大柄で顔に「鬼」の字の刺青が入った男が大笑いする。
「がははははっ!!見てみろあのバカを扉に突っ込んで自爆しやがったぜ!」
大口をあけて膝を叩きながら笑う姿は文字通り鬼のようだった。それにつられて他の人間も笑いだす。ここに集まる面々は十神将(秋宵月真桜は除く)その人らだ。オッサン七人と年齢不詳の美魔女とオバハンがひとり……そしてもうひとりは九つの結髪、整ったイヤらしくない程度に高い鼻、薄い花弁のような唇、十人が二十人美人といっても間違いない美貌の持ち主の九頭竜神姫だった。ただ、ひとつお世辞にも優しい目とはいえない鋭い眼でジッとモニターを見つめていた。
「気になるか?」
大樹に出来た洞(うろ)が風を吐きだしたような声を掛けてきたのは神姫の実の父、道玄だった。この親からここまで美しい娘が出来るのかと疑問するがその眼力の鋭さは紛うことなき親子の証だった。娘は軽く首を左右に振った。
「別に。」
「ふふっ。しかし……儂は正直驚いている。龍剄は確かに教えた……だが、ヤツは短期間で赤龍をしていは翠龍の門も開いた。悠の成長は目を見張るものがある。まるで……」
「兄貴みたいとかいわないわよね?」
「馬鹿をいうな。儂にそっくりだと言おうとしたんだ。神よお前はどうみる?」
「どうもこうも私なら翠龍じゃなく白龍を使うは初めっから…」
「あぁ、違う違う」
道玄は大きく左右に首を振って神姫の言葉を遮った。缶ビールを一本取ると喉を鳴らしてあっという間に空にした。喉が潤い下の滑りが良くなったのか機嫌よく含み笑い声で言った。
「男としてどうだという意味だ。」
「酔ったの?冗談にしてはつまらないわよ。お父さん」
「はっはっはっはっ。」
今度は隠さずに大笑いする。ビリビリと大気を震わせそうな大声。
「しかし、九頭竜の……このままでは多分死ぬぞ」
そう口を挟んだのは鬼の雲水だった。同意するように顔を真っ赤にした猿……ではなく、猿渡東もうなずく。この男はそこそこ酔いが来ているのかなぜか天馬に肩組みして酒をあおっていた。
「この巨体の男より、前線のめんこい(可愛い)坊やに力を使いすぎたな。使い切って使い切ってのアレだ。自力で走ってあそこにたどり着いたのだって中々の根性だと俺は評価してやってる。なぁ、天馬もそう思わんかい?」
「えぇい、うっとおしい……」
「きゃきゃきゃ、俺だって本当はピッチピチのお姉ちゃんを抱きたいのに我慢してやってんだぞ?おぅ?」
猿と馬がじゃれあうのを無視して、はち切れんばかりの胸を揺らしつつ鳥居凰が神姫の隣に腰を降ろした。
「うちの弩躬を初手に使う柏殿も策士よね。初めっから殺る気のカードを切ってくるのだから。ふふっ」
妖しく笑う鳳を横目に見て神姫はパッと答えた。
「私の知った事ではないですけど……出し惜しみするくらいなら鬼札(ジョーカー)を切るのは当然じゃないですか?」
「ふふっ、そうかもしれないわね。けれど、悠ちゃんは本当にもう限界かもしれないわね。見て、扉にべっとりと血のりがついてる。きっと頭を打ったのよ……。」
どうなると思う?っという視線を神姫にぶつける。龍の娘は息を吐いて髪をかき上げつつ、道玄がしたようにビールの瓶を一本掴むと喉を鳴らして飲みほしていった。ラッパ飲みの様は父親譲りらしい。
「誰も彼も……まるでわかってないですね。」
そう口火を切った神姫に視線が集まった。彼女は臆せず続ける。
「小鳥遊悠は気持ち悪いくらいタフです。皆々様が直接的に鍛錬されているので、その事は存じていらっしゃると思いますが……アナタ方はまったく分かっておりません。悠の本質は馬鹿なところ。頭を打った?血が出た?平気ですよ。悠の頭は異常に硬い、アレだけ血の気が多いなら10リットルくらい流したところで余裕。ただ……問題はモチベーションどんな些細なきっかけでもいい。幼女がいたから、女が裸でいたから、パンチラが見えるからくだらなくてバカみたいな理由さえ見つかれば立ち上がりますよ。」
道玄が呆れたようにいった。
「今の理由を聞いた限り煩悩しかないみたいだが?」
「煩悩と欲望で突き動いてるのよ。」
広い本堂内の大半を占める大鳳凰像の下ではバチあたりにも大人数が集まって酒盛りをおっぱじめていた。既に空になり転がっている酒瓶や缶の数は尋常ではなかったが、そこにいる誰ひとりとして酔っている者はいなかった。大型のモニターを囲い、それに映るのは当然ながら小鳥遊悠の動画だ。ひと際大柄で顔に「鬼」の字の刺青が入った男が大笑いする。
「がははははっ!!見てみろあのバカを扉に突っ込んで自爆しやがったぜ!」
大口をあけて膝を叩きながら笑う姿は文字通り鬼のようだった。それにつられて他の人間も笑いだす。ここに集まる面々は十神将(秋宵月真桜は除く)その人らだ。オッサン七人と年齢不詳の美魔女とオバハンがひとり……そしてもうひとりは九つの結髪、整ったイヤらしくない程度に高い鼻、薄い花弁のような唇、十人が二十人美人といっても間違いない美貌の持ち主の九頭竜神姫だった。ただ、ひとつお世辞にも優しい目とはいえない鋭い眼でジッとモニターを見つめていた。
「気になるか?」
大樹に出来た洞(うろ)が風を吐きだしたような声を掛けてきたのは神姫の実の父、道玄だった。この親からここまで美しい娘が出来るのかと疑問するがその眼力の鋭さは紛うことなき親子の証だった。娘は軽く首を左右に振った。
「別に。」
「ふふっ。しかし……儂は正直驚いている。龍剄は確かに教えた……だが、ヤツは短期間で赤龍をしていは翠龍の門も開いた。悠の成長は目を見張るものがある。まるで……」
「兄貴みたいとかいわないわよね?」
「馬鹿をいうな。儂にそっくりだと言おうとしたんだ。神よお前はどうみる?」
「どうもこうも私なら翠龍じゃなく白龍を使うは初めっから…」
「あぁ、違う違う」
道玄は大きく左右に首を振って神姫の言葉を遮った。缶ビールを一本取ると喉を鳴らしてあっという間に空にした。喉が潤い下の滑りが良くなったのか機嫌よく含み笑い声で言った。
「男としてどうだという意味だ。」
「酔ったの?冗談にしてはつまらないわよ。お父さん」
「はっはっはっはっ。」
今度は隠さずに大笑いする。ビリビリと大気を震わせそうな大声。
「しかし、九頭竜の……このままでは多分死ぬぞ」
そう口を挟んだのは鬼の雲水だった。同意するように顔を真っ赤にした猿……ではなく、猿渡東もうなずく。この男はそこそこ酔いが来ているのかなぜか天馬に肩組みして酒をあおっていた。
「この巨体の男より、前線のめんこい(可愛い)坊やに力を使いすぎたな。使い切って使い切ってのアレだ。自力で走ってあそこにたどり着いたのだって中々の根性だと俺は評価してやってる。なぁ、天馬もそう思わんかい?」
「えぇい、うっとおしい……」
「きゃきゃきゃ、俺だって本当はピッチピチのお姉ちゃんを抱きたいのに我慢してやってんだぞ?おぅ?」
猿と馬がじゃれあうのを無視して、はち切れんばかりの胸を揺らしつつ鳥居凰が神姫の隣に腰を降ろした。
「うちの弩躬を初手に使う柏殿も策士よね。初めっから殺る気のカードを切ってくるのだから。ふふっ」
妖しく笑う鳳を横目に見て神姫はパッと答えた。
「私の知った事ではないですけど……出し惜しみするくらいなら鬼札(ジョーカー)を切るのは当然じゃないですか?」
「ふふっ、そうかもしれないわね。けれど、悠ちゃんは本当にもう限界かもしれないわね。見て、扉にべっとりと血のりがついてる。きっと頭を打ったのよ……。」
どうなると思う?っという視線を神姫にぶつける。龍の娘は息を吐いて髪をかき上げつつ、道玄がしたようにビールの瓶を一本掴むと喉を鳴らして飲みほしていった。ラッパ飲みの様は父親譲りらしい。
「誰も彼も……まるでわかってないですね。」
そう口火を切った神姫に視線が集まった。彼女は臆せず続ける。
「小鳥遊悠は気持ち悪いくらいタフです。皆々様が直接的に鍛錬されているので、その事は存じていらっしゃると思いますが……アナタ方はまったく分かっておりません。悠の本質は馬鹿なところ。頭を打った?血が出た?平気ですよ。悠の頭は異常に硬い、アレだけ血の気が多いなら10リットルくらい流したところで余裕。ただ……問題はモチベーションどんな些細なきっかけでもいい。幼女がいたから、女が裸でいたから、パンチラが見えるからくだらなくてバカみたいな理由さえ見つかれば立ち上がりますよ。」
道玄が呆れたようにいった。
「今の理由を聞いた限り煩悩しかないみたいだが?」
「煩悩と欲望で突き動いてるのよ。」